美濃加茂市長:現金授受を全面的に否定
毎日新聞 2014年06月24日 02時31分
全国最年少市長として知られる岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長(29)に汚職疑惑が浮上した。焦点の雨水ろ過器の実験は、市長就任の約2カ月後には決定されていた。議会にも報告がなかったことから、23日の定例議会終了後の会議で現金授受の疑いが市議から指摘されたが、市長は全面的に否定した。
◇「業者提案と市の考えがマッチしただけ」
「えたいの知れない装置をなぜ設置したのか」。今月13日の6月市議会。議員の激しい追及があった。担当部長が答弁に窮し、やじが激しさを増した。藤井市長は腕組みをしたまま動かず、見かねた副市長が「議会終了後に改めて説明したい」と述べて場を収めた。
関係者によると、藤井市長と業者は2013年初めごろ、知人を通じて知り合った。藤井市長は業者の提案を基に市議時代の同年3月の議会で、ろ過器の導入の可能性について質問。同年6月に市長に就任すると、肝煎り事業として計画を推し進めた。
中学校の体育館の屋根に降った雨を集水してプールにため、ろ過する仕組み。リース料は月6万円で、業者は「ろ過水をトイレに使えば、下水道代を節約でき、実質的に負担は増えない」と説明したという。市幹部の間では、費用対効果を疑問視する声が大勢を占めたが同7月末、実験を行う協定が結ばれた。費用は業者負担で予算措置は必要なく、議会にも報告しなかった。
疑惑は6月議会で噴出。23日、議員報告会で、市側がろ過器導入の経緯を改めて説明したが、議員は納得しなかった。「利益供与があったのでは」との質問も出たが、藤井市長は「それはない」と否定。「業者提案と市の考えがマッチしただけ」と答えた。
藤井市長は先月23日の毎日新聞の取材に「先進的な取り組みと思い、市長になった後に推し進めた」と答えた。収賄疑惑は「飲食は2回ほど行ったが、全て割り勘だった」と全面否定していた。【駒木智一、加藤沙波、小林哲夫】