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WIRED VOL.12

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4Kテレビに何を映し出すか。それが問題だ

このところ、4Kが騒がしい。6月2日には試験放送も開始され、本格的な一般家庭への導入も期待されているが、映し出すコンテンツを提供する側にとっては、新たなチャレンジが必要とされている。いまテレビに映し出されるべきは、ただ「美しい」だけの映像なのだろうか。クリエイティヴ集団・ユニバで訊いた。

 
 
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TEXT BY YOSHITO KUBOTA
PHOTO BY NORIYO

「ファミコンのプレイ画面を映してみたら面白いんじゃないかって思ってるんです」

4Kテレビで何を観たいですか?と投げかけた質問に対し、ユニバの代表、菊地玄摩は訥々と答えてくれた。65インチの4Kテレビ画面に映し出そうとしたのは、巨大なディスプレイにはふさわしくないほど小さな、ゲーム画面だった。

「256ドット×240ラインのゲーム画面を、65インチの解像度4096×2160に、そのまま映し出す。そうすれば、子どものころ見ていた画面が、大画面のなかに小さく表示されるんです。解像度の進化を、見た目で表現できますよね」

もちろんこの場合、「そのまま映し出す」のには細工が必要で、おなじみの赤白のハードウェアからの出力を4Kテレビにネイティヴなまま入力・表示するための“ハック”のアイデアを、菊地たちは披露してくれたわけだ。

ユニバは、「開発」の会社だ。

テレビの前でスマートフォンを上下に振れば、加速度センサーが動きを感知・通信し、その動きに応じたインセンティヴが手に入る。文字通りテレビ番組と視聴者とをつなげるアプリ「フリフリTV」をつかったコミュニケーションを手がけているように、インターネットを使った多彩な表現手段に挑み続けている姿勢は、当世流行のIoT(Internet of Things、モノのインターネット化)とも被って見える。

「コンピューターにつないで、画面いっぱいにプログラムコードを表示させてみるのもいいかもしれません。4Kテレビなら、いつも使っているモニターとは桁違いの行数を表示できるんじゃないかな」

必ずしも、テレビを「テレビ」として使わない。自由な発想でデヴァイスの使い方を考える彼らにとって、いま新たな表現の場として一般化しようとしつつある4Kテレビはどのような「場」になるのか、訊いてみる。

もちろん、美しい映像を美しいまま再現できる描写力は、映像表現において重要な能力だろう。しかし、返ってきた菊地の答えは、インターネットを表現する場所としての、テレビの可能性だった。

ユニバ代表の菊地玄摩。彼らはさまざまなクライアントワークに応えるとともに、自主的な「実験」も多く行っている。手旗信号をインターネットを介してコミュニケーションしたり、ウェブカメラに向かって息を吹きかけると遠く離れたネットの向こうで風車が回ったりする作品は、いずれも通信に確かな手応えを感じさせてくれる。

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