井上亮、大日向寛文
2014年6月24日00時47分
名古屋鉄道が25日に創業から120年を迎える。はりめぐらせた鉄道網を土台に、人々の営みを長年支えてきたが、経営環境は厳しい。東海の「私鉄の雄」は、どこへ進もうとしているのか。
■鉄道利用は11%
約3万人が働くトヨタ自動車の本社(愛知県豊田市)。名鉄で最寄りの土橋駅では6月のある日の夕方、退社時間にもかかわらず人はまばらだった。本社との行き来はタクシーかバスが普通で、社員の一人は「トヨタに電車通勤の文化はないと言っていい」。この駅は名鉄の乗降客数で50位にも入らない。
「小田急対京王」「近鉄対南海」――。首都圏や関西圏では私鉄同士の競争が激しい。一方、名古屋圏は名鉄が「ガリバー」だが、もうける力は見劣りする。
線路1キロ当たりの収入は1日平均49万4千円。私鉄大手16社で最も低い。低収益の大きな原因は、名古屋圏の人口密度が首都圏や関西圏より低いことにある。
さらにのしかかるのは、トヨタという巨人の存在だ。「東海地方はマイカーというライバルが他地域より強い」と名鉄幹部。国土交通省や自治体などでつくる協議会の調査では、名古屋圏の人が移動でマイカーを使う割合は、首都圏、関西圏の2倍の61%。その分鉄道利用は少なく、11%にすぎない。
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!