大越
「学校給食で、ある決断をした自治体があります。
給食と言えばこれでしょ、という非常におなじみのものをメニューから外そうというわけなんです。
好き嫌いは別として、賛否両論あると思います。
まずはご覧ください。」
学校の給食から牛乳が消える?
学校の給食から牛乳が消える?
井上リポーター
「こちら都内にある小学校、ではなくて、学校給食を疑似体験できるお店です。
懐しのソフト麺、そして揚げパン、そして給食と言えば、これですよね。」
学校給食で飲まれ続けてきた「牛乳」。
給食に出すのを、一定期間、やめることを決めた自治体が…。
核心:不動の定位置が…
井上リポーター
「街の皆さんにとって、給食の牛乳はどんな存在なんでしょうか。」
男性
「あって当たり前。
何の疑いもなく飲んでいた。」
男性
「好きだったので、休んだ子の分まで牛乳を飲んでいた。」
“今日から学校では完全給食。
コッペパンとミルクがおいしそうです。”
学校給食が始まったのは昭和20年代です。
食糧事情が厳しい中、子どもの栄養補給が主な目的でした。
“いただきます!”
そして、昭和40年ごろには、脱脂粉乳に変わって、牛乳が登場します。
時代とともにメニューが変わっても、牛乳は常にその中にありました。
今回、長年、給食で出されてきた牛乳を見直そうとしているのが、新潟県の三条(さんじょう)市です。
米どころの新潟県。
三条市では平成20年度から、給食で毎日、ごはんを提供する「完全米飯給食」を実施してきました。
こうしたなか、今年(2014年)12月から4か月間、給食に牛乳を出すのを試験的にやめることを決めたのです。
その理由を市長に尋ねると…。
新潟 三条市 国定勇人市長
「子どもたちや保護者の方々から、『ごはんと牛乳は合わないのでは』との声、少なからずずっと聞かされていた。
大人も、ごはん食を食べるときに、牛乳をいっしょに飲むことはあまりない。」
そして、もう1つの理由が、消費税率のアップです。
新潟 三条市 国定勇人市長
「消費増税、食材費が高騰し始めているので、給食費を上げる選択をとるのか、現状維持のまま、中身工夫か、選択迫られた。」
検討した結果、牛乳を出すのをやめることで、給食費を据え置くことを決めたのです。
今回の決定、地元の人たちは、どのように受け止めているのでしょうか。
子ども
「牛乳はすごく好きなので、ずっとあってほしい。」
男性
「牛乳は栄養分がいっぱい入っている。
なぜ、なくすのかわからない。」
女性
「ほかのもので(栄養を)摂取できれば、それはそれでいいのでは。」
市内で乳牛40頭を飼う酪農家は…。
酪農家 村山喜隆さん
「率直に残念。
子どもたちの喜ぶ顔を想像しながら搾っていたので。
(牛乳には)体が成長するときに大事な要素がたくさん入っているので心配。
どこで牛乳の栄養価をほかの食材で補うのか。」
栄養面での心配について、三条市はどのように考えているのでしょうか。
三条市 食育推進室 田村直室長
「これが牛乳がない献立。」
市が考えているメニューの一例です。
左がこれまでどおり、牛乳があった場合のメニューです。
牛乳がない場合はカルシウムなどを補うため、ご飯にシラスとのりのふりかけを追加。
野菜は、カルシウムが多く含まれるごまあえに変えます。
みそ汁には粉にした煮干しを入れます。
三条市 食育推進室 田村直室長
「牛乳ありの給食のカルシウムに対し、84~85%とれていることになる。
家庭でも、もっとバランスのいい献立をお母さんたちにもいっしょに考えてもらえればいいなと。」
給食に牛乳を出すのをやめる今回の試み。
三条市では4か月間の取り組みの結果を検証した上で、来年度以降の対応を決めることにしています。
大越
「当たり前と思われている常識というのも、時代の移り変わりとともに変わっていくのかもしれません。
先ほど『休んだ子の分まで自分は飲んでいました』という男性がいましたけれども、自分もそのクチだったのでちょっと複雑ですが、皆さんはどんなふうにお考えでしょうか。」