神戸市の中心部に近い住宅街で24日午前、住民らが次々とイノシシに襲われ、女子中学生ら4人がけがをした。4月以降、市東部を中心に被害が出ており、負傷者は市内で26人に上る。今はイノシシの繁殖期で、人への警戒心が強まる時期といい、専門家は「イノシシを興奮させないように」と注意を呼び掛ける。(田中宏樹、長江優咲、武藤邦生)
葺合署によると、同日午前8時ごろ、同市中央区葺合町蝉山で、体長約1・5メートルのイノシシに男性会社員(30)と、中学3年の女子生徒(14)が相次いで襲われ、負傷。約2時間後にも近くの男性(83)が右太ももをかまれた。
さらに午前11時40分ごろ、この事案を取材中の民放テレビ関連の男性カメラマン(46)が両足をかまれ、約20針を縫うけがを負った。
数日前から付近には親子とみられる6頭のイノシシが目撃されていた。襲ったのは雄の親とみられ、山にいったん逃げたが、夕方、地元猟友会などが確保。雌の親は殺処分され、付近の川で子はすでに死んでいたという。
4~6月はイノシシの繁殖期で、子を守ろうとして人を襲うケースが増えるという。同署や市などによると、イノシシに襲われる被害は同市東部に集中。5月25日~6月17日、東灘区岡本付近で5人、5月19、25日は灘区鶴甲などで2人が被害に遭っている。負傷者は市内で計26人に上り、市と警察が協力して発生現場近くの巡回を強化している。
イノシシの相次ぐ出没について、兵庫県森林動物研究センター(丹波市青垣町)の三木隆広・森林動物専門員は「餌付け行為による人慣れ」を指摘。餌がもらえると思って人に近づき、被害に発展する事態が推測されるという。三木専門員は「夜間のごみ出しも、餌を与えることになるため注意を」と話している。
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