世界の中銀が運用多様化、株式や人民元に関心=調査
[ロンドン 23日 ロイター] - 世界69カ国の中央銀行を対象に実施した調査によると、中央銀行は債券利回りの上昇が最大のリスク要因と認識しており、株式での準備金運用をこれまでになく増加させる検討を始めている。
しかし、これは中央銀行がリスク選好を強めているというより、債券市場への先行き不安から各国中央銀行がポートフォリオ多様化で債券保有損の回避と運用利回り改善を目指しているというのが実態だ。
23日公表された、専門誌セントラル・バンキング・パブリケーション(CBP)とHSBCが世界69カ国の中央銀行を対象に実施した年次調査で、通常金融資産の大部分を債券で保有している各国中央銀行にとって債券利回りの上昇(=価格下落)が頭痛の種になっている実態が浮き彫りになった。
HSBCの中央銀行部門グローバルヘッド、クリスチャン・ディセグリス氏は「今回の調査で明らかになったのは、各国中央銀行が資産クラス、通貨の両面で運用形態を多様化させていることだが、人民元への関心の高まりが顕著だった」と指摘した。
対象となった中央銀行の保有準備金の合計は6兆7000億ドルで、世界全体の57%に達する。中央銀行1行平均の保有準備金は970億ドルだった。
回答を寄せた中央銀行の半数以上が、最も大きなリスク要因として債券利回りの上昇を挙げた。同じく半数以上が、今後株式もしくはETF(上場有価証券)での資産運用を検討するとした。これらの中央銀行の準備金合計は3兆ドル以上に上る。
ほぼ6割の中央銀行が、米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和縮小によって準備金運用に影響が出ると回答した。具体的には、新興国投資からドル建て資産へシフトし、債券でも期近物の割合を増やすなどとしている。
今後5年以内に株式での資産保有を行うとした中央銀行は昨年の14行からさらに増えて19行だった。株式保有はあり得ないとしたのは、わずか11行(16%)だったが、「(中央銀行として)権限が与えられていない」「株式市場は不安定すぎる」「規模的に余裕がない」などの理由を挙げた。またETF(上場投資信託)に投資するとした中央銀行も数行に止まったものの、「潜在的にはETFでの運用を前向きに考える傾向が存在する」と報告は指摘している。 続く...