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【きょうの人】「エボラ、基本徹底で流行は収まる」 WHOミッション参加、加藤康幸医師(44)
2014.6.14 21:59
西アフリカのエボラ出血熱集団発生を受けた世界保健機関(WHO)のミッションに加わり、12人(9人死亡)の患者が出たリベリアで感染拡大防止策を伝えた。雨期に入った5月中旬、首都モンロビアから車で10時間かけて向かったのは、患者の治療に当たった看護師が院内感染で死亡したフォヤ・ボルマ病院。水道はなく、わずか30センチ間隔でベッドが並んでいた。
「看護師は患者の血液から感染したのでしょう。同僚が亡くなったことは、病院スタッフにとって大きな衝撃だったと思います」
高い致死率で知られるエボラ出血熱も、患者を隔離し早期に治療すれば、感染拡大が防げる。内戦の傷痕が残る貧しい国では衛生用品も不足しがちだが、スタッフは悲しみから得た教訓を生かそうと懸命だった。
「感染を防ぐため手袋を使うようになり、ベッドの拭き取りもまめにやり始めた。その後、現地では感染は広がっていない。基本的な対策を徹底することで、流行は収まるんです」
マラリアなどの熱帯地域で起きる感染症に興味を持ち、2年前にはエボラ出血熱が流行するウガンダに入った。距離の遠さや言語が壁となり、各国から医師が集まるアフリカの現場に日本人は少ない。だが、感染防止の分野で日本が役立てることは多いと感じる。
「現地を見たことで、より説得力のある対策ができるようになる」。帰国後は、国立国際医療研究センター(東京都新宿区)でエボラ出血熱などの感染症が国内に持ち込まれた場合の対策を練る。感染症に国境はない。現地で培った撲滅への強い思いも、日本に持ち帰った。(道丸摩耶)
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