<ブラジルW杯>不調引きずる本田に依存 最下位これが現実
毎日新聞
○コロンビア4−1日本●(1次リーグC組、24日・クイアバ)
日本の挑戦に終止符を打つ笛が、クイアバの空に響いた。本田はしばらくぼうぜんと立ち尽くしてから、心境を口にした。
「これが現実。受け入れるしかない。優勝とまで言いながら、この散々の結果。未熟すぎた。申し訳ない」。日本の屋台骨を支えてきた本田は、すべての責任を一人で背負うかのように、1分け2敗でC組最下位に終わったW杯を総括した。
本田を中心に前回W杯でベスト16に駆け上がってから4年。その存在は、日本の中で大きくなりすぎてしまったのかもしれない。コロンビア戦前日。ザッケローニ監督の求める「スピード感」を出すため、「後ろからのビルドアップ(攻撃の組み立て)でもう少しスピード、テンポを上げることが大事」(吉田)という認識がチーム内で共有された。この日は最終ラインの今野と吉田から、ボールを奪った後に速い縦パスが中盤に送られた。しかし前線の岡崎や大久保が相手DFの裏に抜ける動き出しをしていても、パスの多くは一度本田を経由した。
象徴的だったのは、この日の後半ロスタイム。左の高い位置の清武にパスが渡り、柿谷が守備の裏を取り、フリーになった。大久保もいた。それでもパスは、中央の本田へ。本田は前線へパスを出そうとしたが、狙っていた相手守備に食いつかれ、速攻を食らった。
本調子の本田であれば、連係で崩すなり、中盤で時間を作って攻め上がりを待つなり、そこにいる価値があった。しかし本田は大会前の不調を引きずるようにボールのさばきが遅く、そこで一手間かかる分、守備を固められてしまう。もしくはボールを簡単に失う場面が多かった。それでも選手たちはピッチでまず、本田を見た。
ザッケローニ監督の戦術として、本田にボールを集める決まりごとがあるわけではない。だが、選手間には「本田中心」という雰囲気があったという。一人に背負わせて勝てるほど、W杯は甘くなかった。【中村有花】