師匠にも液タブにもなる!くそぼっちイラスト初心者の救いの神「ポケモンアートアカデミー」に心酔しそう。

ポケモンアートアカデミー

ポケモンアートアカデミー

席巻するペンタブ買いたい病

 ときは平成、嵐の時代。
 都を跋扈す、流行病。その名も「ペンタブ買いたい病」。その感染力たるや、明治におけるスペイン風邪もかくやというほど。傍若無人に猛威を振るい、縦横無尽に風気を乱し、夏も冬も我関せずと鼻くそをほじりながら安穏と過ごす「ほぼイラスト描かない勢」すらしばしばその病に起因する高熱に浮かされる。

 ヘルペスヘルペスなの?
 いつでも唇にくすぶって、ときどき悪さしちゃうの??

 とにかく。
 わたしたちは一度その病に冒されると、ブラウザを開くたびに検索ウィンドウにこう打ち込むだろう。

「ペンタブ 比較」
「ペンタブ 安い 使い勝手」
「ペンタブ サイズ 小さい」

 そして余暇の大半を「ペンタブ欲しい」という7文字に支配され過ごす。

 大抵の場合、主に金銭的な障壁が功を奏し、実際の購入には至らない。口唇ヘルペスで医者にかからないのと同様、放置し安静にするのが、日常生活においては最適解なのだ。
 しかしこの時期、この病はある素晴らしい出来事を味方につける。

 ボーナス。
 そう、ボーナス。

 ん?ボーナス?
 今月ボーナス??

 ボーナス!
 ボーナス!!
 ボーナス!!!
 ボーナッスゥゥゥゥゥ!!!! 

 イヤッフウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!

まず、イラスト描こうぜ?

 だが待て、しばし*1
 落ち着け、すこし。
 イラストを描かないのに、ペンタブを買って一体どうするというのか。ペンタブを買いさえすればイラストを描くとでもお思いか(自問自答)。

 否。

 甘い!甘すぎる!
 ハンバーグの上のパイナップル並みに甘い。

 わたしたちは、ここに自分たちの認知の歪みがあることを自覚しなければならない。

× 歪んだ認知:ペンタブが無いからイラストを描かない
◯ 正しい事実:イラストが描けないからイラストを描かない

 そう、イラストを描けないんだよ!難しいんだよ!ペイントしか扱えないんだよ!*2

そこでわたしはポケモンアートアカデミーを購入した

 イラストが描けないのであれば、描けるようになればいい。描けるようになったら、ペンタブを買うことができる。←

 何かを上達するには、長けてる者に教わるのが最も効率的である。
 しかしながらわたしには友だちがいない。ましてイラストを描けるイケてる人種とは無縁の生活を送っている。仕事の資料はもっぱら全社的にMSクリップアートさんのご助力に与っている。ありがとう。そしてありがとう。

 ぼっち。それ故にわたしは無力である。無力故にこそ上達を忌避する。上達を忌避すればこそ、またぼっちに拍車がかかる。わたしがこれまでにしてきたことはなんだったか。自分はぼっちであると嘆き、自己憐憫する自己を愛する自己を卑下する自己をそれでも愛するあまりに自己を嫌悪しながらにして愛されるべき自己を熱望し絶望のうちに自己に籠り、空の殻の中に巨大な涙の湖を一つ、また一つと形作り、そして溺れていく。

 しかし、考えてみてほしい。
 ぼっちの味方、任天堂を思い出してほしい。

 たしかに任天堂マリオパーティアイランドツアーにおいて、「3人以上じゃないと遊べない」というボードを作り邪知暴虐の限りを尽くしてぼっちを追いつめた。本当に悲しかった。心の底から寂しかった。この世のすべての負の言葉を集めても尚表現し尽くせぬほど絶望を味わった。かろうじて夫がいるあまり「いうて、2人いりゃ大抵のゲームできるし」と高をくくって過ごすわたしを、はるか上空から見下ろし、いやそれどころか一瞥もくれぬまま糞を浴びせられた気持ちだった。ちなみにそのボードは未だにプレイができていない。
 だが任天堂は同時に、わたしたちにマリオテニスマリオゴルフといった「ひとりではできないスポーツ」をぼっちにも楽しませるべくオンラインを充実させようと努力をしてくれた。誰とも交換もできずまた対戦する相手もおらずぼっちを噛み締めるだけだったポケモンをいつでも誰でも存分に遊べるソフトに作り替えてきた。ぼっちだから喋れないけどちょっとくらい交流したいわたしたちのために、MiiVerseのごときSNS様の仕組みも作り、対戦ソフトにほぼ挨拶文のみの定型チャットを用意してくださった。まして「オンライン対戦」すらもできないさらに上位ぼっちのために、すれちがい通信であたかも友だちがいるかのような気持ちを味あわせてくれているのだ*3

 そんな任天堂が満を持して*4リリースしたソフト、「ポケモンアートアカデミー」が、ぼっちに対して思いやりに溢れたソフトであることは想像に難くない。
 ほぼ確信に満ちた心持ちで、わたしはソフトを起動した。

入学からビギナークラスのレッスンまで

入学試験

 まずは入学試験とのことで、「パステル」でピカチュウを描くお題が課される。

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 画用紙にクレヨンを押し付けてグリグリ回して描く幼児レベルのスキルで達成可能なお題であり、大変親切設計だ。目安の線画をなぞるようにして描けばまずお手本通りに描けるはずだ。

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 いやごめんなさい。お手本通りに描くのって一番苦手でした。
 かくして入学試験に落とされるのではあるまいかと自業自得の恐怖に見舞われ、歯がカチカチと鳴る音にただ呆然と耳を澄ませることしか出来ない。しかし、見よ、この同期入学目指す者の絵を。


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 ピカチュウ……だ…と……?


 二人は合格した。

ビギナークラス

 入学試験に合格すると、ビギナークラスのレッスンである。4つの大きなレッスンからなり、難易度が徐々に上がっていく。

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 1つのレッスンを終えると、そのレッスンと同様の内容で3つのサブレッスンを受けることができる。つまり、ビギナークラスのレッスンは、サブレッスンを入れると16に及びやや面倒くさいかなり手厚いこの仕組みは、イラスト初心者には有り難い。
 高段者は4つのみクリアすれば次のランクに上がることができる。このようにプレイヤーがレベルに応じて使い分けらることは、対象者のレベルが一定しない「習得モノ」のソフトには重要な要素と思われ、さすがと言わざるを得ない。と言わざるを得ない気がしたけど、まあ普通か、いまどき。

 ビギナークラスレッスンの1つ目は、「ミジュマル」である。

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 ポケモンを知らないユーザのために、またポケモンのモンスターの生態に興味など無い乱数調整厨のために、このアカデミーでは題材とするポケモンの概要の説明をしてくれる。「生態を知ること」「特徴を知ること」でそのポケモンの雰囲気をイラストに反映させるためということだ。

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 さて、実際に描画に入る。
 まずは道具説明がある。

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 ふむふむ。

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 この下画面をアウトラインペンでなぞればいいらしい。

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 ほうほう。それは便利。しかし何をどこから描き始めればいいのか分からない、そんな初心者もいるだろう。ここで挫折するわけにはいかぬ。なぜならソフトをすでに購入してしまったからだ。少なくとも3,500円分は楽しまねばならぬ。

 そんなときにも大丈夫。

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 お手本で描いてくれるので、その順に倣ってみれば問題無い。


 次は色塗りだ。

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 しかしさきほど描いたアウトラインの線にはみ出ずに色を塗るなど、ぼっちのわたしに出来るのだろうか。間違えた。不器用なわたしに可能なのか。どうなのか。

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 おお!

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 おおお!

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 おおおお!

 まさかレイヤーの概念があるとは思わなんだ。これで「Free!Alpaca」DLしてみたけどレイヤーとかよく分からなくて使えなくて結局ペイントソフト使っているわというかつてのわたしのような初心者諸賢にも、このソフトを使って学んでいけるではないか。

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 ほんまや!
 そして拡大も。

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 いよいよ完成。

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 うん。なんか、ぽめんな…。

アカデミーの素晴らしい点1<説明が丁寧>

道具の説明が丁寧

 新たな道具を使用する前に、必ず「どのような用途で使うか」「どのボタンで選択することができるか」などの説明がある。

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イラストの描き方のポイント説明が丁寧

 具体的に、わざと間違った描き方をしてみるなどして、「なぜ注意しなければならないのか」を教えてくれる。

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段階を追ったレッスン運びが丁寧

 たとえばビギナークラスでは、4つの必修レッスンで「ミジュマル」「トゲピー」「パチリス」「マーイーカ」を練習するが、それぞれ「正面顔をなぞって塗るだけ」「斜め顔をなぞって塗るだけ」「斜め全身ちょっと動きありをなぞって塗るだけ」「補助線に従って下書きを描いて、自分の下書きにそって描いて塗る」という順に難易度が上がっていく。

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 単調にならず、しかし突如高難度になるでもない。この辺のレベル調整はさすがといわz(ry

ポケモンの説明が丁寧

 ポケモン未プレイであっても、どのような特徴のポケモンか、どのような攻撃をするのか等をイラストで説明してくれるため、実感を持って温度のあるイラストを描くことが出来る。

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 りんごやバナナを描く「絵心教室」では挫折した諸賢も、このように愛らしいポケットモンスターであれば続けていくことが出来るに違いない。多分、絶対、いやわかんない。


アカデミーの素晴らしい点2<同期が個性派>

 イラスト初心者は、思うように描けず、落胆することもあるだろう。しかし、同期画伯の絵を思い出してほしい。

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 安心である。

アカデミーの素晴らしい点3<アレンジが怒られない!>

 このブログをここまで読んだ諸賢であれば、お手本通りに描くなどといったことができようか(いやできない)。
 しかし、大丈夫。このアカデミーでは、


 口角血しぶき飛ばそうが、



 おならさせようが、


 進級試験なのに変な吹き出し付けようが、決して怒られない。自由。なんて素晴らしい響き。

あれ、これ、液タブ!?

 これでイラストを描けるようになったら、ペンタブ買うん……ってこれ、液晶タブレット的に使えるんじゃね? レイヤー一応2層あるし。


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 「フリーペイント」選んで、


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 「みほんつかわない」選んで、


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 描画レイヤーに鉛筆で下描きして、


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 アウトラインレイヤーに習った通りまずは太い線で外側描いて、

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 おなじくアウトラインレイヤーに習った通りに今度はちょっと細い線でくちばしとか模様とか描いて、


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 最後に描画レイヤーで鉛筆の下書き消してから色を塗ってあげれば、


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 アイコンくらいなら描けるじゃないの!!!!

このようにわたしはペンタブ欲しい病を乗り越えた

 そればかりか、液タブを手に入れて鼻血が出そうである。

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 それは吐血…。



twitterにて絡まれたし。


ポケモンアートアカデミー

ポケモンアートアカデミー

*1:出典:「有頂天家族」

*2:マウスでFree!Alpaca使ってます

*3:アパートの斜め上の階の人とすれちがい通信でのみ交流してた実績がある

*4:たぶんそんなことない