聖母・聖美物語 #58【愛すべき命篇〜裏切り】 2014.06.19

(陽)ひかりは本当に僕の妹?正真正銘同じパパとママから生まれた僕の本当の妹なの?
(聖美)何言ってるのあなた。
きょうだいだから。
だからHLAが一致して臍帯血をもらえたし骨髄だって移植ができるんじゃない。
どうかしてるわ。
そんなこと言いだすなんて。
(陽)思い出せないんだ。
どうしても。
楽しみにしてたはずなのに赤ちゃんがいるママの大きなおなかを触ったり話し掛けたりした覚えがない。
生まれてからだってママが赤ちゃんのあいつにお乳をやってるとこ一度だって見たことがない。
(聖美)それはあなたが入院してたから。
(陽)退院してからだって見てないよ。
覚えてるのはいつだって叔母さんに抱かれてるあいつだけ。
ママの胸でも膝でもなかった。
(陽)叔母さんなんじゃないの?ひかりの本当の母親。
産めない事情があったんでしょ?ママには何か。
だけど僕のためにどうしてもドナーが必要だからだから叔母さんがママの代わりにひかりを。
(聖美)バカなこと言わないで。
いや。
おかしかったじゃないかあのころ。
みんないつもこそこそしてて。
何か隠そうとしてたじゃないか。
(聖美)気を使ってたのよあなたに。
赤ちゃんばっかりかわいがってあなたがさみしい思いをしないように。
だからママはひかりを叔母さんに任せてできるだけあなたのそばにいるように…。
いなくなったことがあった。
僕らを家に残してママが姿を消したことが。
叔母さんはひかりを猫かわいがりして僕には冷たい目を。
そしたらすぐ峻君が飛んできて慰めてくれて。
(せき)
(聖美)陽?陽?ああ。
(せき)
(聖美)熱のせいね。
熱のせいで悪い夢を見てそれが現実とごっちゃになってしまったんだわ。
でもだからってひかりがママの産んだ子じゃないなんて。
(聖美)ひかりが聞いたらどんなに悲しむと思う?お休みなさい陽。
陽。
ママの大切なカワイイ陽。
あなたは私の太陽なの。
だから決して陰っては駄目。
いつも明るく輝いてママをみんなを照らしてちょうだい。

(聖美)待って峻君。
(聖美)陽。
ここのところ調子がよくなくて。
体がきつくてあんまり起きていられないみたい。
(聖美)どうなの?峻君の目から見て。
(峻)今一番心配なのは肝障害です。
小さいときもそうだった。
どうしても肝臓に出やすいのよね。
抗がん剤の副作用が。
必要でしたらもっと詳しい所見を。
峻君なんですって?あなたがひかりに勧めたんですって?星川先生のところに行くようにって。
どうして?何でひかりにそんなことを?先生はひかりに同情して私と主人を提訴するとまで。
言いだすと思ってました。
あの人だったらきっとその程度のことは。
でなきゃ面白くない。
せっかくひかりにそこまでやらせた以上。
面白くないってそれどういう意味?先生が本気になって虐待だ親権喪失だって。
それでもしひかりがドナーになる道を法律で閉ざされてしまったら。
そのくらい追い詰められなきゃ分からないでしょ?あなたには。
伯母さんは昔からちっとも変わってない。
いつだって陽陽陽。
いや。
本当はそうじゃない。
陽以上に自分が大切な人なんだ。
陽のためなら何だってする。
そう言ってはばからず周りの人間の気持ちなんぞお構いなしに突っ走って一人で酔いしれてるんじゃないんですか?聖母のような気高く麗しい自分の姿に。
私は自分を聖母だなんて…。
なりたいって思った。
なれるって信じてた。
でも気付かされた。
この世に聖母なんかいない。
いるのはただ無我夢中でわが子を愛するしかない愚かで非力な母親だけだって。
いますよ。
聖母さながらの貴い母はいくらでも。
身びいきを承知で言えば僕の母はあなたよりよっぽど聖母に近い。
あなたの無茶な頼みを引き受けてひかりを産みあの子のために身を引いた。
今でもふつふつと湧き上がる母性を胸の奥へと閉じ込めて一人で耐えてるんです。
それが聖母だと?何よりあの人の愛は温かかった。
何にも考えずただ当たり前にわが子と向き合っただけ。
聞いたらきっとそう言うでしょうね。
でも幼い僕は五感の全てで感じていた。
丸ごと全身でぶつかって何の迷いも疑いもなく一心に愛してくれたことを。
まるで細胞の一つ一つに染み込むように母の愛が行き渡っていくのを。
はたから見れば子供ほったらかしのでたらめな親に見えたでしょう。
でも僕にとってはそうじゃなかった。
だから耐えられたんです。
どんなにつらいことだって。
私だって…。
私だって陽とひかりに向き合ってきた。
全身全霊で魂込めて。
自分なんかどうなったっていい。
あの子たちが私の全て。
あの子たちのためにこそ私は生かされてるんだって。
じゃあひかりは何のために生まれてきたんですか?えっ?ひかりはなぜどういう運命を背負ってこの世に生を受けたんですか?それは…。
祝福され愛されるため。
ただそれだけです。
あの子はただ愛されるために生まれてきた。
かつて僕がそうであったように。
そしてきっとあなた自身もそうだったように。
それが命の意味。
この世に生まれてきた全ての子供たちが生きていく力の源。
あなただって分かってるはずです。
あなたはひかりが愛美に育てられた方が幸せだって言いたいの?愛美の娘でいた方がよかったと?見てきたはずよ。
この10年私がどんなにひかりをいとおしんできたか。
陽と分け隔てなんかしたことない。
本当に本気で自分が産んだ娘と思って育ててきた。
そのこととひかりがドナーであることは別の話なのよ。
分かってちょうだい峻君。
私の気持ちを。
僕はただ妹に笑顔でいてほしいだけです。
妹なんです。
誰が何と言おうとひかりは僕の。
そのカワイイ妹が10歳の誕生日を境に笑顔を奪われた。
お前は愛されるために生まれてきた。
いついかなるときも守られ包まれ生まれてきた喜びを感じながら生きてほしい。
無邪気な笑顔を一日も早く取り戻してほしい。
それが兄としての僕の願いなんです。
そのために恩人であるあなたや伯父さんを裏切った。
どんな非難でも受ける覚悟はできています。

(峻)《伯母さんは昔からちっとも変わってない》《陽のためなら何だってする。
そう言ってはばからず一人で酔いしれてるんじゃないんですか?》《聖母のような気高く麗しい自分の姿に》《じゃあひかりは何のために生まれてきたんですか?》《あの子はただ愛されるために生まれてきた》《かつて僕がそうであったように》《そしてきっとあなた自身もそうだったように》・
(泣き声)
(泣き声)こんなとこで何を?諏訪さん…。
(繁郎)百合子さんに教えてもらった。
PTSDのリハビリを兼ねてボランティアとして保育園の手伝いをさせてもらってるそうだよ。
約束してくれたよ百合子さん。
もうひかりを傷つけるようなことはしないって。
申し訳ないって謝ってくれた。
傷ついた諏訪さんの姿を見てやり場のない怒りに居ても立ってもいられなくなったんだ。
でも彼の体調が少しずつよくなって笑顔が増えていくたびに心が痛んで苦しくなって。
いくら百合子さんがそう言ってくれたって私は何も償っていない。
私の罪が許されるわけじゃないわ。
諏訪さんを傷つけ百合子さんを傷つけ。
あなたや愛美やひかりだって。
陽のためだって言いながら私はただ身勝手に生きてるだけ。
じゃあどうすればよかったのか私にはそれが分からない。
ただ精いっぱい力を尽くしてできる限りのことをしてきたつもりなのに。
君は人一倍努力してる。
それは僕がよく知ってる。
分かってるよ僕はちゃんと。
あなた。
人は皆家族を守って生きていく。
家族一人一人の幸せを命を守る責任がある。
君が言ったんだ。
愛美さんの裁判で証言台に立って。
僕はあの言葉を心に刻み付けた。
家族は認め合い許し合い助け合って生きるものだって。
人は知らず知らず人を傷つける。
傷つけられもする。
誰かを苦しめたり苦しめられたりする。
でもそういうときにこそ救ってくれるのが家族だろう?いつも一番そばにいてくれる人だろう?憎しみに凝り固まった百合子さんの心を解きほぐしたのだって結局は隣に寄り添う諏訪さんだった。
信じてくれる。
許してくれる。
誰かがそばにいてくれる。
それに勝る幸せはないよね。
私にその資格があるの?私はいつだってみんなを苦しめるばかりで。
僕も聖美に許しを請わなきゃならない。
あなたが?ひどいことを言った。
まるでひかりが自分だけの娘みたいに。
すまなかった。
もう一度倫理委員会の招集を呼び掛けて今度こそ委員の理解を取り付けてみせる。
信じていればきっと道は開けるよ。
諏訪さん。
何て優しい笑顔なの。
百合子さんを癒やしたあの笑顔。
諏訪さんがあの微笑みを取り戻したのは百合子さんの愛があったから。
そうやって人は心と心を交わし合っていくものなんだね。
(陽)叔母さんのとこ行ってたんだって?
(ひかり)うん。
(陽)楽しかった?何で?
(ひかり)お兄ちゃんのそばにいた方がいいもん。
俺といて楽しいわけないだろう?無理すんな。
もう俺のことは気にしなくていいから。
しんどいんだ。
お前が心配そうに窮屈そうに生きてるのを見てると。
(ひかり)私窮屈だなんてちっとも。
自由に生きりゃいいんだよお前は。
俺の分も。
なっ。
叔母ちゃんが好きなら叔母ちゃんとこに行っちゃえ。
春休みだけじゃなくていっそもうずっとさ。
そうしたいんだろ?本当は。
(ひかり)叔母ちゃまのことが好き。
大好き。
どうしてこんなにって自分で不思議に思うくらい。
でももう会えないかもしれない。
会っちゃいけないって言われたのか?
(ひかり)おばあちゃんが駄目だって。
それに叔母ちゃまも自分のことはいいから家族5人でもっと仲良くしなさいって。
(ひかり)あれっきりメールしても返事がないし電話も一度も出てくれない。
(陽)それお前の携帯?
(ひかり)叔母ちゃまにもらったの。
いつも2人で秘密のおしゃべりができるようにって。
お兄ちゃん言ってたよね?まだ何か秘密があるんじゃないかって。
知ってるなら教えて。
私をドナーにするためにパパとママがどんなことをしたのか。
そのことに叔母ちゃまがどんなふうに関わったのか。
ねえ。
教えてお兄ちゃん。
(陽)俺だって何も知らない。
だから思い切って聞いたんだ。
ママに。
(ひかり)ママに?ママに何て?体外受精って分かるだろう?
(ひかり)弘明叔父ちゃんに教えてもらった。
ママは赤ちゃんができにくい体だからお兄ちゃんのときもひかりのときも叔父ちゃんが手伝ったって。
ママはきっと俺の後にはもうどうやっても赤ちゃん産めない体になってたんだ。
(陽)だけどどうしてもドナーになる赤ちゃんが欲しかった。
だから愛美叔母さんのおなかを借りることにした。
(ひかり)叔母ちゃまのおなかを。
何て言ったの?ママ。
そうだって認めたの?違うってこと?
(陽)答えてくれなかった。
そこまで言われてまだ本当のことを話せないのはきっとそれがただの代理出産じゃなかったからだ。
(ひかり)代理出産?
(陽)うん。
代理出産にはなおなかだけ借りる場合とあと遺伝子も別の人のを使う場合があるらしい。
お前の場合も叔母さんに借りたのはおなかだけじゃない。
お前は叔母さんの子なんだよ。
パパと叔母さんの子なんだ。
だから不思議なぐらい叔母さんに引かれるんだ。
呼び合ってるんだよ。
(ひかり)叔母ちゃまが私の?
(陽)俺たちは半分ずつのきょうだい。
ひかりは峻君とも半分つながってるんだ。
(ひかり)ずっとだましてたの?みんなで。
弘明叔父ちゃんも峻君も。
みんなみんな知っていて黙ってたの?
(陽)だからもう見限ったらいいんだこんな家。
ここを出て叔母さんのとこに行くんだよ。
さっさと行っちゃってくれよ。
(ひかり)お兄ちゃん?
(陽)それが一番いいんだ。
俺もその方が気が楽なんだ。
頼むから消えてくれ。
俺の目の前からいなくなってくれ。
早く行っちゃえよ。
本当の母親のとこ行っちまえ!行け…。
(ひかり)お兄ちゃん。
(陽)うっ。
ううっ。
(ひかり)誰か来て!助けて!お兄ちゃん!2014/06/19(木) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #58[字][デ]【愛すべき命篇〜裏切り】

陽(上遠野太洸)のドナーとして認められず落胆したひかり(小林里乃)は愛美(三輪ひとみ)のもとへ。聖美(東風万智子)は自分の罪が皆を苦しめていると心を痛め…。

詳細情報
番組内容
 聖美(東風万智子)は陽(上遠野太洸)から、ひかり(小林里乃)は実の妹なのかと問われる。ひかりが生まれた当時のことを次々と思い出し、疑問を突きつけてくる陽に聖美は、体調を崩して記憶が混乱しているのだと誤魔化すが…。
 聖美は、陽の病室の前で峻(片岡信和)を見かけて呼び止め、ひかりにいろいろと指図した理由を問うと、峻は思いもよらぬことを言いだす。峻の言葉の端々には、聖美への憎しみが込められていて…。
番組内容2
 諏訪(古山憲太郎)の現状や陽からの問いかけ、さらに峻の言葉に打ちのめされた聖美を、繁郎(原田龍二)はある場所に連れて行く。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:西本淳一(東海テレビ)
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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