ここのところ、日本の各地での遠征商談が続いています。

日本滞在も月の半分近くを占めるようになり、「あれ、日本に帰ってきたの?」と言われることも増えてまいりました。いえいえ、まだまだこれからも主戦場は中国ですよ。

日本では『中国離れ』などという言葉も踊る昨今ですが、それでも大陸市場の大きさとインパクトは今も今後も変わりません。それを理解されてらっしゃる方々が商談会に集まるわけですから、真剣に海外展開の方法と自社商品の可能性を検討されて商談会に臨まれています。

そんな中、私もここ数年いろいろ地方を回り、ある程度の出品商品の傾向と当社のスタンスなども固まってきているところもあります。毎度各地で説明するのもなかなか骨が折れる面もあるので、この場末ブログでちょっと紹介させていただき一部の方に目を通して貰えればと思っています。

最初に、メーカーさんから提案される商品の特徴
  1. 商品はこだわりの地元品。品質は極めて良い
  2. 高価格。日本の同カテゴリ相場からみても高いものが多い
  3. 「中国人の富裕層に買って欲しい」を言いがち
はい、特に注意したいのが2と3です。日本の商品が手間暇かかっているので高くなるのは理解できます。オーバースペックの問題はよく言われますがここでは置いておくとして、問題は「日本国内の相場からみても高めの商品を海外向けで出そうとしている」という傾向です。その理由はおそらく、3の「中国人富裕層」というキーワードに想いを託しているからなんだと思います。

中国人富裕層はもちろんたくさんいます。上海でも、彼らが夜な夜な集うパーティでは高級車が飛ぶように売れ、海外旅行ツアーや高級化粧品、マッサージチェアが一夜で売り切れるほどの消費世界もたしかに実在します。しかし彼らの趣味嗜好は本来千差万別のはずです。富裕層とはいえ個々の所得差もあれば、教育もバックボーンも違うわけで、十把一絡げに「中国人富裕層」でくくれるほど単純な市場ではありません。実際、この分野で成功している企業は富裕層ターゲットを細かく分類し、きめ細やかなマーケティング活動を行いそこから派生させて販売量を増やしていきました。それを端からみた他社が、「あそこは富裕層向けの商品で上手くいった」と安易に判断しただけに過ぎないわけです。

さて次に、当社が地方メーカーさんとの商談時に特にどこを注目してるかとというと、ざっくり
  1. 見た目・パッケージが中国受けしそうか
  2. 商品に特徴があるか
  3. 日本国内においても手頃な価格か
  4. 上海もしくは決済権者が中国展開にどれだけ意欲的か
みたいな感じです。すいません、味や品質はチェックポイントに入っていません。いや、もちろん大事ですが本音を言えばそこまで重要視してないです。だってモノは中国に比べて良いに決まってますから。なので価格が大事になってくるんです。

正直、私達は販売時にあまり「富裕層向け」という売り方を考えていません。だって食品ですから、大事なのは「単価」ではなく「購入者数とリピート率」です。超高額商品なら別ですけどね。なので、メインターゲットはいわゆる「中流層(年収6000~16000ドル)の上の方から主流層(16000~34000ドル)」を考えてまして、「現地品より少し高いけど、無理せず継続して購入してもらえる商品」に特化していきたいと思っています。

そうすると、当然「日本の相場でも高めの商品」は必要ないんですよね。だって黙ってたって中国に持ってくる間に高くなるんですから。普通かできればそれ以下の価格帯の商品を我々は欲しがっています。

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内閣府 世界経済の潮流より

「中国人富裕層」という響きはたしかに魅力です。しかしその実態は実に掴みづらく、メインターゲットとするとかなり現地ネットワークを流動的に駆使しないと入り込めません。中小の外国企業が、自分たちの発想だけでコストも利益もモリモリ乗っけた高価格商品を持ってきて簡単に売れるわけがないわけです。

というわけで、そんな夢のある幻想は一旦忘れて頂いて、中国の都市部を歩く大多数の「一般的な中国人」に向けて買ってもらえるような商品を、ぜひご紹介してほしいと思います。