8NHK高校講座 世界史「西アジア・中東史の新展開〜イスラーム教の成立〜」 2014.06.20

歴史の大海原を旅するキャプテン歴史アイドルの小日向えり。
世界中のさまざまなゲストと一緒にいざ船出しよう!
(小日向)私の部屋へようこそ。
歴史の旅へ船出しましょう。
今日はきれいな方がいらっしゃると聞いてるんですけどどちらの国の方なんでしょう。
(サヘル)こんにちは!こんにちは!サローン!サローン!すごいきれいな…。
イラン出身の美人女優…
イスラーム教徒のサヘルさんに今日はイスラーム教について語って頂きます
イスラーム教を語る上で関わってくるのがこの…。
最近スマートフォンでしたり携帯ではお買い物ができるじゃないですか。
キャッシュレスでしたり信用取り引きといわれますよね。
実際にやった事ありますか?はいクレジットカード。
私は魔法のカードって呼んでるんですけど。
現金の手持ちがない時に欲しいものがあったらついつい使っちゃいますね。
ついついみんなが当たり前のように使っている…そうなんですか?そんな前に?今日はそういうところも根掘り葉掘りいきたいと思います。
はい聞きたいです。
ナビゲーターもご紹介しましょう。
それがこの方です。
私の名はウマル。
イスラーム教の成立と布教に深く関わった男だ。
私が語る時代は7世紀から13世紀まで。
場所は中東地域だ。
ところで諸君らはイスラーム教をご存じだろうか?砂漠の商人が始めた宗教だが瞬く間に信者を増やし彼らは世界最大級の大都市まで建設した。
そこでは電子マネーの先祖ともいえる信用取り引きも行われていたのだ。
現在イスラーム教徒は10億人以上。
今日は彼らがつくったさまざまな英知をお伝えしよう。
電子マネーの起源となる信用取り引きがこんな昔から行われたんですね。
そうなんですよ。
あと今お話してくれたウマルさんってどういう人なんですか?私たちイスラーム教徒にとって数名の大切な方々が出てくるんですね。
その一人に「勇敢なアリー」という方がいらっしゃるんですけどもこのウマルさんは「知識のウマル」ともいわれてるんですね。
頭が良かったんですね。
そうなんです。
ウマルさんについてもっと知りたくなってきました。
分かりました。
続いてもウマルさんに語って頂きましょう。
それではまず私の生い立ちから語って聞かせよう。
私が生まれたのはアラビア半島のメッカ。
2m近い大男に成長した私は誰よりけんか好きだった。
自分より強い者に挑み必ず勝った。
メッカで最強となった私はいつしか若者たちのリーダーになっていた。
そのころメッカ郊外の山でムハンマドなる男が洞窟に籠もりめい想を始めた。
ムハンマドはメッカの商人の家に生まれその後砂漠での隊商貿易に従事した。
ある日ムハンマドに神の言葉が伝えられた。
…の誕生である。
その最初の言葉は…すなわち口に出して唱えよという事だ。
ムハンマドは神の言葉を人々に伝える活動を始めた。
それが大きな波紋を呼ぶ。
メッカにある…ここは当時多神教でさまざまな神が祭られていた。
しかしムハンマドは……と唱えたのだ。
人々はムハンマドを危険な思想を唱える者として迫害した。
かくいう私も彼の暗殺を考えたほどだ。
そんな私だが神の言葉「コーラン」を聞きその響きと内容に感動してイスラームに入信したのだ。
私は迫害する側からされる側に回り少数の信者と共にメッカからメディナに移った。
この時期ムハンマドと苦楽を共にした者を…アブー・バクルウスマーンアリーそして私などだ。
次第に信者は増え我々は兵力も整えていった。
イスラーム教第一の聖地としたのだ。
現在は世界中に信者を持つ宗教となったイスラーム教。
その礎を築いたのが我らの力なのだ。
イスラーム教ってどんどん興味が湧いてきたんですけど結構規律が厳しいイメージがあったんですよ。
断食をしたりとか…。
断食の一番の目的というのは食べられない人の気持ちが分かるようになるためなんですよ。
食べないっていう事はそれだけ食事代が浮く訳ですね。
1か月間する事によってお金がたまる訳ですよ。
そのたまったお金を自分のために使うんではなくて貧しい人たちのために使ってあげる。
…という気持ちで断食が行われるんです。
その時期が来るのが嫌だなって思ってる人っていないんですか?いないんです。
強制的ではないので…。
私も実際日本で生活してると仕事の都合で正直1か月もできる事はないんですね。
でもできるかぎりの時はやってます。
できる範囲でいいんですね。
そうです強制ではないんです。
なるほど。
やる方も恵んでもらう方もみんながハッピーになれてすてきな儀式というか…。
教えですよね。
私はこういうふうに見たんですけど…。
イスラーム教ができたぐらいの時期日本では仏教が伝来したぐらいなんですよ。
その同じ時期に中東の方ではイスラーム教ができて同時期に離れた場所で大きな宗教的な出来事が起きていて。
これすごい面白いなって今。
ある意味それがあったからこそこうして出会えているのかもしれませんね。
そうですよね。
ところでそのあとウマルさんはどうなっていくんですか?それはその方に語って頂きましょうか。
632年ムハンマドが息を引き取った。
誰がその後を継ぐか大問題となる。
そこで選ばれたのが後継者カリフである。
アブー・バクルそして私ウマルウスマーンアリーと4代続いた。
これは後に「正統カリフ時代」と呼ばれる。
そして主に私がカリフだった時代にイスラーム教徒たちが支配する領域は一気に拡大する。
638年にはイェルサレムを手中に収めた。
ここは3つの宗教にとっての聖地だ。
そしてイスラーム教徒にとってはこの巨大な岩が聖地である。
ムハンマドがここから神の言葉を聞くために天に向かったのだ。
現在は岩を建物で覆っている。
これが…私はこの聖地で3つの宗教が共存するための条約を結んだ。
キリスト教徒ユダヤ教徒を庇護民とし税金をかける代わりに権利を保障したのだ。
後にはいさかいも起きたが現在に続くイェルサレムでの宗教の共存はこの時始まったといってよいだろう。
またムハンマドが神からあずかった言葉を集めまとめ始めたのも私だ。
そう私が改宗するきっかけとなったあの美しい「コーラン」だ。
644年私はこの世を去る。
しかしその後もイスラーム教徒たちは繁栄した社会を築いていくのだ。
「コーラン」もウマルさんの時代に書物としてまとめられ始めたんですね。
私たちにとって…この中につづられてるムハンマドが神から聞いた言葉っていうのは読んでいくとすごく身のためにもなるし悩んだ時には「コーラン」を開いて「コーラン」に問う事が多いんですね。
例えば引っ越しをするじゃないですか。
先にその家に「コーラン」に入ってもらうんですよ。
「コーラン」に「この家大丈夫ですか」とちゃんとチェックしてもらうんです。
駄目です…みたいなの出ない?開いて駄目だってなったらその家は借りません。
そうなんですか!?そのぐらい本当に大切なんです。
そうなんですか。
ところでウマルさんが亡くなったあとはどうなったんでしょう?それは亡くなったこの方に教えてもらいましょう。
私の亡きあとウスマーンアリーがカリフを継いだ。
しかし次第に社会は乱れアリーも暗殺されてしまう。
その後…選挙によって決められていたカリフはウマイヤ家の者が世襲制で就いた。
カリフを君主とする帝国が始まったのだ。
首都ダマスカスにある…古代ローマの神殿がキリスト教の教会となりそれを取り壊して造ったモスクだ。
壁を飾るモザイク画はキリスト教徒の職人に作らせた。
回廊の柱はローマ風。
良いものは宗教文化を超え取り入れるのがイスラーム流だ。
ウマイヤ朝は西はイベリア半島から東は中央アジアまで広大な勢力範囲を獲得していく。
ウズベキスタンの古都サマルカンド。
現在では他民族の侵略などにより当時の姿は跡形もないがシルクロードの要衝の町として栄えた。
イスラーム教は現在もこの地の者たちに深く浸透している。
現在のスペインにもイスラーム文化の名残がある。
コルドバの町に建つ…2万5,000人を収容できる大モスクだった。
アーチを支える柱はおよそ850本。
イスラームだけではなくさまざまな美術様式が混在し世界遺産に登録されている。
こうして勢力範囲を広げる一方さまざまな文化を取り入れていったのだ。
さまざまな文化のいいところを取り入れて独自の文化を発展させたんですね。
イスラーム教の特徴なんでしょうかいろいろ征服はあったとしてもそこで…イスラームのいいところなんですよね。
いいところはいいって認めてくれると教えてもらった人たちも受け入れやすいですよね。
はい。
うんそれこそイスラーム教が短期間で広まった理由の一つである。
さて750年にウマイヤ朝は倒され…その首都はバグダードだ。
当時のバグダードは技術の粋を凝らした革新的な円形の都市だった。
周囲7km高さ18mの城壁で囲まれていた。
その内側は官庁街。
さまざまな民族から登用された官僚と軍人合わせておよそ3万人がいた。
アッバース朝はアジアやアフリカに4つの幹線ルートを伸ばした。
この交易の大動脈を通り東西のさまざまな産物や文化がバグダードに集まってきた。
たくさんの市場が建てられ100を超す店が軒を連ねていた。
商人たちの活躍で世界各地からばく大な富が集まり貨幣経済が発達したのだ。
これは…現金不要の信用取り引きが既に存在していたのだ。
バグダードの小切手は4,000km離れたスペインでも換金できた。
学問も発達した。
イスラームの教えに基づく学問だけでなく古代ギリシアの著作も研究された。
医学の分野もまたしかり。
ここは12世紀の総合病院の跡だ。
外科内科産科そして精神科も置かれ入院施設もあった。
当時のイスラーム帝国はさまざまな分野で世界の最先端を誇った。
それが後のヨーロッパにも影響を与える事になるのだ。
やっと最初に言ってた信用取り引きの謎が解けました。
小切手を使ってたんですね。
今でも実は小切手ってイランでは使われているんですよ。
大体の普通の生活している方々はかばんの中に小切手をいつも置いてあってちょっと大きな買い物をする時はすぐに小切手を切って。
さらさらってカウンターで書いてっていうの映画の世界みたいで憧れますよね。
そうですよね。
あっ先生が呼んでる。
これ先生が呼んでる音なので。
そうなんですね。
お話聞いてきます。
分かりました行ってらっしゃい。
お待ち下さい。
行ってきます。
行ってらっしゃい。
すてきなお部屋ね。
羽田先生こんにちは。
(羽田)こんにちはどうぞ。
呼びましたか?呼びました。
いろいろ話したい事がありました。
イスラーム帝国という言い方は確かに一面では事実なんだけれども注意しないといけない事がいくつかあります。
1つは…えっそうなんですか?多分8〜9割の人はイスラーム教徒じゃないですね。
えっ!?もっとかもしれない。
ですから…いろんな地域でイスラーム教徒っていろんな人がいる訳だし。
さまざまなイスラームがあるのであまりイスラームは一つだと考えてそこは同じような人たちがみんな同じような考え方で住んでいる行動しているって考えるのはどうかな?まあ歴史の見方の問題ですけど。
地域によっても違いますしひとくくりにするのは難しいっていう事ですね。
そうですね。
でもそれだけで見るのはよくないと思いますね。
まあ難しいです歴史っていうのはね。
議論が絶えませんね。
先生またお話あったら呼んで下さい。
こちらこそよろしくお願いします。
今日のイスラームの歴史いかがでした?イスラーム教っていうのがイメージはあったんですけどやっと今日いろいろお話聞いてちゃんと理解できたのかなっていう気がしました。
今日も歴史と私たちがつながりましたね。
本当ですね。
2014/06/20(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「西アジア・中東史の新展開〜イスラーム教の成立〜」[字]

歴史好きな「歴女」の部屋を、世界各国にルーツを持つ多彩なゲストが訪れ、歴史上の人物のメッセージを届ける…ムハンマドの後継者が語るイスラーム教の成立

詳細情報
番組内容
今回の学習内容は「ムハンマドを迫害していたウマルが後継者に?!」「1000年以上前にクレジットカードの原形があった?!」「イスラーム教諸国の文化と繁栄」。学習ポイントは「イスラーム教の誕生〜ムハンマドと“教友”たち」「イスラーム教徒の大征服」「アッバース朝とバグダードの輝き」。【司会】小日向えり【ゲスト】サヘル・ローズ【講師】羽田正(東京大学教授)【語り】飯塚昭三
出演者
【講師】東京大学教授…羽田正,【ゲスト】サヘル・ローズ,【司会】小日向えり,【語り】飯塚昭三

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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