政府・自民党:相次ぐ舌禍…「1強」の慢心?
毎日新聞 2014年06月23日 22時03分(最終更新 06月23日 22時44分)
政府・自民党が、閣僚や同党の東京都議の相次ぐ失言に危機感を強めている。自民党の石破茂幹事長は23日、都議の女性蔑視ヤジ問題を陳謝し、菅義偉官房長官も「不適切な発言だ」と改めて強調。党執行部は先週末からヤジを飛ばした本人に謝罪を迫るなど早期の幕引きを求めてきた。しかし国会でも都議会でも多数を占める「1強」のおごりがゆるみにつながっているとの指摘もあり、引き締めは容易ではなさそうだ。
「党の責任者としておわびしたい。国民が(おごりだと)思われたことは事実として受け止めなければならない。今後そういうことがないよう、強く徹底したい」。石破氏は23日、鈴木章浩都議のヤジ問題などを念頭に、記者団にこう述べて党内に警鐘を鳴らした。
みんなの党会派の女性都議への18日のヤジを巡り、自民党本部は「都議会の問題」といったんは推移を見守ったが、「ヤジは自民党都議だったのではないか」との疑惑が浮上。石破氏は21、22両日のテレビ出演で「自民党だとしたら、党全体でおわびすべきだ」と強調し、都連に所属する萩生田光一・総裁特別補佐も「まったく擁護する余地はない。とりあえず謝罪は必要だ」と語り、早期収拾へ都連に圧力をかけた。
鈴木都議は23日に自民会派からの離脱を表明し、執行部は「これから先は自身の行動で示すべきだ」(石破氏)と沈静化を図る。しかし「産めないのか」など他のヤジの発言者は判明せず、火種は残っている。
政府内では22日の国会閉会直前、石原伸晃環境相の「金目(かねめ)」発言が飛び出し、撤回に追い込まれた。石原氏は23日、福島県入りして謝罪したが、反発は収まっていない。さらに麻生太郎副総理が21日に宇都宮市で、いじめ問題と集団的自衛権論議を結びつけて発言。菅氏は石原、麻生両氏について「内閣は常に謙虚であって、誤解される発言は控えるべきだ」と述べた。
鈴木都議の謝罪を受けて記者会見したみんなの党の浅尾慶一郎代表は、一連の発言問題について「政治家の緊張感の欠如、ゆるみがあった可能性は否定できない」と批判。自民党議員の一人は「通常国会をまだ開いていたら、野党から追及されて大変なことになっていた」と漏らした。【影山哲也、水脇友輔】