(英エコノミスト誌 2014年6月21日号)
国家資本主義はその終焉の予想を覆し続けている。
フランシス・フクヤマ氏が論文「The End of History?」を発表し、論争の嵐に火をつけてから25年経つ。現在、中東での民主主義の失敗から宗教的原理主義の復活に至るまで、自由主義と市場の普遍的勝利についてフクヤマ氏が間違っていたと考える理由はたくさんある。
しかし、最も驚くべき理由の1つは、経済の主体としての国家の継続的な力だ。国家は1989年にビジネスの戦場から退却するどころか、さらなる前進を遂げるために再編成しただけだった。
現在の戦場を調べれば、ほぼすべての場所で国家資本主義を確認できる。中国では、国が株式の過半数を握る企業が、株式時価総額の6割を占めている。ロシアとブラジルでは、政府が株式の過半数、ないし過半に至らずともかなりの株式を保有する企業が株式時価総額の3~4割を占めている。
スウェーデンやオランダのような経済学の正統派の砦のような国でさえ、国有企業(SOE)が株式時価総額の5%を占めている。中国政府とロシア政府は、経済の管制高地の支配権を放棄しそうな兆候を見せていない。ブラジルとインドでは、民営化の動きが止まってしまったように見える(もっとも、インドの新政府は民営化を復活させるかもしれないが)。
また、フランス政府がアルストムの株式を取得する、もしくは同社の一部事業に出資するという話がある。これは、フランスとドイツが持つエアバス株や、フランスが最近プジョーに出資した一件に続くものだ。
国家資本主義の復活に多種多様な意見
国家資本主義の復活をどう考えるべきか? 意見は多種多様だ。国家資本主義をより優れた形態の資本主義として賞賛する向きもあれば、きちんとした資本主義へ進む道のりの通過点に過ぎないと見る向きもある。最も熱烈な支持者の1人であるロシアのウラジーミル・プーチン氏はどういうわけか、真顔でロシアには国家資本主義はないと主張する。
国営企業を金食い虫と見なす人もいれば、かなり良い投資先だと考える人もいる。大手銀行のモルガン・スタンレーの試算では、全体としては、欧州、中東、アフリカ、中南米の上場SOEの株価は2001年から2012年にかけて株式相場全般より好成績を上げたという。
ハーバード・ビジネス・スクールのアルド・ムサッキオ氏と、ブラジルの教育研究機関インスペールのセルジオ・ラザリーニ氏の新著『Reinventing State Capitalism』は、この問題に新たな光を当てている。