ガリレオ #09 2014.06.19

(男)おおーっ!?ああ…。
おおっ!おおっ!おい!何だ!?ああーっ!ああっ!ああ…。
ああ…。
おい!何の冗談だ!?おい!勘弁してくれよ!泳げないんだよ俺は!おい!何やってんだよ!?戻ってこいよ!藤川…。
(爆発音)
(男)何じゃ?ありゃ。
(女)龍?
(生徒)めっちゃ怖いらしいよ。
めっちゃ怖いんだって。
やばいやばい…。
(生徒)あの唇とかさ…。
(生徒)リアルすぎて怖いわマジで。
(生徒)ゾンビらしいよね。
(生徒)「サトラレ」みたいな?
(生徒)そうそう…。
(弓削)ちょっとごめんごめん。

(弓削)何だ?これ。
(薫)ねえ。
これ誰が作ったか知ってる?
(生徒)美術部の山辺君だよね?
(生徒)うん。
そう。
ありがとう。
どうした?内海。
弓削さん。
これちょっとリアルすぎませんか?まあ確かによくできてるけど。
死体って独特の表情があるじゃないですか。
死相っていうんですかね。
何かこのマスクそれがあるような気がするんですよね。
そんなわけねえだろ。
ただの中学生の工作じゃねえか。
(教諭)ちょっとごめんね。
すいません。
どうぞ藤川さん。
(伸江)これ…。
雄一…。
(教諭)やっぱり?間違いない?ええ。
雄一だわこれ…。
(生徒)先生!山辺君連れてきました!
(山辺)何ですか?
(教諭)山辺君。
このマスクどうやって作ったの?
(山辺)あっ。
ちょっと待ってください。
(山辺)これを型にしました。
この間自然公園の池で拾って。
よくできてたから。
(薫)でその自然公園の池の底に死体が沈んでいたんです。
(栗林)死体!?発見されたのは藤川雄一さん33歳。
都内で一人暮らしをしていた男性です。
1か月ほど前から連絡がとれなくなっていたそうで母親が捜索願を出していました。
藤川さんは額を銃で撃ち抜かれていて何者かに殺害されたのは間違いありません。
でその死体の顔型が池に落ちてたってわけ?それを中学生が拾ってその石こうマスクを作ったんですがたまたまその中学の教師が藤川さんの友達でそれを見てびっくり仰天したんです。
(湯川)よくできている。
額の銃創まで実にリアルだ。
まさにゾンビのデスマスクですね。
一体どういうことなんでしょうか?死体の顔型が落ちてたなんて。
おん念だよおん念。
「俺はここに沈んでるぞ」ってその人のおん念がアルミの板を変形させたんだよ。
栗林さん。
そんなんでわたしたちが納得できると思います?僕はおん念なんて信じない。
不思議な現象を科学的に解明するのが科学者でしょ?実に面白い。
おん念おん念ってびびる前に考えてくださいよ湯川先生みたいに。
ふん。
さっぱり分からない。
そんなんだから栗林さんは万年…。
(栗林)万年助手言うな!おん念じゃないよ。
おん念なわけないだろ。
こんなのたまたま死体の顔にベタッとはり付いたんだよ。
こういうものがさ。
で池のフナとかコイとかゲンゴロウとかがさ突っついて突っついてこう変形して…。
フナやコイだとは思わないがやはり何か物理的な力が加えられて顔の形になったと考えるべきだろう。
君たち。
ちょっと手伝ってくれ。
(学生たち)はい。
栗林さんはそこに座ってください。
座る?そこです。
えっ?何ですか?わたしが実験台?いいから座って。
何で威張るんだよ!?年下のくせに。
栗林さんの顔の形をとってください。
(村瀬・美雪)はい。
うん。
遠慮しないでやって。
(村瀬)じゃあとりあえずギュッと押しつけてみる?
(美雪)そうね。
痛くしないでね。
(村瀬)あっはい。
(栗林)うん?何だ?
(村瀬)失礼します。
よいしょ。
(栗林)ちょっと。
痛いよ!
(村瀬)ああちょっと…。
(紗江子)バタバタしないで。
(森)こぶさん。
そっち側押さえてください。
(栗林)苦しい…。
(村瀬)ちょっと…。
じっとして。
(栗林)ああ苦しい…。
動かない!
(村瀬)そうそう…。
(美雪)強く押すとうまくいかない。
(小淵沢)ああー!じっとしてください!
(森)どうですか?
(紗江子)そろそろいいんじゃないんですか?
(村瀬)ホント?ああー。
やっぱりダメだ。
顔の皮膚が柔らかすぎて圧力に耐えられないんだな。
一瞬花園が見えました。
何だったんだろう?あれ。
(村瀬)死んだ人ならうまくいくんじゃ…。
死後硬直。
死後硬直!?それは死ななきゃ無理です。
確かに。
勘弁してくださいよ。
それに死後硬直といっても石のように硬くなるわけじゃない。
そんなふうに正確に型を取るのは無理だろう。
じゃあどうやったらこんなふうになるんですか?さっぱり分からない。
分からなくていいんですよもう!先生。
何だかんだ言ってちょっと警察に協力しすぎです。
甘やかさないで自分で考えさせたほうがいいんですよ!でも今回の事件はこの帝都大学も無関係じゃないんです。
どういう意味だよ!?被害者の藤川さんはこの大学の卒業生なんです。
(紗江子)えっ!?
(森)嘘…。
原子力工学科に在籍していたそうです。
原子力工学科?ええ10年前まではこの大学に。
(小淵沢)その学科今はもうないですよ。
えっ?
(村瀬)今はエネルギー工学科です。
(美雪)あのころの先生ってもういないんでしょ?もうとっくに辞めちゃったよ。
そのときの教授は…。
先生!もういいじゃないですか!木島征志郎。
木島征志郎?
(薫)この自然公園は廃材や粗大ゴミの不法投棄が後を絶たない場所なんです。
地元の有志や業者が定期的に清掃してるらしいんですがなかなかきれいにならないようで。
マスクの材料もここにあった廃材でした。
どこの業者が捨てたものなのかは現在調査中です。
日本人ってモラルがないですよね。
せっかくの自然をこんなに汚しちゃって。
日本に限ったことじゃない。
海外でも放射性廃棄物を海や川に捨てていた例はある。
科学文明が発達してもそれを使う人間の心が進化していかなければこういうことは繰り返されていく。
使う人間だけの問題ですか?科学を生み出してる科学者にも責任はあると思いますけど。
科学者は純粋なだけだ。
そうでなければ劇的なインスピレーションは訪れない。
勝手な理屈。
そういう無責任な考え方が環境汚染とか社会によくない…。
事件の概要を教えてくれ。
今のところ分かってるのは被害者が10月21日の午後3時半から11月1日の間に殺害されたということだけです。
(薫)10月21日午前。
アパートの管理人が被害者を目撃しています。
(エンジンをふかす音)
(管理人)ちょっと藤川さん!近所の迷惑も考えてっていつも言ってるでしょ!
(薫)藤川さんはバイクが趣味で管理人はその騒音に過敏になってたそうです。
(薫)そして同じ日に藤川さんから実家に電話がありました。
(伸江)もうお父さんったら仕事増やして…。
あら
(薫)家族は不在で留守番電話のメッセージでしたけど。

(留守電アナウンス)「10月21日午後3時31分」
(藤川のメッセージ)「雄一だけど。
昨日の留守電聞いたよ。
じいちゃんの三回忌多分帰れると思う。
後でまた電話するから」その後連絡がとれないことを心配した母親が藤川さんの家を訪ねいなくなっていることに気づいたと。
(湯川)11月1日までに殺害されていたとは?中学生がここでマスクを拾ったのがその日なんです。
被害者は射殺されていたそうだが使用されたのはライフル?ライフル?いえあの。
41口径の拳銃です。
この公園では猟が行われているのか?猟?狩猟だよ。
ハンターがこの辺りでライフルを使用していないだろうか?まさか。
ここでそんなことできませんよ。
だろうな。
どうしてそんなことを?いや…。
教えてください。
仮説の段階だ。
またそれですか!?いいから聞かせてくださいよ。
何かのヒントになるかもしれないんだから。
そりゃあわたしは先生みたいに知識はありませんけど…。
電話が鳴ってる。
一緒に捜査してるんだからわたしにも教えてくれたって…。
早く出てくれ。
分かってます。
内海です。
えっ!?先生!藤川さんの死体から新事実が判明したそうです。
(桜子)きっかけは血液検査の結果だったんだけどね。
藤川さんの血液中のリンパ球が異常に減少してたの。
それでよく見てみたら気づいたのよ。
はい。
何ですか?ああっ。
フフッ。
藤川さんのつめの写真。
腐乱してはがれかけている。
あっ分かる?わずかだけど肥厚化してるの。
ヒコウカ?あっあの分厚くなってるってこと。
それでまさかと思って調べてみたら。
見て。
これは…。
うん?何?ESRの分析結果。
ESR?歯のエナメル質に蓄積された放射線の影響を電子スピン共鳴法で測定した結果だ。
あっあら…。
あの結論を言うと藤川さんは放射線被ばくしてるってこと。
放射線被ばく!?わたしも驚いたわよ。
調べてみてよかった。
藤川さんの職業は?大学卒業後は医療機器を扱う会社に勤務していました。
放射線を浴びるような業務だったのか…。
ええと…。
こっちは詳細な血液分析の結果なんだけど。
ナトリウム24…。
そうなの。
こんなのなかなかないわよね。
あのう。
いちいち話の腰折って申し訳ないんですがその「何とか24」っていうのは…。
中性子線を浴びた可能性があるということだ。
放射線を扱う業種はいろいろあるけど…。
中性子線となると限られてくる。
うん。
例えば原子力関連。
大学や専門の研究施設。
フッ。
すてき。
こんなに話が弾む男性初めて。
はい?それにしてもこの数値はまともじゃない。
うん。
原子力関連の仕事だとしても限度量をはるかに超えてるもんね。
ですねー。
あっ。
あの藤川さんって湯川先生と同じ大学だったんでしょ?原子力工学科にいたんです。
何か関係があんのかしら?えっ…。
うーん。
分かりません。
どう思う?湯川先生。
分からない。
ほら。
湯川先生も分からないって。
今回はわたしたち分からないことだらけなんです。
えっ何?「わたしたち」って。
えっ?別に…。
意味はないですよね湯川先生。
静かにしてくれ。
すいません。
(薫)藤川さんが勤めていたのは「K.Sメディカルエンジニアリング」という医療機器専門のメーカーでした。
業務中に被ばくした可能性は?それについては調べてみないと分かりません。
ただこの会社の設立者は元帝都大学原子力工学科教授の木島征志郎さんなんです。
木島さんは大学を辞めた後にこの会社をつくったんですが普通に考えれば自分の教え子を誘ったってことですよね?でも藤川さんは事件の少し前にこの会社を突然退職してるんです。
どうも木島さんとの間にトラブルがあったらしくって。
(藤川)何とか言えよ!
(木島)藤川君!
(薫)消息を絶つ5日前木島さんの自宅の前で藤川さんが木島さんに何か食ってかかっているのを見た人がいるんです。
それなら僕にではなく直接木島先生を訪ねるべきなんじゃないのか?行きましたよ。
でも本人が不在だったんです。
(回想)海外?
(京子)先週からです。
木島は1年中日本と海外を行ったり来たりしておりますから。
お忙しいんですね。
お帰りはいつごろでしょう?来月の7日の予定です。
あのう失礼ですが…。
わたしは秘書の穂積です。
木島はこちらでも仕事をすることが多いものですからわたしも自由に出入りさせていただいております。
(弓削)秘書の方ですか!びっくりしたー!木島先生にはこんなに若くて美しい奥様がいらっしゃるのかと。
穂積何とおっしゃるんですか?京子です。
(弓削)あっ!僕のいちばん好きな名前です!10月21日から11月1日までの間木島さんはどちらにいらっしゃいました?そういう話はもっと和んでからにしろよ。
(京子)10月21日は…。
その前日からアメリカに出発していますね。
帰国したのが11月5日です。
じゃあその間は日本にいらっしゃらなかったと?それが何か?いえ。
分かりました。
ありがとうございます。
君は木島先生を疑っているのか?トラブルがあったなら確認する必要がありますから。
帰国されたらまた訪ねようと思ってます。
その前に木島さんがどういう方なのか湯川先生に聞いておこうって思って。
申し訳ないが僕は忙しいんだ。
何かあったんですか?木島さんと。
何か変。
いっつも変だけどそれとは違う感じ。
捜査に戻ったほうがいいんじゃないのか?湯川先生。
いつもわたしが捜査協力をお願いするとどうでもいい理屈はペラペラしゃべりますよね?反対に捜査に必要なことは「まだ仮説の段階だ」とか言って何にも教えてくれません。
いつもわたしはむかついてますけど。
ただ一つだけ感心してることがあります。
先生は絶対に余計な感情は差し挟まない。
でも今回は違いますよね。
何て言うか…。
感情的になってる気がします。
事件とは関係のないことだ。
捜査に影響します。
君にしゃべるようなことじゃない。
知りたいんです!事件と関係なくても。
湯川先生がそんな顔してると気になってしかたありません。
それは君の個人的な感情だ。
申し訳ないが今日は帰ってくれ。
マスクの謎については検証しておくが。
分かりました。
失礼します。

(弓削)お疲れーっす!
(桜子)あっ…。
草薙さん!
(草薙)おおー!ハハハ!ああちょうどよかった。
(弓削)何かあったんすか?
(草薙)いや栃木県警からちょっと面倒な依頼が来てな。
栃木県警?
(草薙)ああ。
こっちの管轄の事件と何かかかわりでも?
(桜子)ひと月半ほど前に栃木県の龍仁湖で起きた爆発事故の話あなたたち聞いてる?
(弓削)ああー。
「謎の大爆発」ってマスコミが大騒ぎしてた事件っすよね。
そう。
事件なのか事故なのか何で爆発が起こったのかも不明。
(草薙)爆発物は発見されず見つかったのは木っ端みじんになったボートの残がいと成人男性の細切れの肉片だけだ。
で向こうの監察医がその肉片を調べてみたら意外な事実が判明した。
放射線被ばくしてたんだよ。
放射線被ばく!?しかも中性子線に被ばくした兆候があるの。
藤川さんと同じ!?ああ。
県警は県内の行方不明者の調査と並行して原子力関連の施設にも聞き込みに行ったらしい。
だがどれも空振りだった。
そしたらこっちで藤川の死体が見つかってしかも放射線被ばくしてたことが分かったでしょ。
だから二人には何かかかわりがあるんじゃないかって。
かかわりっつってもこっちはまだ藤川がいつどこで被ばくしたかも分かってないんすよ。
被害者二人にもしかかわりがあったら被ばくの謎についても分かるかもしれないじゃない。
(草薙)そう。
だから藤川の周辺にほかに行方不明者がいないかどうか調査してほしいそうだ。
わらにもすがる思いなんだろ。
向こうは死体の身元ですらまだ特定できてないからな。
分かりました。
もう一度調べてみます。
面倒な仕事だがしっかり頼むよ。
はい。
よし。
行くぞ内海。
はい。
あっ。
ちょっと待て内海。
湯川何かあったのか?どうしてですか?こっち来る前に電話したんだ。
龍仁湖の爆発について意見が聞きたくてな。
でもどうも元気がなくていつものあいつらしくなかったんだよな。
わたしも気になって聞いてみたんですけど何も答えてくれなくて。
そっか。
(栗林)先生。
何ですか?それ。
さっき電話で草薙から教えられた事件の記事です。
「伝説の龍」?ああー。
栃木県の爆発事故ですか。
ちょっと前にニュースで騒がれてた。
ええ。
えっ?何です?連中今度は怪物退治でも依頼してきたんですか?全く…。
先生。
こういうバカバカしい話持ち込んできたらねビシッと言ってやったほうがいいんですよ。
「龍?実に非論理的だ。
想像上の生物が実在するなんて考えられない」草薙の相談は爆発物の痕跡が一切残っていなかったという点についてです。
全く。
警察の連中は次から次へと…。
それとこの事件の被害者も放射線被ばくをしていたそうです。
デスマスク事件の被害者と同じように。
そんなのはただの偶然ですよ。
そうかもしれません。
しかし爆発物が見つからないというのは…。
先生。
もう何度も申し上げてきましたけど警察の捜査に協力するのはおやめになったほうがいいんじゃないでしょうか。
特に今回の件からは手を引いたほうがいい。
わたしが言うのも差し出がましいんですけど嫌なことは思い出されないほうがいいと思います。
今回の事件があの人とどういう関係があるか分かりませんが僕はあくまでマスクの謎について調べたいだけです。
それに謎の爆発というのも実に面白い…。
じゃあもし木島先生がこの事件にかかわってたらどうされるつもりですか?人生にはさっさと忘れたほうがいいことだってあるんです。

(原沢)汚ぇだろこの池。
今じゃ魚も住めやしねえ。
昔はきれいなとこだったんだよ。
(原沢)ふうー。
片づけても片づけても汚しやがる。
でもまあ今日はよいいほうだよ。
最近はなクレーン出さねえと持っていけねえようなもの出しやがるからよ。
業者の方ですか?
(原沢)ああ。
ああけどこの池の周りの片づけ。
これはボランティアだよ。
誰かやんなきゃしょうがねえからよ。
そういうあんたは?この辺じゃ見かけねえ顔だけど。
湯川といいます。
この池で他殺体が発見された事件について少し調べています。
へえー!帝都大学の先生なのか。
はあ。
こちらに捨てられていた廃棄物をぜひ見せていただければと。
ゴミなんか調べてどうすんだよ?ゴミが出ない研究でもしてくれんのか?いや。
事件のことにつきまして…。
そんなもの調べる前によこのむちゃくちゃにされちまったこの池何とかしてもらいたいもんだよ。
先生。
あんたらがいろいろ難しいこと考えて何かをつくって世の中便利になっていくわけだろ。
人間の生活を豊かにすることが科学の目的の一つですから。
このありさまが豊かさの代償ってわけかい?世の中いくら便利になっても人間がバカだったらどうしようもねえのよ。
ああー!こんなこと学者先生に言ってもしょうがねえけどな!うっ!はあー。
俺も年かな。
ちょっと。
そんなところに突っ立ってねえで手伝ってくれ。
はい。
そのかわりうちの会社に転がってるゴミは全部見せてやるからな。
うわーっ!うっ!おい。
何やってんだよ?手伝ってくれよ。
あっはい。
(原沢)よいしょ。
そうそう。
あー!あーそうそうそう。
ああいいよいいよ。
うん。
そうそうそうそうそう。

(原沢)驚いたろ?これだけのものがバンバン捨てられてんだよ。
これはひどいですね。
たまに環境調査で役人やら学者が来るんだけどよみんな驚くよ。
本なんかで知識はあるんだろうけどよ現実を目にすんのは珍しいんだろうな。
まあ来たからってさ何してくれるわけじゃないんだよ。
でも俺はみんなにいつもこう言うんだよ。
こうすれば世の中が便利になるとかこんな道具があればいいって考えるだけじゃダメだって。
なっ?もちろん捨ててる人間のほうが悪いんだよ。
けど学者先生ならばこんなもんつくったらゴミが増えるんじゃねえか。
世の中悪くなるんじゃねえかって一緒に考えてくれよ。
それがホントに頭のいいヤツってもんだろ?おっしゃるとおりです。
手伝ってくれてありがとうよ。
おい!
(作業員)はい!
(原沢)こいつ運んどいてくれ。
(作業員)はいーっす。
行こ行こ。
(作業員)はい。
(作業員)行くよ?
(作業員)はい!
(原沢)その山が死体が見つかる10日ほど前に回収したもんだ。
まだ分別もしねえでそのままだからよ。
調べたかったら勝手にどうぞ。
ありがとうございます。
おいおい先生!調べんのはいいけどよ散らかしちゃダメだよ!
(作業員)おやっさん。
あの人何なんすか?さあな。
変わり者だよ。

(薫)放射線被ばく!?ライフル?そうか。
(原沢)うん?何か分かったのかい?ええ。
ここに来てよかったです。
助かりました。
(原沢)おう。
(呼び出し音)湯川だが。
謎が解けた!?ああ。
あのデスマスクがどうやってできたのか。
ホントですか!?研究室へ来る前に調べてほしいことがある。
気象庁に問い合わせれば分かるはずだ。
気象庁?「危険」?えっ?何?
(村瀬)危ない!えっ?
(紗江子)感電します!離れてください!えっ!?えっ!?えっ!?何?えっ?大丈夫だ。
このコンデンサーは放電しきっている。
はあー。
びっくりしたぁ。
何よ?コンデンサーって!蓄電器だよ。
理科の授業で習わなかったか?あっ。
エジソンが発明した…。
(美雪)それは蓄音機。
知ってる。
わざとボケたの。
もう。
脅かさないでくださいよ!わたし感電系は大嫌いなんですから!
(森)別に脅かしたわけじゃありません。
その隣のコンデンサーは放電されてませんから。
えっ?
(小淵沢)それにコンデンサーは放置しておくと静電作用で徐々に帯電してくるんです。
そそ…そしたらどうなるの?そのクラスのコンデンサーが完全に充電されていたら触れた瞬間に体が吹き飛ぶ。
はっ?えー!やだ。
もう。
やだもう。
頼んでおいたことは?気象庁の人はとっても優しくて親切でした。
先生とは大違い。
藤川さんの遺体が見つかった公園付近で観測された落雷はえーいちばん最近だと12月1日です。
その前だと…。
最近のはいい。
10月と11月のは?10月は3日と19日に観測されています。
それから11月は少なくって25日に一度だけ。
分かった。
もういい。
雷が事件に関係あるんですか?今から説明する。
この水槽はあの池を再現したものだ。
池?マネキンが遺体。
アルミ材が顔型の材料。
そしてこれが雷発生装置。
えっ?ここに向き合った電極があるだろう。
この機械で小さな雷を発生させる。
今?ここで?恐らくあの池には雷が落ちたんだ。
捨てられていた鉄骨が避雷針代わりになって。
えっ?雷雲の中で蓄えられた電気エネルギーが鉄骨に向かって一気に放出された。
だがこの鉄骨には電気コードが絡まっていてその先端は水の中につかっていた。
つまり電気エネルギーはコードを通って水の中に放出されたんだ。
だがもしこのコードがそれほどのエネルギーに耐えられるほど太くなかった場合どうなる?太くなかった場合どうなるの?それを今から実証しよう。
(村瀬)先生。
いつでもオッケーです。
始めよう。
えっ?
(美雪)安全眼鏡です。
かけてください。
(紗江子)何かの破片が飛び散るかもしれないので。
はい。
(森)では充電開始します。
(警告音)
(小淵沢)コンデンサー充電完了間近です。
二つの電極の間には何万ボルトもの電位差が生じている。
二極間を遮っているのは空間の壁だ。
だがその壁を破るほど電位差が大きくなると…。
(衝撃音)うわああーっ!えっ?
(村瀬)やった!
(美雪)実験成功!これがデスマスクの正体だ。
えっ?どうしてこんなことが!?衝撃波だよ。
衝撃波?エネルギーが強すぎて電気コードが途中で瞬間的に溶断したんだ。
僕が廃材置き場で見たものもこれと同じような状態になっていた。
そしてコードが切れた瞬間水中で強力な衝撃波が発生する。
そばにあるものを外側に押しやろうとする力が加わりこのアルミ材がマネキンの顔に押しつけられたんだ。
どうして分かったの?衝撃波を使って金属を加工する技術は昔からよく知られている。
例えば歯にかぶせるための金冠などもこれを応用して作ることができる。
その際に人工的に衝撃波を発生させるために水中でライフルを発射するんだが。
あっ。
それであのとき。
(湯川)被害者は射殺されていたそうだが使用されたのはライフル?
(薫)ライフル?いえあの。
41口径の拳銃ですどうやって衝撃波が起きたのかを考えていたんだ。
僕の仮説は以上だ。
ありがとう。
片づけてくれ。
(学生たち)はい。
えっ?あれ?ちょっと待ってください。
あれ?先生。
おかしいですよ。
それだと目撃証言と合わなくなります。
バイクに乗った藤川さんが目撃されたのは10月21日。
でマスクが発見されたのは11月1日です。
その間雷は落ちていません。
そう。
落雷があったのは10月の19日。
藤川さんはまだ生きてます。
いや。
そのときにはすでに殺されて池に沈められていたんだ。
じゃあ21日の目撃証言は?その日の夕方の留守電メッセージはどうなるんですか?どうなるのかという質問は間違いだ。
誰がどうやって何のためにということこそが問題だろう。
えっ?アリバイ工作?目撃証言もう一度洗い直してみます。
僕も少し出かけてくる。
栗林さんにそう伝えておいてくれ。
(小淵沢)どちらへ?今日はもう帰ってこない。
もしもし。
(弓削)バカ野郎!内海。
お前どこほっつき歩いてんだよ!?今すぐ戻ります!藤川さんの死亡日時が疑わしくなってきて。
龍仁湖の死体の身元が分かったぞ。
ホントですか!?DNA鑑定の結果がさっき出たんだよ。
藤川の周辺をあたってドンピシャだ。
何しろ同じ会社の元同僚だからな。
えっ!?梅里尚彦42歳。
K.Sメディカルエンジニアリングの営業だ。
爆発事件が起こった時期から行方不明になっていた。
あの会社相当うさんくせえぞ。
関係者が立て続けに二人も死ぬなんて普通じゃねえ。
本腰入れて捜査いれっから早く戻ってこい。
すいません弓削さん。
戻るの少し遅れます。
遅れるっておい!チッ。
何考えてんだ!バカ!どういうことなの!?
(木島)珍しい客だなぁ。
今日帰国されると伺っていたので。
(木島)実は今朝向こうでちょっとトラブルがあってねえ。
滞在を1日延ばすかどうか迷ってたんだ。
僕は今日お会いできなければ再度訪問することはなかったと思います。
(木島)そりゃあ運が良かった。
こういうことがあると僕は運命というものについて真剣に考察したくなります。
(木島)運命か。
そういった抽象的概念はわたしの好みじゃない。
研究者ならば感傷におぼれずにまず確率論で考察するべきだろう。
(木島)さあ入りたまえ。
冷えてきた。
ごあいさつが遅れました。
お久しぶりです木島先生。
(木島)ああ。
本当に久しぶりだ。
湯川君。
・『KISSして』2014/06/19(木) 15:53〜16:48
関西テレビ1
ガリレオ #09[再][字]

第9章「爆ぜる(はぜる)前編・奇妙な金属マスクと湖上の大爆発。二つの事件に恩師・木島教授の邪悪な影!湯川、絶体絶命の危機!」福山雅治 柴咲コウ・久米宏

詳細情報
番組内容
 湯川(福山雅治)は薫(柴咲コウ)から、帝都大学の卒業生が巻き込まれた事件の相談を受ける。
 文化祭で防犯に関する公開授業を行うために管内の中学校を訪れた薫と弓削(品川祐)は、生徒が展示した“ゾンビのデスマスク”という石こうの仮面を見つける。するとそこに、藤川伸江(泉晶子)という女性が現れ、この顔は失踪した自分の息子に間違いない、と言い出したのだ。仮面を制作した生徒によれば、展示した仮面は、
番組内容2
自然公園の池で拾った金属製の仮面を型にして作ったものだという。
 自然公園を調査した薫たちは、池の底に沈んでいた男性の遺体を発見する。被害者は帝都大学原子力工学科の卒業生で、医療機器メーカー勤務の藤川雄一(坂本真)。藤川の額には銃痕があった。
 湯川は、死体の顔型が池に浮かぶという現象に興味を抱き、薫とともに自然公園を訪れる。その池は、不法投棄が跡を絶たない場所だった。するとそこに、監察医の
番組内容3
桜子(真矢みき)から連絡が入り、藤川が放射線被爆していたことが判明する。
 別の日、薫たちは、藤川が勤めていた会社を設立したのが、帝都大学原子力学科の元教授・木島征志郎(久米宏)であることを知る。そんな折、薫たちを訪ねてきた警視庁の草薙(北村一輝)は、1カ月半ほど前に龍仁湖で起きたボートの爆発事故の話を切り出す。そのときに発見された男性の肉片から、被害者が放射線被爆していたことがわかったという。
出演者
福山雅治

柴咲コウ
 ・ 
北村一輝 
品川祐

渡辺いっけい 
真矢みき
 ・ 
久米宏 ほか
原作・脚本
【原作】
『探偵ガリレオ』『予知夢』東野圭吾(ともに文藝春秋社刊)
【脚本】
古家和尚
監督・演出
【演出】
成田岳
音楽
福山雅治 
菅野祐悟

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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