生きてる…。
生きてる!
(テーマ音楽)2010年6月オーストラリアの空に日本の人々が注目しました。
小惑星探査機はやぶさが宇宙のかなたから帰ってきたのです。
はやぶさが持ち帰ったカプセルを一目見ようと70万人以上の人が集まりました。
宇宙を飛んで帰ってきた。
それがすごいなって。
こういうのつくってしまうというその力もすごいし。
はやぶさのぼうけんはえい画にもなりました。
「どんだけバックアップがあっても足りないぐらいなんだよ!」。
「第2回着陸に向けて軌道修正のかくにんをお願いします」。
「探査機こわしてもどれないなんて意味ない!」。
「通信が取れなくなる」。
「ロストしちゃいます」。
「ロスト?」。
人類初のかい挙が多くの人に勇気をあたえました。
道徳ドキュメント「人生はチャレンジだ」。
今回の主人公はこちら。
はば6m高さ3mあります。
日本で新たに開発されたイオンエンジンというちょう省エネ型のエンジンを積んでいます。
このはやぶさが目指したのがどこかというとこちらをごらんください。
これは地球や金星などの軌道を表した図です。
はやぶさが目指したのがどこかというとこちら。
イトカワという星です。
長い所でも500mという小惑星です。
はやぶさがイトカワに到着した時地球からイトカワまでのきょりはなんと3億km以上ありました。
計画でははやぶさはこの小さなイトカワに着陸するだけでなくすなを取ってまた地球に帰ってくることになっていました。
これはあまりにもむずかしいことなのでアメリカのNASAでも計画されたことすらありません。
この人類初の計画を成功させたのはある研究者のこだわりとあきらめずに挑戦する気持ちでした。
2003年5月はやぶさが打ち上げられました。
この日のために10年かけて開発したイオンエンジンは順調に動き時速10万km以上の速さで進みます。
発しゃから2年後の2005年7月。
ついに目的地イトカワが見えてきました。
その4か月後にはイトカワへの着陸も成功します。
プロジェクトのリーダー川口淳一郎さん。
20年をこえる研究が実を結びました。
とにかく気持ちの中ではやったという事ですよね。
やった着いたと。
みんな着いたぞということでは自然に周りの人の顔もみんな喜んでますよね。
やはりこれで着いたということでとにかくなんと言っても人類が初めて見た所に行ったわけですよね。
今まで日本の宇宙探索ってやはりアメリカでありソ連でありがうつしたものを見てああそうなのかなとこれが初めて見るものだなって思ってたわけですね。
それが初めて見るものが自分たちが見たと。
その感げきというのはひとしおだったですよね。
喜びもつかの間地球への帰り道に思いもよらぬ試練が待っていました。
はやぶさからの電波がとつぜんとだえたのです。
はやぶさのげんざい位置がわからなくなりコントロールすることができなくなりました。
このままでははやぶさは宇宙のちりになってしまいます。
これまでで最大のピンチ。
プロジェクトのメンバーは大きく動ようします。
通信できないということはその時期に関して言うと…もう何もできない。
どうしようもないと。
どうなるのかさっぱりわからないなという感じですよね。
広大な宇宙でまいごになったはやぶさをさがすのはお金と時間のむだではないか。
メンバーの多くがあきらめかけます。
明らかにぼくもふくめて人心がはなれていくわけです。
オペレーションチームは船がない仕事がないわけですから。
断末魔のさけびみたいな感じ。
とほうにくれるメンバーの中でリーダーの川口さんはちがっていました。
自分がけい験してきたいろんなかこをしょってるわけですよ。
必ずしも失敗とは言えないんだけれどももう一つだったなというこういうものがいくつもあるんですよね。
そういうのをバネにしてというかバネにしてというと言い方はそうですけど本当にある意味ではもう意地があるんですよね。
ぜったいにあきらめない。
川口さんの意地はある失敗から生まれていました。
はやぶさの5年前に打ち上げられた火星探査機のぞみ。
この時川口さんは飛行計画のせきにん者でした。
のぞみは火星を目前にして電げんがこしょうします。
火星の写真を送ることなくのぞみは消息をたちました。
この時のくやしさを川口さんはわすれられません。
もう頭の中に焼き付いてはなれないですけどね。
みんな死にものぐるいでたしかにやってた。
だけど結局かなわなかった。
その時じゃあ本当にやりつくせたのか。
のぞみの時の苦労を思うともっとやらなければいけないことがたくさんあると思うんですよね。
もっとやらなければいけない。
少なくてものぞみの時の苦労よりも多く苦労しなければ復きゅうはないと思うわけですよね。
川口さんはけんめいにはやぶさを見つける方法を考えました。
そして思いついた方法がはやぶさがいそうな場所に時間と周波数を変えて信号を送り続けるというものです。
はやぶさはきっと回転しているにちがいない。
だとすれば地球からの電波を受けることができるしゅんかんがあるのではないか。
そう川口さんは考えたのです。
よくそんなの考えつくなと思って。
やっぱりあきらめたらだめなんだなとは思いましたね。
川口さんの熱意にメンバーたちも動かされます。
ひたすら信号を送り続ける地道な作業が始まりました。
そして広大な宇宙からやって来るさまざまな電波の中にあるかどうかわからないはやぶさからの返事をさがし続けました。
作業を始めて47日目はやぶさから返事が来ました。
いや〜ホントにいるんだと思って。
この1か月間不毛なことをやってきた気がするけどすげえなよく見つかったなと思いました。
かつての失敗をバネにした川口さんのねばりがはやぶさを救ったのです。
はやぶさプロジェクトのおよそ60人のメンバーをひきいた川口さん。
いったいどんな小学生だったんでしょうか。
ここに川口さんが小学6年生の時に書いた作文があります。
タイトルは「望遠鏡」。
自分で作った望遠鏡について書いたものですが最後をこうしめくくっています。
自分だけのものオリジナルへの強いこだわりが感じられます。
そして川口さんは大学院を修りょう後宇宙科学研究所につとめます。
ここである信念を持つようになります。
だれかがやっていることの一番ではなくこれまでにだれもやっていないことを目指そうというものです。
これが人類初のはやぶさのい業につながりました。
2010年6月はやぶさはついに地球に帰ってきました。
イトカワのすなが入ったカプセルを地球に向けて放ちます。
(はくしゅ)川口さんは大気圏でもえつきてしまうはやぶさに最後の特別なにんむを用意していました。
地球のさつえいです。
はやぶさでさつえいするのは自分たちの気持ちだけどはやぶさに見せてあげたいという気持ちがきっとあったと思う。
地球をね。
きずついた機体ではやぶさが地球をさつえいします。
はやぶさが最後に見た地球です。
7年間60億kmにおよんだ旅が終わりました。
はやぶさがとどけたイトカワのすな。
その分せきが進められています。
どうして太陽系ができたのか。
宇宙のなぞをとくカギが見つかるかもしれません。
はやぶさプロジェクトを成功させた川口さん。
すでに次の挑戦に取りかかっています。
宇宙のなぞにいどむ研究者を育てることです。
わか者たちを前に川口さんは強調します。
世界一より世界初を目指せ。
はやぶさが成しとげたことは出発点は独創から出発してるんですね。
独創というのはほかのどこもがやったことがないことをやるっていうこと。
いちばん大事なことはそういう部分の好奇心を自ら開いていくことですね。
そこをぜひ目指してみなさんいろいろがんばってほしいと思います。
2014/06/20(金) 09:50〜10:05
NHKEテレ1大阪
道徳ドキュメント「“世界初”への挑戦」[解][字]
小惑星からサンプルを持ち帰るという人類初の試みを成功させた「はやぶさ」プロジェクト。その挑戦を成功に導いた一人の研究者の意地とスタッフの粘りを証言をもとに追う。
詳細情報
番組内容
探査機「はやぶさ」は、2003年5月に地球を出発し、2010年6月に3億キロ離れた小惑星から砂のサンプルを持ち帰った。世界初の試みだった。7年60億キロにおよぶ旅では、エンジンの故障・行方不明などの困難があった。乗り越えられたのは、一人の研究者の意地と技術者たちのチーム力。「はやぶさ」の挑戦を追うことで、その原動力となった“あきらめず挑戦する気持ち”“探究心の大切さ”を伝える。(2011年取材)
出演者
【出演】文部科学省宇宙科学研究所教授…川口淳一郎,【司会】堀伸浩,【語り】廣瀬智美
ジャンル :
趣味/教育 – 幼児・小学生
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:30540(0x774C)