遠足で訪れた小学生らでにぎわう三保松原=12日、静岡市清水区(広池慶一撮影)【拡大】
◆ヒールや背広姿で
世界遺産登録に沸く一方「登山者の質が落ちた」と関係者は嘆いている。
「ハイヒールや、背広に革靴姿で登る人もいた。観光地に遊びに行くような気分で日本一危険な山に登ってもらっては困る」。遭難者の救助にあたる静岡県警山岳遭難救助隊の真田喜義(きよし)隊長(57)はあきれる。
昨年1年間の遭難者数は前年の1・5倍の106人で、統計が残る昭和48年以降最多を記録した。
さらに近年、自然の雪山を滑る「バックカントリースキー」が若者の間で流行し、富士山の山頂付近でもスキーやスノーボードを楽しむ人が増加した。5月にはスノーボードをしていた男性(23)が火口に転落。救助を手伝った男性(42)も滑落し、2人が死亡する事故が起こった。真田隊長は「山頂付近は傾斜がきつく、転んだら一巻の終わり」と警告する。
登山者の質の低下は、富士山の環境にも影響を及ぼしている。「ごみがひどかった」と話すのは、富士宮口新6合目の「宝永山荘」の女将(おかみ)、渡井(わたい)弘子さん(72)だ。昨夏は山荘付近に弁当のごみやペットボトルが散乱。「下の登山道に投げ捨てる人もいて掃除するのが大変だった」
外国人団体客のマナーの悪さも目立ち、「アジア系の人たちが夜中に大声で騒ぐ。何回注意しても聞かなかった」と憤る。