2014年6月23日12時31分
無念のドローとなったギリシャ戦。ただ、テレビをみた方は、スタジアム全体が日本を応援してくれている雰囲気を感じたんじゃないでしょうか。
ギリシャ選手のファウルにはブーイング。日本の攻撃には大歓声。スタンドには日の丸ハチマキを巻いたブラジルの方がたくさんいたと思います。初戦のコートジボワール戦に続き、完全に日本の「ホーム」状態でした。日本サポーターらが、ブラジルに行けない人の分まで集めてスタンドで配る「ハチマキ大作戦」の効果です。
■囲まれ求められる ちょっと怖い…
試合開始の約2時間前。作戦を呼びかけた池田重之さん(40)の一団約20人がホテルを出発。僕も25枚持って同行しました。
約3キロ離れたスタジアムまで歩いて向かいます。太鼓をたたくと、道路を走る車が次々とクラクションでリズムを合わせてきます。窓を開けて「ジャポン」「ニッポン」と叫んでくれる人もたくさんいます。
スタジアムに着くと、他のサポーターが配っていたのか、すでにハチマキ姿であふれていました。肩をたたかれ振り向くと「自分にもくれ」とジェスチャーでアピールするおばさん。1枚出すと、家族の分も欲しい、と言います。あっという間に複数に囲まれ、半分なくなってしまいました。
池田さんらは、ゴール裏のブラジル人サポーターに配る作戦です。浴衣姿の木田絵美さん(30)=東京都=らが配り始めると、飛ぶようになくなっていきます。僕が残していたものも一瞬で消えました。例えは悪いですが、「ピラニア」を思い浮かべてしまいました……。うれしいことなんですが。
配る際、木田さんらは「バモス トロセイル ジュントス(一緒に応援しましょう)」と呼びかけ。みんな、満面の笑みで親指を立ててくれます。
やはり漢字は難しいらしく、かなりの人が上下逆です。手ぶりで「逆さまだよ」と教えると、隣にいる正しい人までひっくり返すので途中であきらめました。手持ちがなくなり、「ない」と伝えた時の彼らの悲しそうな顔といったら……。こっちが申し訳なくなります。
結果、スタンドはハチマキだらけ。「闘魂」「忍者」「日本★オタク」……。手書きのものもあり、多くのサポーターが呼びかけに応えて持参したようです。
■根底に「日本への感謝」
ほとんどの人は日本に行ったことなんてないはず。ハチマキをもらえるにしても、こんなに応援してくれるのはどうしてなのか。
「なんでそんなに日本を応援してくれるの?」。スタンドで聞いてみました。ただ、多くの人は英語を話しません。体感では、10人に1人くらいが「話せるよ」と答え、本当に話せるのはその半分くらいです。
「ドゥー ユー スピーク イングリッシュ?」を何人か繰り返したところで、意外な返答が。「日本語でいいですよ」。なぬ! 聞くと、ナタル市内で日本語教師をしている方でした。ラッキーすぎます。名前はパウロ・オリベイラさん(29)。15歳の時、ナタルに留学していた日本人の恋人ができたのが、日本語を勉強するきっかけだったそうです。
通訳を頼み、何人かに聞いてみました。学生のセルジオ・フィリオさん(20)は「アニメが好き。ドラゴンボール、ポケモン。サッカーも好きだよ。本田も長友も知ってる」。後ろの誰かから「サッカー選手なら俺も『ツバサ』を知ってるぞ」と声がかかります。その彼女のハイアネ・クルーペさん(19)もやっぱりアニメ。名前を言われても知らないものがあります。日本食も好きで「焼き魚のすしが大好き」と言います。焼き魚のすし? ま、いいでしょう。
改めてパウロさんに聞いてみると、「昔、ブラジルに来た日本人に色んな事を教えてもらったことを感謝している人が多いんだと思います。農業とか文化とか、丁寧さとか。ブラジルと戦う以外なら、ブラジル全部の人が必ず日本を応援すると思うよ」。
親日家が多いとは聞いていましたが、こんなにも思ってもらえているとは。学校を卒業してから「○○君、すごいモテてたのに気づかなかったの」と言われたようなもんです。日本のみなさん、こんなに僕らのことを好きでいてくれる人たちがいること、覚えておかないともったいないですよ!
さて、肝心の試合は1点が遠く、引き分けに終わりました。悔しそうな表情を浮かべていた木田さんですが「私たちが持って来たよりはるかに多くのハチマキがあったので、作戦は成功だと思います」と言います。「でも、こっちの人は目が肥えてますから。日本のことが好きで、ハチマキをきっかけに応援してくれても、いいサッカーをしないと……」
それ、まったく同感です。得点シーンを見せて、スタジアムが爆発するような歓声、聞きたかったです。次戦に期待しましょう。
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