教育資金を準備するための商品として有名なのが学資保険です。

学資保険は、銀行の預金に比べると利率が高く、保険料支払いという形で、いわば強制的に貯められますので、普通の貯金がなかなかできないという人などに良く利用されていますが、戻り率(返戻率)のことだけを考えると、実は、学資保険よりも利率が高い保険商品というのは存在します。販売しても保険会社の利益が薄いため、CMなどでは見かけないですし、公式サイトでも目立たないところにあるので一般の方の認知度はかなり低いです。今回、そのような保険をまとめてみました。

 

まずは、主な学資保険について調べてみました。男性30歳・子ども0歳の条件で試算しています。

保険会社・商品 プラン 返戻率
フコク生命
みらいのつばさ
月額保険料:8,897円
払込保険料総額:1,814,988円
(払込期間:17歳まで)
受取総額:200万円
110.1%
日本生命
ニッセイ学資保険
月額保険料:13,450円
払込保険料総額:2,743,800円
(払込期間:17歳まで)
受取総額:300万円
109.3%
ソニー生命
学資保険
(II型17歳満期)
月額保険料:8,980円
払込保険料総額:1,831,920円
(払込期間:17歳まで)
受取総額:200万円
109.1%
明治安田生命
明治安田の学資のほけん
月額保険料:10,323円
払込保険料総額:1,858,140円
(払込期間:15歳まで)
受取総額:200万円
107.6%
アフラック
夢みるこどもの学資保険
月額保険料:13,190円
払込保険料総額:2,849,040円
(払込期間:18歳まで)
受取総額:300万円
105.2%

現在、学資保険の返戻率は良い物で110%前後だと思います。昔は120%というところもあったようなのですが、2013年4月の改訂で各社軒並み返戻率が下がっています。

 

●低解約返戻金型保険のほうが利率が高い?

学資保険以外に貯蓄性の高い保険として挙げられるのが、低解約返戻金型の生命保険(死亡保険)です。

これは払込み期間中の解約返戻金を低く抑えるかわりに、払込み期間を終えれば、解約返戻金の利率が高くなるという貯蓄性重視の保険です。終身保険がよく取り上げられますが、定期保険タイプもあります。

私たちは、「○○のためにお金を貯めよう」と思って、預金をしたり保険に入ったりしますが、お金そのものに色がついているわけではありません。貯まったお金は、使いみちを制限されているわけではないのです。子どもの教育資金だからといって、学資保険で貯めなければならない理由はありません。

低解約返戻金型保険の利率が学資保険よりも良ければ、こちらを使う手もあります。

 

そこで、低解約返戻金型保険の利率を調べてみました。

通常、終身保険などであれば20~30年、ときにはそれ以上の長期に渡って払込みを行い、60歳時に払い済みにします。これだと教育資金を貯めるには適切ではないので、払込み期間を15年程度にし、18~22年後に解約することを前提にします。

保険会社・商品 プラン 返戻率
アクサ生命
LTTP フェアウインド
35歳男性
月額保険料:15,325円
払込保険料総額:2,758,500円(払込期間:15年)
死亡保険金:500万円
解約返戻金額:311万2,500円(18年後)
112.8%
アクサダイレクト生命
カチッと終身保険
30歳男性
月額保険料:7,032円
払込保険料総額:1,265,760円(払込期間:15年)
死亡保険金:200万円
解約返戻金額:139万1,400円(20年後)
109.9%
AIG富士生命
E-終身
30歳男性
月額保険料:7,100円
払込保険料総額:6,954,000円(払込期間:15年)
死亡保険金:200万円
解約返戻金額:139万7,400円(20年後)
109.3%
東京海上日動あんしん生命
長割り終身
30歳男性
月額保険料:15,983円
払込保険料総額:2,876,940円(払込期間:15年)
死亡保険金:430万円
解約返戻金額:305万3,860円(18年後)
106.1%

返戻率は学資保険とほぼ同レベルですが、アクサ生命 LTTP フェアウインドは学資保険各社の返戻率より高い利率になりました。

生命保険の解約返戻金額は、払込み期間が過ぎた後は年々増えていきますので、他の商品も計画的に準備することで利率はさらに高めることもできます。

また、払込年数や、払込方法を変えることでも返戻率は変わってきます。たとえば東京海上日動あんしん生命の長割り終身(低解約返戻金型終身保険の代表的な商品です)は、払込期間を10年にし、年払で保険料を支払うと、17歳解約時で返戻率が110.5%となりました。

生命保険は保険料が高そうに感じますが、保障額(保険金額)を学資保険の給付金に近い額にすると、保険料の水準もそんなに変わらないことがわかると思います。

さらに、低解約返戻金型保険は学資保険にはないメリットもあります。

●返戻率が同じなら死亡保障のぶんだけ低解約返戻金型保険のほうがトク

低解約返戻金型保険は死亡保険ですから、お金を貯めながら死亡保障も得られるというメリットがあります

学資保険も、契約者が払い込み期間中に亡くなると、それ以降の保険料が免除されたうえで給付金は支払われますから、実質的には死亡保障があるとも言えます。ですが、死亡保険の保険金額のほうが高いので、この点でも学資保険より有利です。

返戻率が同じかそれ以上で、なおかつ、死亡保障がある、というところが、低解約返戻金型保険で教育資金づくりをするメリットとなります。

では、デメリットはないのでしょうか?

それは、低解約返戻金型保険の性質上、「途中解約をしたときの損が大きい」ことです。

低解約返戻金型保険の利率が良いのは払込み期間中の返戻金額を抑えているからです。払込期間満了後の、およそ7割程度になってしまいますので、基本的に元本割れすることになります。

貯めるための保険ですから、そもそも早期の解約はすべきでないのですが、してしまったときに大きく損をするというのがデメリットです。低解約返戻金型保険を利用するなら、絶対に中途解約はしないよう、月々の保険料は無理なく払える額にするなど、計画性が重要になってきます。

●高利率商品は、販売停止になっているものが多い

利率の良い保険は、あまり人気が殺到すると保険会社の判断で販売終了(売り止め)になることがあります

以下の商品も、かつて、利率が良いと評判だったのに、現在は売り止めになってしまったものです。

  • 東京海上日動あんしん生命 長割り定期
  • オリックス生命 ロングターム7
  • 三井住友海上あいおい生命 低解約返戻金型定期保険

売り止めになるということは、保険会社として利益をあげにくい=加入者にとってトクということなので、これらの商品の有利さをあらわしているとも言えるでしょう。

教育資金を貯める=学資保険ではなくて、色々な選択肢の中から決めることをおすすめします。