(テーマ音楽)私は…この橋を舞台に民族の歴史を書いたノーベル賞作家である。
バルカン半島のボスニア・ヘルツェゴビナ。
ヴィシェグラードは私が幼い頃を過ごした山あいの町だ。
ドリナ川に架かる一本の橋が世界遺産に登録されている。
橋は400年以上前のオスマン帝国時代に建設された。
L字型の造りには訳がある。
たびたび町を悩ませていた洪水のことを計算しもろい岩盤を補強したのだ。
当時の建築技術の粋を集め機能性と美しさを併せ持つ傑作に仕上がった。
中央には市民がくつろぐテラスもある。
私もよく立ち寄った。
橋の上はかつてこの地域に暮らしていたさまざまな民族の交流の場になっていた。
私は外交官をしながらふるさとボスニアを題材にした小説を発表し続けた。
四十代半ば私は作家活動の節目としてこの橋を舞台に民族共存の物語を書いた。
「ドリナの橋」だ。
この小説をはじめ祖国と民族の運命をつづった作品が評価され私は1961年ノーベル文学賞を受賞した。
しかし私の死後橋は悲惨な時代を迎える。
仲よく暮らしていたイスラム系住民とセルビア人の内戦だ。
戦場になった町では橋の上からイスラム系住民3,000人が川に落とされて殺されるという悲劇も起きた。
私の愛した橋は憎しみと悲しみの場になったのだ。
イスラム系の住民は町から追い出され今は住民の9割をセルビア人が占めている。
内戦終結後の2007年優れた建築技術民族交流の歴史的価値そして和解への期待によって橋は世界遺産になった。
そして今民族共存の願いは若い世代に託されている。
町の高校が橋の上で私の作品を朗読し合う課外授業を始めた。
若者はかつての多民族社会を知らない。
民族衣装を着て私が小説に書いた町に思いをはせている。
「橋を民族交流の象徴に」。
その思いが受け継がれていくことを願うばかりだ。
2014/06/20(金) 04:15〜04:20
NHK総合1・神戸
シリーズ世界遺産100「メフメド・パシャ・ソコロビッチ橋〜ボスニア〜」[字]
「メフメド・パシャ・ソコロビッチ橋〜ボスニア・ヘルツェゴビナ〜」 ノーベル賞作家が愛した橋 ▽文化遺産 【語り】松平定知 【テーマ音楽】久石譲
詳細情報
番組内容
「メフメド・パシャ・ソコロビッチ橋〜ボスニア・ヘルツェゴビナ〜」 ノーベル賞作家が愛した橋 ▽文化遺産 【語り】松平定知 【テーマ音楽】久石譲
出演者
【語り】松平定知
音楽
【テーマ音楽】久石譲
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
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