47NEWS >  47トピックス >  超おすすめ

47トピックス

【河野談話検証報告書 】 交渉「暴露」に賛否交錯 修正封印に期待、韓国反発


 河野談話の検証報告書を日本政府が公表したことに対し、別所浩郎駐韓日本大使(左)を呼んで抗議した韓国外務省の趙太庸外務第1次官=23日、ソウル(共同)
 従軍慰安婦問題をめぐる1993年の河野洋平官房長官談話の検証報告書に賛否が交錯している。日韓両政府の交渉内容が暴露されたことに、韓国では「日本とは外交ができない」と不信の声が噴出。一方、日本が韓国の要求を抑え「調査を踏まえた事実」を反映させた経緯も明示された。識者からは談話の正当性が裏付けられ、日本でくすぶる修正要求を封じられると期待する声も上がった。

 日本側「発表の文言については内々貴政府に事前にご相談したい」

 韓国側「日本の努力と誠意を評価したい」(93年7月の日韓外相会談)

 報告書は日韓が談話の文言を調整し、韓国の要求の一部が反映された経緯を詳述した。原案にあった、慰安婦への「おわび」という表現は、韓国の要望で「おわびと反省」に差し替わった。

 韓国政府当局者は内幕の公表を「慰安婦問題が歴史的事実というより政治的妥協の産物だとの印象を与えるものだ」と非難。 朴槿恵 (パク・クネ) 政権の外交ブレーンは「ここまで表にするのか」と漏らした。

 朝鮮半島の外交に詳しい 文正仁 (ムン・ジョンイン) ・延世大教授 は、検証は安倍晋三政権による「過去の政権の否定だ」と指摘し「こうした目的で外交上のやりとりを公表することは成熟した民主主義国家ではあってはならない」と話す。

 朴政権も昨年、2007年の南北首脳会談で 盧武鉉 (ノ・ムヒョン) 大統領が 金正日 (キム・ジョンイル) 総書記に融和姿勢を取ったと強調する目的で、会談議事録を北朝鮮の了解なしに公開した。文氏は、日本の報告書が質的に「同じもの」だと断じ、相次ぐ「暴露外交」を嘆く。

 一方、朝鮮半島と日本の外交に詳しい 小此木政夫 (おこのぎ・まさお) 九州大特任教授は、報告書を評価する。日本政府が韓国の意向を「調査を踏まえた事実関係をゆがめることのない範囲」でしか受け入れなかったと明記したことで、日本の保守派からの談話修正要求は「封印される」と展望するからだ。

 河野談話で最大の焦点は、慰安婦募集の「強制性」だった。報告書によると日本政府は、韓国が要望を出す前から、慰安婦募集に関し何らかの「強制性」が存在したと判断。その上で、慰安婦全員が強制されたとは認定できないとし、全て強制だったとする韓国側の主張を拒否した。

 最終的に談話は、慰安婦の募集が「総じて本人たちの意思に反して行われた」と玉虫色の表記に落ち着いた。

 小此木教授は「国内の論点を収拾した報告書が出たことで日本外務省は談話の見直し要求にさらされることなく慰安婦問題の解決を図る土台を得た」と話し、日韓が協議を深める契機にできると期待する。
 「談話の根幹を揺さぶるたくらみには断固対処する」と怒る韓国政府は23日、別所浩郎駐韓大使を呼び、1時間弱にわたって抗議するなど拳を振り上げている。しかし4月から始まった慰安婦問題を扱う局長級協議をやめるとは言っておらず、検証がもたらす影響を見極めようとしている気配もある。(ソウル共同=粟倉義勝)

 (共同通信)

2014/06/24 10:28

ロード中 関連記事を取得中...


コメント

コメントをお寄せください