世界が注目する「sinsai.info」の成り立ちと、自分たちにもできること #sinsai
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クラウドソーシングによるプロジェクト「東北沖地震 震災情報サイト sinsai.info」が話題になっている。
そこで、「このサイトはなんなのか?」「なぜ地震発生からわずか7時間でスタートできたのか?」「このあとの課題は?」などについて私が調べられる範囲でまとめてみた。
はじまりはケニヤで起こった暴動だった
この「sinsai.info」というサイトは、「Ushahidi」というオープンソースのウェブアプリケーションで作られている。
それが作られたきっかけは、2008年にケニヤで起こった暴動にある。
これぞ新世界のジャーナリズム! 暴動・事件をリアルタイムにマッピングするUshahidi
この暴動のとき、ケニヤの市民ジャーナリストたち(ブロガーなど)が協力し、暴動の起きている場所をマッピングし、人々に知らせるという活動を行った。このときのジャーナリストたちを中心にして作られたのがUshahidiだ。 Ushahidiとは、スワヒリ語で「証言」という意味の言葉、そのサイトで“Croudsourcing crisis information”と説明されているのがまさに言いえて妙で、人々が自らの目で見た“危機”の情報を共有することを目的としたウェブサイトだ。
Ushahidiが目標としているのは、「誰もが容易に“危機”の情報を手に入れることが出来るようにする」こと。そのため、メール / SMS / Twitterなどで簡単に情報が集約できるようになっている。
そしてこのプロジェクトは、短い間に、大きな実績を残してきた。
いまだ記憶に新しい、ハイチとニュージーランドの大地震の際に活躍したサイトがそれだ。
The 2010 Earthquake in Haiti
Christchurch Recovery Map
そういう下地があったからこそ、地震発生からわずか7時間で「sinsai.info」が立ち上げ可能だったわけだけど、でもそれだけじゃない。
オープンソースのプロジェクトの協力するエンジニア、入力されたデータをチェックするモデレータ、情報を投稿するボランティア、などなど数多くの存在があればこそ、このサイトが成立している。
このプロジェクトの中心人物のひとりである関さん(@hal_sk)に聞いたところ、すでに100人を超えるメンバーが昼夜を問わず参加しているとのこと! 「あんまり寝てないんです」と言って体調悪そうにしている関さんが、そのメンバーの献身ぶりを語るときにはキラキラ輝くのを見て、「sinsai.info」のプロジェクトでいまマジックのような素晴らしい出来事が起こっているんだな、というのを間接的にでも感じることができて、うらやましい思いがした(だって本当にキラキラしていたんですよ!)。
世界中が日本に注目している
未曾有の災害に直面して、クラウドソーシングやソーシャルメディアを活用したサービスがどのような役割を果たしうるかという問題について、世界中が注目していると言ってもいいと思う。
世界でもっともケータイ(とネット)が普及している国のひとつであり、世界でもっと地震の災害が多い国でである日本が、この災害にどう対応できるかによって、未来が変わるといってもいいじゃないかと思う。
その課題について、いいまとめがあったので紹介します。
Ushahidi から学ぶユーザ参加型サービスを企画する上での留意点
Ushahidi はソフトウェアによるサービスプラットフォームであるため、位置に結びついた情報を集約するためのものであれば、その用途はさまざまである。(中略)そのため、Ushahidiのサイトで、それらのサービスを利用するためのガイドラインとして、Preliminary Practical Considerations という文書が公開されている。
1. なぜ、それをするのか自問しよう
2. 可視化するメリットを明確化し、既存の枠組みやパートナーとの連携を図ろう
3. 誰が閲覧者なのか? 誰に、このサイトを利用して欲しいのか?
4. 情報収集の際のパラメータは何か? 情報通信技術の局所的な利用をどう考えるか?
5. 直面しうるプライバシーや(ユーザの)保護の問題は何か?
6. フィードバックを得て、期待をコントロールするのはどうするか?
7. プロジェクトをいかに持続可能な状態にするか?
個人的には特に、3と5と7が、挑みがいのある大きな課題だと思っている。
地震から1週間の間に、各社・各団体がさまざまなサービスを開始しているが、それはときに「被災者および被災地域の人たち」に向けたものなのか、「被災地域以外の人たち」に向けたものなのか、「自衛隊やボランティアなどの救援団体」に向けたものなのか混乱しがちだ。私としてもすでに、岩手で救援活動をしている友人から寄せられる声と、東京で企画されている支援活動のコンセプトとの間に、齟齬を感じて悩むことがあるし、それを整理するためにも「3」の問いかけは非常に重要だ。
また、「5」と「7」については、ポリシーや運営体制の面だけではなく、テクノロジーからも解決できそうが気もしている。今すぐできないかもしれないけど、そういうサービスが将来的あり得ると思っているし、機会を作って取り組んでみたいと思っている(このアイデアについては、今すぐできることじゃないし、話が脱線するので割愛)。
とりあえず、まだ見たことがないという方はぜひ。
少しずつでも、何かできることが見つけられるかもしれません。
東北沖地震 震災情報サイト sinsai.info
(12:55時点でちょっと表示が不安定みたいです)
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