■6月25日
東京都議会のセクハラやじはオツムがはげ上がって、小太りの“いかにも”というオヤジを想像していた。ところが、出てきた51歳の鈴木都議は意外にも“ビジュアル系”で「早く結婚したら…」とのやじは認めたが、「産めないのか」などは別人と主張。幕引きのための“スケープゴート”では、と勘ぐられても仕方ない。
それはともかく、当日朝までしゃあしゃあと「私じゃない」としらを切り続けながら、批判に押し出される形で「申し訳ない」と謝罪した。しらを切っただけでなく「(やじは)議員辞職に値する」と言い切りながら、自民党会派からの離脱だけで議席にしがみつく姿はみっともない限りだ。
プロ野球選手、参院議員とやじが飛び交う世界に長くいた江本孟紀氏(サンケイスポーツ専属評論家)は阪神時代にこんな経験がある。相手チームのプライバシーに関する執拗なやじに切れKOされた投手が、翌日球場に着くなり相手ベンチに単身“殴り込み”に行くのを必死で止めた。当時阪神の選手会長で「私生活に関するやじはやめよう」と申し入れた。
今回の卑劣なやじを江本氏はこう切り捨てた。「やじの最後は1対1のけんかで、やじはその前哨戦と心得るべし。けんかができない人がやじを飛ばすのはマナー違反。政治家のやじはレベルが低いわりに口だけは達者。でも、最後にけんかする根性はあるのか。ましてや、けんかできない女性に対してのやじは最悪だ」。
やじだけでない。石原環境相の「最後は金目」、麻生副総理の「一番いじめられるやつ」など耳を疑うような失言が相次いでいる。巨大与党にあぐらをかく自民党の傲慢さの表れ、といわれても仕方ないだろう。 (今村忠)
(紙面から)