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Emによる環境教育の問題点(新潟市)

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新潟県新潟市の早通小学校におけるEM活性液の飲用事例を元にして,EMの環境教育への導入の危険性を啓発するためのスライドの叩き台.

新潟県新潟市の早通小学校におけるEM活性液の飲用事例を元にして,EMの環境教育への導入の危険性を啓発するためのスライドの叩き台.

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    Emによる環境教育の問題点(新潟市) Emによる環境教育の問題点(新潟市) Presentation Transcript

    • 新潟県新潟市江南区・早通小学校にみる EM菌TMによる環境教育の危険性 鈴鹿工業高等専門学校 機械工学科 准教授 白井 達也
    • 背景:新潟県におけるEM菌活用の促進 http://www.city.mitsuke.niigata.jp/4288.htm http://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/gomi/recycle/namag omi/h16_19emankeito.html
    • 問題:早通小学校における“EM菌の飲食” http://www.hayasho.city-niigata.ed.jp/news24-1/4_27.html (問題発覚後の2014.6.23には削除) https://archive.today/Uu0LM にバックアップ
    • 問題:亀田東小学校での事例 http://www.kamedahigashi-e.city-niigata.ed.jp/sotugyousei/13nendonyuugaku/6nen/topics-6nen.html (平成13年度:拡大した写真のボカシは白井が追加しましたがWebでは公開されています)
    • 前提知識:EM菌TMとは何か? これらの公立小学校で用いられているEM菌とは, EM研究機構が開発し,販売している商品群のことである. www.emro.co.jp/
    • 前提知識:EM菌TMとは何か? これらの公立小学校で用いられているEM菌とは, EM研究機構が開発し,販売している商品群のことである. www.emro.co.jp/em/product/ 【EM・1®】 通常、EMと呼ばれる微生物 資材は、「EM・1®」を指します。 EM・1®には、EMを構成する微 生物が全て含まれており、あ らゆるEM活用技術の基本に なる製品です。製品は、この ままでも使用できますが、EM 活性液やEMボカシを作り増や してから使用することをお勧 めします。 (注)なお,EM・X GOLDは, EMの発酵の力を利用して作 られた発酵飲料であり,製造 過程で殺菌されているため飲 用に問題はありません.
    • 前提知識:EM菌TMにまつわる誤解(1) 以下の記述はEM研究機構のWebページ(www.emro.co.jp/em/)の情報に基づいています. 1) EMTMとはEM研究機構が管理する商標である 《EM™とは「有用 (Effective)」と「微生物群(Microorganisms)」を組み合わせた「有用微生物群」の 略で、EM™の開発者である琉球大学農学部比嘉照夫教授により名付けられた造語です。》 EMによる環境教育を行うということは,特定企業の製品を行政が後押しすることになります. 2) EM菌という菌は存在しない 《乳酸菌、酵母、光合成細菌を主体とし、安全で有用な微生物を共生させた多目的微生物資材で す(通称:EM菌*)》 《動物はじめ水生生物など様々な生物に対して安全であることが、信頼のある研究機関で確認さ れています。また、家畜に与える事ができるA飼料としても認証を受け、家畜の飲み水やエサに 混ぜて使用する事ができます。》 具体的な菌の種類とその割合は公表されていない. 基本的に土壌改良材や排水汚泥の処理や堆肥作りを想定している商品である. 家畜用飼料としては認証を受けている(未確認)が,人が飲用することまで認めてはいない. (飲用としてEM・X GOLD:殺菌済み,が販売されている)
    • 前提知識:EM菌TMにまつわる誤解(2) 以下の記述はEM研究機構のWebページ(www.emro.co.jp/em/)の情報に基づいています. 3) “善玉菌なので人や環境に優しい”? EM研究機構も《反対に有機物を有用発酵させる力を持っているのがEMを構成する善玉菌の微 生物たちです。》 emro.co.jp/em/science/ のように,善玉菌という用語を用いる. しかし実際にEMを環境教育に用いる際には,EM研究機構も推奨するように「EM・1®」を培養し て増やす(希釈ではありません)方法をとります.“発酵”を伴うので雑菌混入の危険があります. 100倍~1000倍に増やせる方法: http://www.emro.co.jp/download/pdf/leaflet1.pdf http://www.emro.co.jp/download/pdf/leaflet2.pdf
    • 直接的な問題:健康被害の発生する危険性 以上の前提知識中で述べたように,EM-1は人が飲用するこ とを目的としておらず,それを培養した《米のとぎ汁EM発酵液》 や《EM活性液》は雑菌の混入および増殖により有害な細菌や 毒素による重篤な食中毒症状を発症する恐れがさらに高い. 平成24年度,早通小学校 http://www.hayasho.city-niigata.ed.jp/news24-1/4_27.html (https://archive.today/Uu0LM) 【問題点】 • 健康被害発生の恐れがある試みが教育現場で実施された. 【原因】 • 教職員の知識不足 • 行政もEMの利用を後押ししていた • “善玉菌”という用語の濫用による思考停止
    • 間接的な問題:EM菌の似非科学性(1) 以前から,EM菌については“似非科学”である点が指摘され続けてきた. 【似非科学(疑似科学)】 《疑似科学(ぎじかがく)とは、科学的方法に基づく、あるいは科学的に正しいと認められている知見であ ると主張されているが、実際にはそうではない方法論、信条や研究を指す》 Wikipedia 非科学的なものと異なり,原理は現代の科学では説明しきれないものの現象については科学的な裏づ けがあるように振舞う(一部の真実を含む)ことで信憑性を高める.オカルト(神秘的,超自然的なもの)へ の心理的な障壁を下げて導く危険性が高い. 【作用機序】 波動,重力波,元素転換,シントロピー(造語),エネルギーの物質化 【効能】 水質改善,ヘドロの減少,結界(口蹄疫,鳥インフルエンザの予防),放射能対策(放 射性物質の体外への排出,元素転換によるセシウム等の無害化),交通安全,がんの消滅
    • 間接的な問題:EM菌の似非科学性(2) 【EMを学校教育で用いる問題点】 (注意点) 直接的に目で見える効果の有無で判断してはいけない EM石鹸も通常の石鹸同様に洗浄効果はある.定量的な効果の比較でEMの正当性を論じることは危険. ・善玉菌信仰 → 万能性: 今回の事例に至った根本的な問題点 ヨーグルトのCMなどで(以前は)善玉菌という用語を頻繁に用いていた悪影響.腸内細菌環境を調整する ことと,自然界(河川やプール)を浄化することは全くメカニズムが異なるのに同一の次元で“人や環境に善い もの”と説明されることで思考が停止し,健康被害が生じる可能性を見落とした. ・神秘主義へのハードルを下げる → 科学技術の軽視(暗黒時代) 大袈裟に聞こえるかも知れないが,血液型性格判断,星座占い,パワースポット,パワーストーン,ゲルマ ニウム,スピリチュアル,守護霊,UFO(アブダクション),チャネリング,ケムトレイルなど,非科学的あるいは 似非科学的なものから陰謀論まで様々な事柄が存在し,個人で楽しむ範囲では問題の無い事柄であっても, それを現実世界に存在するものと確信して日常生活の行動指針に適用し,他者を巻き込むようになる恐れが ある.EMの分かり易い現象と効果(米のとぎ汁が発酵する,プールの清掃が楽になる)を入り口として,【作用 機序】や【効能】を鵜呑みすることで,現代科学では未知の現象が身近に存在すると確信し,論理的な思考や 科学的な判断を蔑ろにするようになる恐れがある.