いつでもどこでも、どんな時でも。スマートフォン(スマホ)の普及は、これまでリビングで閉じていたプライベート空間を、学校や電車の中など公的な空間にまで拡張させてしまった。その弊害のひとつが、急成長を遂げているソーシャルゲームだ。手が空けばところかまわずゲームに興じるのは当たり前、中には友人のアカウントを乗っ取ってアイテムを奪う事件も起きた。今や「不夜城」と化したソーシャルメディアから、子どもたち守るにはどうしたらいいのか。その処方箋を、元小学校教員でIT(情報通信)ジャーナリストの高橋暁子氏が解説する。
電車に乗って辺りを見回すと、ほとんどの乗客がスマートフォン(スマホ)を操作している。利用しているのはゲームかソーシャルメディアだ。
普段持ち歩くスマホを使って、無料でゲームが楽しめるのは実に魅力的だ。多くの大人そして子どもたちが、ソーシャルメディアとゲームが一体化したソーシャルゲームに時間を取られ、これに縛られた生活を送っている。
急速に成長しているソーシャルゲームだが、従来の専用機で遊ぶゲームに比べてとてもシンプルで単純なものが多い。開発の敷居が下がった一方で、中毒性は高くなっている。
多くのゲームは友達同士が交流して協力する必要があり、友人関係がかかわるため、なかなか途中でやめられない。また希少性(レア度)の高いアイテムは利用者の所有欲求や承認欲求を刺激するが、それらを手に入れるにはアイテムを購入する必要がある。アイテム欲しさが高じて、不正アクセスなどにより他人のアイテムを奪う例も出現している。
ソーシャルメディア関係のトラブルは女子に多いが、ゲーム関係でトラブルが起こるのは圧倒的に男子が多い。一口にゲームの問題といっても、その中には高額課金、長時間利用、人間関係など様々な問題が絡んでいる。
■「いつでもどこでも」で中毒患者が増加
中高生の間で数年前まで多かったのは、パソコンを中心としたオンラインゲームの問題だ。だが、パソコンに向かい続ける形のオンラインゲームの時代はスマホの普及とともに下火になっていった。スマホを使えば、いつでもどこでも無料でゲームができるようになったからだ。
「学校に行くのはゲームの体力が復活するまでの暇つぶし」と高校2年生のA介は言う。最近のスマホゲームは、ゲーム内のキャラクターの体力がなくなると、復活してゲームを再開できるまでに時間がかかる仕組みになっている。
A介は、ゲーム内のキャラクターの体力が戻ったら誰がいてもどこにいてもゲームをする。それがA介の最優先事項なのだ。「回復するまでの時間はもう体で覚えてる。回復したのにゲームができないとイライラして周りのものを破壊したくなる」という。
たとえ授業中でも、ゲーム内の体力が回復したらゲームをする。誰かと話していても構わずゲームをする。A介の生活はすべてがゲーム中心だ。「だってせっかくゲームができるようになったのにもったいないでしょ」。
A介が得意げに見せてくれたゲームの画面を見ると、A介のハンドル名がランキング上位に食い込んでいた。帰宅後や休日は一日中ゲーム漬けだ。体力が戻るまでは、ほかのゲームをしている。A介は休日が最高に楽しくて充実しているという。「ほかのゲームが一通り終わると、最初のゲームがまたできるようになっている。最高に効率がいい」。
スマートフォン、ゲーム、オンラインゲーム、WebMoney、電子マネー、不正アクセス、アイテム課金
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