親殺し予想

プロデューサーの重要な業務のひとつに「ひとと情報の配置」があります。
自分を情報のハブにして、「うまく配置されたひとたちにうまく情報がいきわたっている」状態が理想です。

これがうまくいってるかどうかを確認するのは口でいうのは簡単ですが、意外とできません。なぜなら「有る/在る」ものを評価するのは誰でもできるのですが、「無い」ものを評価するのは「気づけない」……つまりそもそも視界に入らないので理想と較べてどれぐらい離れているかを把握するのはなかなかむずかしいのです。

さらにここが問題なのですが、うまくいってないときほどプロデューサーの介入機会が増えるので、うまくいってないどころかむしろ仕事をたくさんこなして有能感すら覚えてしまったりします。でもこれは事前に情報をわたせていない部分を、その場その場で埋め合わせているということなので、本来はないはずの業務を怠慢ゆえに発生させてはこなしているだけだったりします。

そこで「親殺し」予想です。

この思考実験によって自分がどのレベルのプロデューサーかわかります。

自分の親が死んでどうしても現場から離脱しなければいけないと仮定したとき、どれだけ現場に影響が出るかをシミュレーションするというものです。

もし自分の離脱で進捗に重大な支障をきたすのであれば、そのプロデュース業務は少なくとも「配置」についてはうまくいってないことになります。

だいたいの場合はそこまで甚大な被害ではないですが、何ヶ所かどうしても立ち会わないとマズいセクションがあることが多いです。

そこが、うまくいってない部分です。

その部分に対して対処するかしないかはその都度判断は異なりますが、問題点をはらんでいるのは間違いありません(対処することが効率的でないケースも多いので、対処しないことも多々あります)。

なのでぼくは脳内で毎日親殺しをしながら、自分の立っている場所を確認しています。
ことほどさようにプロデューサーとは因果な稼業なのです。


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