(パトカーのサイレン)
(芹沢慶二)立松雄吾さん33歳。
(芹沢)昨日からこのホテルに泊まってる客です。
転落死ですね。
(米沢守)一服してたんでしょうな。
失礼…でたぶんライターが落ちて身を乗り出して転落…。
(伊丹憲一)なるほどな。
(星川智明)本部の方ですか?入谷署の星川です。
(星川)来てもらってすいませんがもう結構です。
(伊丹)もう結構?
(星川)ホテルで聴取しました。
立松さんは昨日部屋でタバコを吸って注意されています。
(三浦信輔)だからあんなところで…。
喫煙室が満室だったので禁煙室に泊まったようで。
(伊丹)争った跡は?
(米沢)いいえ。
事故の可能性が高いのであとは我々所轄が…。
ちょ…ちょっと待て。
事故の判断はちゃんと手順を踏んでだな…。
死体の全裸確認はします。
それで不審な傷がなければこちらで処理しますので。
(中園照生)殺人などの凶悪事件の時効が今年4月に撤廃されたのは当然知ってるな?現在事件の証拠品は管轄の所轄に保管されているが今後保管する証拠品が増えてうちに流れてくる可能性もある。
(杉下右京)なるほど。
それで我々をお呼びになった。
(神戸尊)え?我々に鑑識倉庫を片づけろとおっしゃっています。
えぇっ…?
(三浦)3日前に帰国したばかりだった。
18の時ニューヨークに留学してる。
(伊丹)最後はサンパウロか。
留学をきっかけに世界を放浪してたらしい。
(伊丹)ほとんど国外だな。
あそうですか…。
はいわかりました。
はい。
入谷署が事故で処理するそうです。
チッ…それで「はいわかりました」はねえだろ。
いやいやでもしょうがないじゃないですか。
ね?所轄がそうするって言ってるんですから。
お前な…。
あっでも…。
でもちょっとすごい事がわかったみたいですよ。
彼のおばあちゃん…。
15年前に殺されている?ええ時効が撤廃されていなければあさっての午前0時に時効が成立する事件でした。
立松さんは転落死でしたね?ええ。
先ほど入谷署が事故で処理したそうです。
詳しく聞かせてください。
(米沢)あはい…。
やっぱりね。
(米沢)ここでタバコを吸っていて転落したようです。
指輪は?はい?立松さんの指ですよね?ええ。
指輪の跡があります。
(米沢)ああ…しかし所持品に指輪はありませんでした。
「てっちゃん」に電話してますね。
おや?発信履歴は残っているのに着信履歴がありませんね。
あら…。
で帰国してすぐにホテルへ。
(米沢)ええ。
家はないようです。
10年前に両親が他界したようで。
そして15年前に祖母が殺害されている。
おばあちゃんの事件の時効がもうすぐだから気になって帰国したとか。
殺人の時効は撤廃されてますよね。
海外暮らしで時効の撤廃を知らなかった…。
可能性はありますね。
どうもありがとう。
調べてみましょう。
あれ?倉庫の整理忘れてます?…忘れてますよね。
立松さんの部屋すでに清掃されてました。
神戸君。
はい?ここ。
立松さんが落ちた時に付いたものでしょうか?さあどうでしょうねぇ。
まあ事件と事故を分ける物証にはならないですよね。
ああそう思って調べなかったのでしょうか。
気になってますよね。
あっ…ちょっと!気になりますねぇ。
今の人ですよね?それもそうですが立松さんが帰国してすぐこのホテルに宿泊した理由です。
いや天涯孤独で帰る家がなかったからじゃないですか?問題はなぜここかという事です。
なぜここか…。
彼は喫煙室が満室だったため禁煙室に宿泊したそうです。
はい。
だからこんなところでタバコを…。
あっ!ええ。
なぜそうまでしてここにこだわったのでしょう?確かに。
殺されたのは立松スミさん70歳。
凶器は家にあった漬物石。
一人暮らしだったようです。
死亡推定時刻は夜の11時頃。
家にあった貴金属類が盗まれています。
捜査本部が立った署はどちらでしょう?はい。
えー警視庁入谷署…。
あっ!先ほど入谷署が事故で処理したそうです。
孫の転落死を担当した署です。
謎が1つ解けました。
なぜあのホテルだったのか。
入谷署の近くだったから。
だとするならばやはり15年前の事件が気になって帰国したと考えるべきでしょうね。
(星川)昨日転落事故で死んだ人ですよね?ええ。
ここに来ませんでしたか?誰か見た方は?見てないですね。
そうですか。
どうも。
あなたはいかがでしょう?僕が見た時には死んでました。
ああつまりあなたが彼の転落死を担当された。
事故で処理した件をなぜ調べてるんですか?それはそうとお願いがあるのですが。
被害者立松スミさんのご家族の調書です。
ご家族は被害者とは別居していました。
被害者の死亡推定時刻には豊島区の自宅にいたそうです。
息子さんは居間に奥さんは寝室に立松雄吾さんは自室にいたと供述しています。
そしてこちらが被害者の町内会の人の調書です。
町内会?被害者は殺害当日町内会の旅行に行っていました。
でも殺されたのは自宅で…ですよね?被害者はひと足先に帰宅しています。
先に?どうして?被害者は旅先で同行者とケンカしたようです。
あ…じゃあ本当なら被害者は留守のはずだった。
犯人はそれを知っていた可能性があります。
さらに町内会の人に共通する証言が…。
「立松スミさんには相当貯め込んでいるという噂がありました」犯人はその噂も聞いていた可能性があります。
だからスミさんが留守の時に泥棒に入った。
ええおそらく当時の捜査員もそう思ったからこそご家族と町内会の人を中心に事情聴取したのでしょう。
気になるのは第一発見者のこの人。
「上田庄之助60歳」…。
あれ?この人。
ええ町内会の旅行で被害者とケンカした人です。
なのに第一発見者…。
「立松スミさんが機嫌を悪くして帰ってしまったため私もいたたまれず電車で帰りました」「家に着いたのは夜11時頃だったと思います」被害者の死亡推定時刻ですね。
そして上田さんも一人暮らしです。
あっ…つまりアリバイがない。
「私は帰宅したあと立松スミさんに謝ろうと何度か電話をしたもののずっと話し中であるのを不審に思い夜12時頃彼女の家を訪ねました」「しかし呼び鈴を押しても返事はありませんでした」「こんな時間まで帰っていないのは変だと思い…」
(上田庄之助)スミさーん!
(上田)スミさん!この供述には1つ気になる点があります。
被害者の家の電話がずっと話し中だったという事です。
これですよね?ええ。
調書によると第一発見者の上田さんは隣の家に駆け込んで通報しています。
また殺害当日被害者の家の電話は使われていません。
なぜ受話器が外れていたのでしょう?うーん犯人と揉めた時に外れたとか…。
それから…。
これ。
気になりますよね。
すべて一万円札で506万円です。
台所の床下収納にあったそうです。
被害者の血液ですね。
床下収納の上に死体があったため発見されるまで彼女の血液が流れ込んだんでしょう。
それで証拠品として押収されています。
犯人は貴金属は盗んだけれどもこのお金は盗まなかった。
現金があったのを知らなかったか床下にあったため見つけられなかったか。
この事件現在捜査している人はいないのでしょうかねぇ。
この事件を追ってる人はもううちにはいません。
おいいるだろ?猪瀬さんが。
ああ…。
猪瀬さん…どなたでしょう?いや…警務の係長です。
もう刑事じゃありません。
もう刑事じゃない…つまり以前は刑事だった。
この事件の担当でした。
それを今でも捜査してるんですか?1人で。
これもよく借りに来ます。
そうですか。
熱心なんですねぇ。
ただの意地でしょう。
意地とおっしゃいますと?この捜査で体壊して刑事辞めましたから。
(足音)失礼します。
あの猪瀬係長は?
(猪瀬洋三)私です。
本部の方ですね?おや…。
丸山係長から聞きました。
丸山係長…。
どちらの係長さんでしょう?鑑識の…。
会ったんじゃないんですか?もしかして今一緒にいらした方ですか?…ええ。
なぜ我々が丸山係長に会ったと思われたのでしょう?いや本部から調べに来てるって言ってたんでてっきり…。
なるほど。
実はこの人についてちょっと調べています。
この署に来た可能性があるんですが見た事は?知りませんねぇ。
覚えていませんか?会った事ありませんから。
15年前の事件の被害者遺族です。
あなたが担当していた「西入谷独居老人殺人事件」。
思い出しました…。
気になりませんか?は?15年前の被害者遺族をなぜ我々が調べているのか…。
彼が転落死したからですよね。
それはお聞きになってましたか。
あっしかし今あなたは彼を知らないとおっしゃいました。
顔を見たのは15年前です。
忘れてました。
なるほど。
でその15年前の事件を今でも捜査されてる。
あっそうそうその事件の捜査の過程で手柄を上げたそうですね。
警務へ異動されたあと連続窃盗犯を逮捕されたとか。
贓品捜査をしていてたまたまです。
つまり被害者の家から盗まれた貴金属の捜査ですね。
それを今でも続けてらっしゃる。
まあ警務の仕事の合間に…。
という事は当時の盗品リストを今でも持ってらっしゃる。
そのリスト拝見できますか?あっこちらです。
拝見します。
こちらお借りしても?それは構いませんけどこの事件お調べになるんですか?幸い時効は撤廃され時間はたっぷりあります。
未解決事件担当の特命対策捜査係の方ですか?部署の名前は近いんですけど違います。
ではどうして?とても暇な部署なもので。
ではお借りします。
…どうぞ。
猪瀬さんは最近会ってますね立松さんと。
はい。
でもなぜか会っていないと否定している。
会うんですか?丸山係長に。
ええ。
失礼します。
ちょっといいですか?
(丸山渡)どなたですか?あれさっき一瞬目が合いましたよね。
それに我々が本部の人間である事はご存じなのでは。
この人について調べています。
見覚えは?いいえ。
昨日転落死した人です。
こちらの署の担当ですよね?ああ…。
ホトケさんの顔までは見ていないので。
おやおや鑑識係長に遺体の写真を報告していないとはいけませんねぇ。
遺体写真は見たかもしれませんが遺体になる前と後では印象が違うんですよ。
ああなるほど。
こちらはご家族ですか?
(咳払い)あの…なぜ本部が事故で死んだ人物を調べてるんですか?神戸君。
その事故現場にこんな痕跡がありましてね。
転落死のあったホテルの非常階段の手すりです。
ここに傷がありますよね。
何かで引っかいたような。
彼が転落する時に付いた傷ではないかと思いましてね。
…かどうかはこれだけではわからないね。
つまりお調べになってはいない。
いつ付いたのかわからない傷を調べても仕方ないだろう。
仕方ありませんか。
だいたいこれについては本当に報告は受けてはいない。
あの2人の係長どうも歯切れが悪いですね。
まあ事故死を調べ直されたくないって事なんでしょうけど。
それだけでしょうかねぇ。
えっ?15年前の関係者に1人気になっている人物がいます。
いましたね。
(上田)なんだい?あの夜はなぜ立松スミさんの家をお訪ねになったのでしょう?15年前に戻ったみたいだな。
同じ事を聞かれてる。
申し訳ない。
また不愉快な思いをさせて。
謝りたくてねそれで電話したんです。
だけど何度かけてもお話し中なんだよ。
だから寝てるわけじゃない。
それでちょっと…。
ああそれで真夜中にもかかわらず訪ねたわけですね?ああ。
お互いにいつでも行き来する仲だったんでね。
親しい間柄だったんですね。
おう。
おっ勘違いしないでくださいよ。
私は昔も今もずっと死んだ女房一筋ですから。
ところで15年前旅先でスミさんとケンカをした原因はなんだったのでしょう?たわいない事ですよ。
ええどのような?くれると言ったんですよ形見を。
形見?亡くなった旦那の服とか靴とかそういった形見をね。
それをスミさんがあなたに。
そんなもん気軽に人にやるな。
大切にしまっとけ。
まあたわいないケンカですよ。
そうでしたか。
時効って…なくなったんですよねぇ。
ええ。
殺人などについてはですが。
そうなると犯人はどうなるんです?どうなるとは?ずーっと逃げてなきゃならない。
自首してくれるといいのですがね。
じゃあ逃げ得はなくなるんだ。
そういう事になりますね。
(大木長十郎)所轄でしょ…?
(角田六郎)おっ…。
お客さん。
おや。
あっ。
いやああなた方に黙っててもいずれわかると思いましてね。
はい?おとといの夜私は立松さんに会ってます。
えっ?転落死した前の日じゃないですか。
私の顔を覚えてたらしくて。
(立松雄吾)あっ…。
(立松)刑事さんですよね?ばあちゃんの事件捜査してた。
(猪瀬)捜査の進捗状況を聞かれました。
やはりそれが目的で帰国したんですね。
4日後に時効が成立すると思い込んでて時効が撤廃されたと伝えたら驚いてましたよ。
(立松)祖母が殺されてからうちは変わりました。
なんで祖母を一人暮らしさせたんだろうって親父もおふくろもそんな話ばっかりで…。
雰囲気が悪くなったんで家を出たいと思ったそうです。
だから留学を?ええ。
でも卒業後も家に帰る気にはなれなかったようで。
そういうお話であったのならばあなたはなぜ彼と会った事を我々に隠す必要があったのでしょう?それはお話しいただけませんか。
っていうかよくわからないんですよ。
本部の刑事が調べに来てる。
(猪瀬)15年前の事件をどうして?その被害者遺族が昨日転落事故で死んだらしい。
えっ…?君のとこにも来るかもしれない。
でも正式な捜査じゃないようだ。
適当にあしらってくれて構わない。
適当にって…。
うちが事故で処理した件を蒸し返されたくない。
事故で処理された件を調べ直されたくなかった。
ええまあそう言ってましたけど…。
何か心当たりでも。
まあ蒸し返されたくない気持ちはわからなくもないですけど事故だと判断したのは刑事でしょう。
鑑識は関係ないんじゃ。
彼も以前は刑事でしたから気持ちがわかるんじゃないでしょうか。
ん?じゃあ丸山さんも15年前の事件を?いや担当ではなかったです。
けど何度も警視総監賞をもらうような優秀な刑事でしたから。
ああ…。
その功績で鑑識係長に。
ええ。
でも水が合わなかったようですけどね。
水が合わなかった…。
ああいや…。
別に深い意味は。
ところで猪瀬さんはなぜそこまで15年前の事件を…。
あのヤマで私はデカの仕事も家族もなくしました。
やめられなかったんですよねぇ。
それで連続窃盗犯を逮捕できたんですよね?ええ。
その件で私も警視総監賞をいただきました。
それを帰って自慢しようとしたら…家族はもういなかった。
意地ですよ…私がこのヤマを追っかけてるのは。
おはようございます。
おはようございます。
おや丸山係長の賞罰資料ですね?はい。
大河内監察官から借りてきました。
仲がよろしいんですね。
ちょっといいですか。
鑑識係長になるまでは何度も警視総監賞を授与されています。
しかし鑑識係長になってからは訓戒と減俸二度の懲戒処分。
ともに証拠品の紛失による責任を問われたそうです。
証拠品の紛失ですか…。
(電話)はい特命係。
(米沢)「てっちゃん」の正体です。
細野哲臣…。
あれ?こいつ。
ええ。
消されていた携帯の着信履歴は?はい。
これです。
この番号がてっちゃん。
3件あります。
最後の着信は公衆電話からですか。
ええ上野駅周辺の。
それからこれなんですが…。
比較的新しい傷で銀の成分が付着していました。
銀?ええ銀。
シルバーです。
つまり銀製品で付いた傷?おそらく。
立松さんの遺留品に銀製品はありませんでしたね。
あっ…もしかして。
かもしれません。
(細野哲臣)すいません。
何階ですか?あ…4階です。
(ため息)ニュースで見たんですよ立松が死んだって。
であのホテルに行ったんですか。
(ため息)金を貸したんですよ。
お金を?立松さんに。
泊まってるホテルは聞いてたんで行けば警察がいるかと思って。
あの…貸した金って戻ってきます?それを警察に聞こうとしたんですか?まあ…。
でも警察に聞くのも違うかなと思って。
で何も聞かずに帰ったと。
ええ。
お金を貸したのはいつでしょう?えーと立松が日本に着いてすぐだから…。
4日前ですね。
いくら貸しました?5万。
当面の生活費を貸してくれって。
当面の生活のあとはどうするつもりだったのでしょう?すぐに金が入るから必ず返すって。
彼が海外にいる間連絡は取っていたのですか?年に1〜2回ぐらいかかってきたかな。
実際にお会いになったのはいつでしょう?あ…10年くらい前かな。
つまりあなたは10年ぶりに突然訪ねてきた友人に無担保で5万円を貸した。
いけませんか?いけないどころかあなたの友情に感心しています。
ところで…。
この指輪あなたのものですか?そうですけど…。
お借りしてもよろしいでしょうか。
は?杉下さんこの指輪。
たぶんそういう事でしょう。
彼の家に忘れたんでしょうか?いやだとしたら自分の指輪だなんて言うはずがない。
どういう事ですかね?立松さんはあと5日で時効だと思っていた。
はい。
それが帰国した理由。
そしてすぐに金が入ると言った。
うん。
そこがよくわかんないですよね。
やっとわかりました。
えっ?彼がこのタイミングで帰国した理由です。
はいなんでしょう?君もすぐにわかります。
今教えてくれないんだ…。
上田さん。
昨日はどうも。
どうかされましたか?警察署に何か?いやあ…散歩コースでしてね。
なるほど。
散歩コースの途中でたまたま立ち止まった場所が警察署の前でしたか?こういう言い方をする人なんです。
悪気はないんですよ。
(ため息)その…あなた方と話をしててねやっぱりなんだ…形見分けしてもらえばよかったなと思ってね。
亡くなったスミさんの旦那さんの。
いやスミさんのですよ。
ああ…。
でも遺品のほとんどは警察に運び出されたって聞いたもんで…。
なるほど。
神戸君。
はい。
説明して差し上げてください。
押収された被害者の私物は被疑者が送検されて刑が確定したあとまたは時効が成立したあと遺族に返されます。
でも時効はなくなったんだよね。
その場合は?あ…現金や貴重品などの場合はご遺族から請求があれば可能な限りお返しする…。
スミさんの遺族は誰もいなくなったんだ。
(丸山)まだ何か?お二人はよっぽど暇なんですね。
これは申し訳ない。
あっこの写真立てですがシルバーではありませんか?ええ。
最後にもらった警視総監賞の副賞です。
警視総監賞の副賞って普通メダルとかでは…。
ええ。
でもうちは昔から署長が代々ポケットマネーからこういう記念品をつけてくれるんです。
そういう事をしてくれる署よくあるそうですね。
でもそういうのってほとんどがポケットマネーじゃなく署にプールしてあるお金だって聞きますけど。
(咳払い)善意のポケットマネーだと思いますよ。
なるほど。
勉強になります。
それにしてもなかなか高価なものを。
昔は銀の腕時計だったんですがこれも経費削減の一環ですかね。
おや今経費と認めてしまいましたね?
(咳払い)出てってもらえますか?はぁ…肝心な事が何も聞けなかったじゃないですか。
おや僕のせいでしょうか。
なぜいつも余計な一言で相手を怒らせるんでしょう。
ああ君の余計な一言がうつったのかもしれませんね。
ハハハ…僕のせいですか?署の裏金について最初に指摘したのは君ですよ。
15年前の捜査資料を見せていただきたいのですが。
正式名は「西入谷独居老人殺人事件」…。
先日見たばかりですよね。
また見せていただきたくなりました。
はぁ…正直迷惑なんですよねぇ。
すいません。
お手数おかけします。
僕が今回事故で処理したのが気に入らないんですか?あなたの捜査報告書が決め手になったわけですね?なんで15年前の事件にそんなにこだわるんですか?今回あなたが事故で処理した事件とつながっているからです。
事件って…。
あれは事故ではありません。
殺人事件です。
ありました。
証拠品として押収されている506万円。
ここの鑑識倉庫にあるはずですね。
きっと立松さんの言ってたすぐ手に入る金。
時効が成立したら遺族に返還されたはずですからね。
これが帰国した理由だったんですね。
しかし時効は撤廃されました。
その場合でも還付請求すれば返されます。
まあそんな請求されれば否応なくこの証拠品は点検されますけど。
ではちょっと点検してみましょうか。
ありました。
ありましたけど…これどう見ても十数万円ってとこですよね。
506万円には足りませんねぇ。
証拠品の紛失ですね。
正確に言うならば証拠品の横領でしょうか。
立松さんが還付請求してたらこれ見つかってましたよね。
そういう事になりますね。
(丸山)ここで何してる!丸山係長こちらお金が足りないようですね。
頼む。
見逃してくれ。
頼む!今度証拠品の紛失が発覚したら私は…私は…。
見逃してください。
ここから立松さんを落とした時これ…ぶつけてしまったのでしょうね。
警視総監賞でもらった大切な腕時計を。
その件で私も警視総監賞をいただきました。
昔は銀の腕時計だったんですが。
ここから銀の成分が検出されました。
不純物の割合を調べればどの銀から付着したのか特定できます。
あなたも元刑事。
わかりますね?あなたですよね?鑑識倉庫からお金を盗んだのは。
時効が撤廃され唯一の遺族は事実上行方不明。
証拠品は永久に保管され点検されない限り発覚する事はない。
15年あの事件を捜査してたあなたならあの倉庫に何度も入ったはずです。
簡単に盗めます。
どうせ引き取り手のない金だった。
しかしその引き取り手が現れてしまった。
ずっと消息不明だった被害者の遺族立松雄吾。
彼に請求されたら紛失が発覚し捜査が始まります。
追い詰められたあなたは彼に会った翌日公衆電話で呼び出した。
(猪瀬の声)おっしゃるとおりです。
金を返してほしいって言われましたよ。
(立松)ばあちゃんの金返してもらえないんですか?
(猪瀬)ああ血液や指紋が付着した現金っていうのは事件の重要な証拠品だからね…。
それに時効も撤廃されたしなぁ…。
あの調べたんですけど還付請求ってのがあるんですよね?それをすれば押収された証拠品でも現金とか貴重品は返してもらえるって。
それはダメなんですか?
(猪瀬)うーん…。
(猪瀬の声)そのあと彼をホテルまで送って…。
とにかくばあちゃんの金は返してもらいますから。
(立松)あっ…!ああ…!
(立松)ああー!
(猪瀬)チッ…くそっ…。
転落死した立松雄吾が15年前の事件の被害者遺族だと知った丸山係長はその事件が調べ直される可能性を考え証拠品の点検をしたそうです。
その時気づいたんです。
お金が紛失している事に。
しかも今度証拠品の紛失が発覚したら辞表を書くようにと言われていたそうです。
(猪瀬)なるほど。
それで私にあんな事を…。
適当にあしらってくれて構わない。
適当にって…。
うちが事故で処理した件を蒸し返されたくない。
いつですか?私を疑ったのは。
立松雄吾が時効でこのお金を受け取れると考え帰国したとするなら当然あなたにもその話をしていたはずです。
しかしあなたは我々に彼と会った事を打ち明けてくれた時もそんな話があったとは一言もおっしゃいませんでした。
言えない理由があったからですよね。
大したデカだ。
あの金は行くあてのない金だった。
だったら捜査に使ったほうがガイシャも浮かばれるはずだ。
捜査に使った…?呆れましたねこの期に及んでそんな事を。
しかもそれを隠すために殺人なんて…。
その上殺したのは15年前の犯人です。
何…?立松雄吾の友人が持っていました。
あなたからお借りした盗品リストにも同じものが…。
これを見せたらその友人が白状しましたよ。
立松にお金を貸した時強引にこの指輪をもらったって。
立松雄吾が海外へ行ったのは盗んだ貴金属を足がつかないように売りさばくつもりだったからでしょう。
つまり立松雄吾は15年前の事件の犯人である可能性が極めて高い。
あなたは自分が15年追い続けてきた犯人を殺したんです。
それこそがあなたが彼を殺害した動機ですね?…え?15年前の事件を今でも調べているはずのあなたが我々にすぐに盗品リストを貸してくれました。
ずいぶん奥にしまい込んでいましたねぇ。
ではお借りします。
…どうぞ。
(杉下の声)まるでもう調べるつもりはない…。
いえ捜査は終わったと思っているかのようでした。
いつ気づいたのですか?立松雄吾が自分の人生を狂わせた犯人だと。
立松と15年ぶりに会ったあの夜…。
(立松)祖母が殺されてからうちは変わりました。
なんで祖母を一人暮らしさせたんだろうって親父もおふくろもそんな話ばっかりで…。
一緒に住んでれば助けられたかもしれないのに。
せめて通報した時警察がもっと早く駆けつけてくれてれば…。
(猪瀬の声)その時ピンと来たんだ。
立松が犯人だって。
第一発見者が来た時ガイシャはすでに死んでた。
(上田)スミさん!なるほど。
その通報で警察は初めて来たんだ。
にもかかわらず早く駆けつけてれば助かったと言えるのは…。
被害者が襲われた時通報した事を知っている人物。
そうかあの電話…。
そう。
あの家の電話がずーっと気になってた…。
(猪瀬)あれはきっと…。
(立松スミ)あっ…!?
(スミ)ああ!うっ…!
(猪瀬)あの電話は使われてなかった。
だが…ガイシャはきっと通報しようとした。
それが当時あの電話機を見た捜査員共通の印象だった。
捜査員の単なる印象などマスコミ発表されるはずがありませんからねぇ。
それを知ってるのは犯人だけ…。
奴は自分の肉親を殺し貴金属を奪って外国へ逃亡した。
そんな奴に俺はデカの仕事を奪われ家族を奪われ…。
絶対に許せなかった…!あの…もうここで結構ですから。
あの還付請求の事お願いします。
(猪瀬)どうして知ってたんですか?…はい?
(猪瀬)被害者が殺される前に警察に通報した事。
それ以前になぜ被害者が通報したと思ったんです?実は被害者は通報できてなかったんですよ。
通報する前に…殺されたんだよ。
とにかくばあちゃんの金は返してもらいますから。
初めから殺すつもりだったんですか?
(猪瀬の声)わからない…。
あなた…。
あなたは警察官でしょう!神戸君。
彼が今でも警察官だったならばどんな理由をつけたところで証拠品の横領などしなかったはずです。
その時点ではまだなんの証拠もない被疑者…立松雄吾を個人的な憎しみで殺害する事はなかったはずです。
彼が犯人である事の証拠を探し出し逮捕したはずです。
時効は撤廃され時間はたっぷりとあったのですから。
くーっ…!くーっ…!
(嗚咽)
(パトカーのサイレン)さあ我々も急いで本部へ戻りましょうか。
はい?まだ何か調べるんですか?忘れたんですか?鑑識倉庫の整理を。
ああそうか…。
まだ雑用が残ってましたね。
神戸君。
はい。
警察官の仕事に雑用はありません。
はあ。
時効の撤廃で今後は未解決事件が激増し証拠品も増えその管理はますます難しくなります。
我々はとても大切な仕事を任されたんですよ。
はい。
2014/06/18(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season9[再][解][字]
「過渡期」
詳細情報
◇出演者
水谷豊、及川光博 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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