やぶ医者大賞:「本当は名医だった」 兵庫県養父市が創設
毎日新聞 2014年06月25日 11時49分(最終更新 06月25日 12時44分)
兵庫県養父(やぶ)市は25日、へき地医療に尽力している若手医師をたたえる「やぶ医者大賞」を創設する、と発表した。医術のつたない医師を意味する「やぶ医者」という表現を逆手に取って、語源が実は「養父にいた名医」という説を掲げ、医師を大切にする自治体としてPRし、医師確保も目指す。
市によると、江戸期の俳人・松尾芭蕉の弟子・森川許六(きょりく)が編集した「風俗文選(もんぜん)」という俳文集の「藪(やぶ)医者ノ解」という一節で、但州養父(現在の養父市)でひっそりと暮らす医者が死にそうな病人を治すほどの名医とされた。弟子も集まり、「養父の医者」「養父医者」は名医のブランドのようになっていたという。市は「悪用する自称の養父医者が増え、名声が地に落ち、藪の字が当てられ、下手な医師を意味するようになったのでは」としている。
また、江戸時代の儒学者、池田草庵が養父市で私塾を開き人材を育成していたこともあり、若手医師を顕彰する賞を創設したとしている。
表彰者は2人で、へき地の公的病院または診療所(民間含む)に5年以上勤務しているおおむね50歳までの医師が対象。自治体など公的団体などの推薦が必要で、応募期限は8月31日必着。9月に審査し12月に表彰式を開く。賞状などと奨励金50万円が贈られる。問い合わせは養父市保険医療課(079・662・3165)。
養父市は人口約2万6000人。兵庫県北部に位置し、山林が約85%を占める。市内の公立病院の八鹿(ようか)病院でも診療科によって医師が不足するなどしている。【柴崎達矢】