トヨタ 燃料電池車を一般向け販売へ6月25日 5時54分
トヨタ自動車は次世代のエコカー、「燃料電池車」の将来の販売競争に先手を打つため、一般向けの販売を700万円程度の価格で今年度内に始める方針を固めました。
燃料電池車は、車に充填(じゅうてん)した水素と空気中の酸素を反応させて発生した電力でモーターを回して走る車で、走行中に二酸化炭素を排出しないことから、次世代のエコカーの本命とも言われています。関係者によりますと、この燃料電池車について、トヨタは一般向けの販売を700万円程度の価格で今年度内に始める方針を固めました。
トヨタは12年前からリースに乗り出していましたが、毎月のリース価格が当時120万円かかっていたため、納入先は官公庁などに限られていました。
そこで、高価な部品の使用量を減らしても性能が落ちないようにするなど、コストダウンを進めたほか、量産体制も整えるといった価格の引き下げに向けた開発を加速させていました。
トヨタは早ければ年内に発売することも検討しており、ほかのメーカーに先駆けることで、将来、世界の自動車市場で主流となる可能性があるとみている燃料電池車を巡る販売競争をリードしたい考えです。
このほか、ホンダは来年に、日産自動車は3年後に燃料電池車の一般向けの販売に乗り出す計画ですが、普及に向けては水素を車に充填する施設の数をどこまで増やせるかなどが課題となります。
燃料電池車開発の歩み
国内外の自動車メーカーが燃料電池車の開発を本格的に始めたのは1990年代です。
日本のメーカー各社もトヨタ自動車と日産自動車、それにホンダなどが、心臓部となる燃料電池などの開発を始めました。
そして、トヨタとホンダは2002年、日本とアメリカで燃料電池車のリースを始めましたが、当時の毎月のリース価格は100万円前後かかり、納入先は官公庁などに限られていました。
そこでトヨタが、燃料電池に使われるプラチナの使用量を減らすなど、国内のメーカー各社はいち早く市場に普及させるため、コストの引き下げを急いできたのです。燃料電池車が将来、世界の自動車市場で主流となる可能性があるとみているためで、ホンダは来年、日産は3年後の2017年に一般向けの販売を始める計画です。
普及への課題は
燃料電池車の普及に向けては依然として課題があります。
トヨタが販売する燃料電池車は、コストダウンによって700万円程度まで価格を抑えましたが、それでも多くの車と比べると割高です。
さらに、水素を充填する水素ステーションの設置を全国に広めることも欠かせませんが、計画中のものも含めて、全国でおよそ30か所にとどまっているのが現状です。
このため政府は、2025年ごろまでには燃料電池車の販売価格をハイブリッド車と同じ水準に引き下げるとともに、規制緩和を通じて、水素ステーションの建設コストを引き下げ、設置箇所を増やすという工程表を今月まとめました。燃料電池車を巡る世界的な競争をリードするには、まず、本国市場である日本での普及に向けて、官民を挙げて価格の引き下げやインフラ整備に取り組めるかが鍵を握りそうです。
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