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ネット時代のつのだじろうスピリッツ、いやカース - 『殺人漫画』 - 1953ColdSummer

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ネット時代のつのだじろうスピリッツ、いやカース - 『殺人漫画』


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人漫画
KILLER TOON
2013(2013)/韓国 監督/キム・ヨンギュン 出演/イ・シヨン/オム・ギジュン/ヒョヌ/他 
あなたの死顔描いてあげる


 ウェッブ漫画に描かれたひとたちがウェッブ漫画の通りに死んでいきます。大変な事です。



※これはイメージ動画であって本作とは何ら関係がございません。

 こんな死に方は嫌だなぁ、あんな死に方も嫌だなぁ、つて、わざわざ漫画で演出される多種多様な死に方を自分に当てはめてみることも、漫画自体をあまり読まなくなった最近ではめっきり少なくなっているものの、身近な市井がいちいち想像できる範疇でおくたばりになったっつう記事を読むと、やはり人生一寸先は闇というか恐怖新聞というか薄氷を踏んでいる思いに駆られる。が故に薄氷を踏み抜いた映画内の人たちに代わりに死んでいただいて自分の生のおやつにし、よしこら、と、自分の顔をぴしゃりと叩いて慎ましやかな生活を送っているわけだが、本作、『殺人漫画』には、視覚的なショックと「何故か」自分の死に方を正確にweb漫画に描かれるという二重のポルノ効果が奏されており、そこにホワイダニットの面白味も絡んでくる以上、見世物としてはまとまった小品とも感じ真相はトンチキとも感じ。

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 すぐ上にトンチキとか書いておいてあれだが、言葉の綾というものを皆様ご理解していただいているものとして話を進めますると、人が次々死ぬ→あるweb漫画と死に方が酷似している→さてはこの作者が犯人に違いないっ、と、えれえ別嬪な女流漫画家が疑われる。じゃあマザー・グースは何人殺したんだという極めて当然な問い掛けを無視して女流漫画家カン・ジユンは身元を洗われるのだけれども、往々にして媒体を介して何かが起こった場合、まず媒体の裏で糸を引く人間乃至組織を終盤まで伏せておくのが定石だと思われど、早々に殺人web漫画の作者が疑われるのはちょっと新しい。と思うと同時にJホラー界隈からの刺激をば連想して。

 本作の監督、キム・ヨンギュンなる人は他にも色々と映画を撮っているようであるが、これ以外に一本も観たことが無いので想像でものを言いますが、『殺人漫画』にはJホラーを講談化する、口伝するがごとき憧憬があったのではなかろうか。刺激されたと言い換えてもよろしい。怨霊(或いは概念としての呪い)を用いた作品なんて100年前からあるわい、このダヴォが、と言いたい気持ちも分からないではないが、少しく落ち着いていただきたい。
 韓国映画が内包する禍々しさについては幾度も口酸いく訴えかけてきたつもりであるし、思っていたよりも訴えかけていなかったような気もするが、兎角韓国映画の禍々しさは「初見さん、いらっしゃい」とにこやかに想像だにしなかった残酷性を見せるところに起因すると自分は思っていて、例えば『母なる証明』(感想)の垂れ柳のごときに壁から折れた死体であるとか、『嘆きのピエタ』(感想)の最後のアレであるとか、珍想奇想を真顔で語るがごとき「恐怖の一般化」に毎回ゾクリと来る。

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 ほで、『殺人漫画』には実はそうした「思いもよらなかった発想が同じ目線に降りてくる」シーンは殆どなく、しいて言えば死体安置室でミイラの頭部がぶるぶる震えながら迫ってきたのが頭部が高速でぶるぶる震える描写フェチとして嬉しかったくらいなのであるが、夜道を走る自動車の助手席に座っていた子供が突如消えたり(これは夢だったのだが)、プールが血で染まっていったり、見えない力に操られて自分で自分のこめかみに銃口を……なんつう描写には、奇想というよりも懐かしみ、いつかどこかで観た既視感を払拭することが出来やぬ。特にこめかみに銃口を当てるシーンなど、『黒く濁る村』(感想)という偉大な先駆があったにも関わらず、事前の文脈(事実関係)の軽さがためアッハイとJホラーに対する目配せを極めて事務的に受け取るしかなかったのである。

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 然しくして、オカルトなホンは中々捨てたものでもない。Flashを駆使しているのであろうweb漫画の挿入や「共犯関係」を疑われる人物の台詞回しなどは、外側の見栄えと内側の内省を均等に表わしている。怨霊の正体や漫画家が描き続ける理由のフックに見事絡めた脚本の妙味……とか言いたいところなのだけれども、正味の話、1回観ただけではツジツマの呪いが我と我が身に降りかかってきたのでのち、巻き戻したりネットで検索かけたりして調べたのは君と僕だけの秘密じゃが、漫画を描く事、創作への情念に最後着地するのは『殺人漫画』の名に相応しいケリの付け方だと思いました。人を漫画にしたら死ぬっつう一発屋的な発想ではなく、悪しき神の視点に立とうとするワナビーの執着。どっとはらい。


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