相棒 season9 2014.06.20

(神戸尊)はい撮れました。
バッチリです。
(杉下右京)僕は薬物を売った男を追います。
じゃあ僕は買った男のほうを。
マナブ!2階開けてねえじゃねえか…!あっ組長ただ今戻りました。

(角田六郎)お疲れさん。
二見興業に入るのを確認しました。
よしこれで5人目だ。
(大木長十郎)関東貴船組系二見会の構成員は10人。
うち薬物売買の証拠が固まったのが5人。
これで組織ぐるみの薬物売買で送検できます。
今事務所に何人いる?
(小松真琴)10人全員そろってます。
各班突入準備。
「A班了解!」「B班了解!」よし。
踏み込め。
(大木・小松)はい。
はい1234…。
(後藤幸一)お前らの取り分出せ。
(後藤)ちゃんと出せよお前。
よーしそのままだ!
(小松)全員動くな!マズい麻取だ!
(大木)麻取じゃない。
警察だ!はいそこ携帯触らないで。
うわっ…。
(小松)はい公務執行妨害の現行犯!
(大木)よーし予定どおり全員逮捕だ!はいおとなしくしろ!
(構成員)あ…痛ぇつってんだろが!神戸君!はい!9人しかいませんね。
え…?
(大木)お前と同じ二見会の構成員だな?拳銃で心臓を撃ち抜かれてた。
こいつは一体誰なんだ!ほう…ダンマリか?
(米沢守)はい手出して。
…手。
はいどうも。
(米沢)開いて開いて。
誰が殺した?なぜ殺した?黙秘しまーす。
「なんで言えねえんだ?お前がやったからか?」「黙秘」
(角田)薬物の売買については認めたんだろ?9人全員が自白しました。
組織ぐるみの売買です。
なのに撃ったのは誰か撃たれたのは誰かは黙秘?殺人罪については否認したいんでしょうね。
普通に考えればそうですね。
まあどうせ誰が撃ったか鑑識に行きゃあわかるさ。
それが…わからないんです。
(角田)えっ…?ちょっとこちらへ。
(米沢)逮捕された9人全員火薬残渣が出ませんでした。
じゃこの9人の中に撃った犯人はいないって事?撃たれた構成員の死亡推定時刻は?解剖の結果昨日の朝9時から11時です。
我々が踏み込んだのが夜8時。
その間に火薬残渣は洗われてしまったと考えるのが妥当でしょうねぇ。
参ったなぁ。
チッ…誰が撃ったかわからない死体か。
はあ…一応みんな自分の名前白状したんですね。
ええ亡くなったこの男以外は…。
(大木)あのなぁ…ヤクの売買認めといてこいつの名前吐かないってどういう事だ?
(小松)おい…なんだよ。
(伊丹憲一)一斉摘発成功おめでとう。
(芹沢慶二)その現場で殺しのホトケが出たとか。
(大木)今それを取り調べしてるとこだ。
出てってくれ。
殺しの取り調べなら我々捜査一課がする。
ああ?
(角田)今回の殺しは薬物絡みの線が濃厚です。
ですから我々組対五課が送検するのが効率的です。
(内村完爾)1週間前から二見会を内偵していたと言ったな。
ええその結果の一斉摘発そして逮捕です。
つまり内偵中に内偵対象の1人が殺されたってわけだ。
(中園照生)困りましたねぇ。
捜査一課としては組対五課の内偵中に殺されたと会見しなくてはなりません。
そんな意地の悪い事を言うもんじゃない。
しかし部長このような不祥事を隠蔽するわけには。
殺人容疑での送検は捜査一課に任せるという事でどうだ。
それでしたら一課の顔も立ちますので穏便な会見はできると思いますが。
…と捜査一課は言っておるがどうだ?…お任せします。
(芹沢)ここからゴロンと出てきてんだよ!この人の死体が!どうせ夜になったら捨てに行こうと思ってたんだろ?
(舌打ち)それなのにこいつの名前は知らない。
誰が撃ったのかもわからない。
そんな戯れ言が通用すると思ってるのか!こら!
(五月女雄)関東信越厚生局麻薬取締部五月女です。
麻取さんが警察になんのご用でしょうか?えっ…まだ黙秘してるんですか?この男の事を。
ええ逮捕した9人全員が。
この期に及んでなぜでしょう?捜査一課の連中手こずってるようですよ。
あそう。
(電話)はい組対五課です。
えっ…。
課長。
なんだよ?鑑識からです。
はい。
(米沢)あっわざわざすいません。
うんいいよいいよ。
どうせうちは刑事部様の鑑識課を使わせてもらってる身だからさ。
どうかしたんですか?さあ刑事部長室から戻ってからなんかヘコんでるんですよ。
で凶器が見つかったとか。
はい。
こちらが被害者の体内から出た弾です。
二見会から押収したこちらの拳銃の線条痕と一致しました。
指紋は?残念ながらふき取られています。
(電話)あっちょっと失礼。
はいもしもし鑑識課。
は?あはい。
承知しました。
はい。
内村刑事部長がお呼びです。
(角田)な…なんだよ。
一度で済ませろよ!なぜ私が怒られたんでしょうか?さあ…。
こいつは石井と豊田。
ここだ。
はい!あっ警部殿。
これは薬物を買った客ですね?
(小松)これから逮捕に行きます。
で例によって人手が足りないんですが…。
ええ我々は例によって人手が余っています。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
こちらは1年も前から内偵していたそうだ。
近々二見会を一斉摘発する予定でした。
その前に君たち組対五課が踏み込んでしまったらしい。
あのそれでご相談というのは…。
薬物容疑の送検を我々にもさせていただきたいのです。
はあ?体を張って逮捕したのは我々組対五課ですよ!ハハ…小さい事言うもんじゃないよ。
殺人容疑は刑事部に取られてその上薬物容疑まで麻取に取られるなんてそんな…!もちろんタダで送検させろとは言いません。
我々が1年間二見会の内偵をした資料をすべて提供します。
えっ…?その中には捜査一課さんが知りたがっているこの男の素性につながる情報もあります。
あっだから…。
(咳払い)組対五課にとってもいい話があるそうだ。
我々が海保や税関と共同で一緒に調べた二見会の薬物入手ルートその資料もすべて提供します。
えっ…入手ルート特定できてるんですか?はい。
そのため1年の歳月が必要でした。
入手先の組織構成員所在場所すべてわかっています。
組対五課だけでなく組対部全体の手柄になるなぁ…。
組対部長と相談の上早急に返事をいたします。
(角田)正直驚きました。
麻取がここまで手の内さらすとは。
まあ彼らも必死なんだろう。
麻取は組対五課と仕事がバッティングしてるからね。
しかし麻取は薬物の所持や潜入捜査ができます。
正直うらやましいですよ。
まあ麻取が売人を逮捕したあと薬物以外の容疑はうちの三課や四課が送検させてもらってるだろう。
代わりにうちは麻取に留置場を提供しています。
そう。
そんな警察と麻取のいい関係をこれからも続けていこうじゃないか。
ねぇ?何言ってんだよ。
知らねえよ。
知らないとおっしゃっています。
はい。
ではこちらをご覧ください。
どうぞ。
(ため息)最初から見せろよ…。
行きましょうか。
(携帯電話の振動音)失礼。
(携帯電話の振動音)杉下です。
…はい?
(大木)ここまで来た時急に飛び出してきて…。

(大木の声)で追いかけたら…。

(大木)あ…ちきしょう。
待てこら!つまり逃げた男に協力者がいた。
(大木の声)ええ。
(大木)この部屋の契約者がわかった。
呉純一26歳無職。
このマンションの管理会社に15分前に電話があり室内の荷物はすべて処分してほしいと言ったそうだ。
おややけに手際がいいですね。
(携帯電話の振動音)あっ…。
はい大木。
えっ?今からですか?いやしかし…。
組対五課は全員引き揚げ!…だそうだ。
えっ?なんで?知らねえよ。
構いませんよ。
あとは我々に任せていただいて。
すいません。
すいません。
行くぞ。
(捜査員たち)はい。
それにしてもこの部屋の呉純一って男素性を示すものが何もありませんよね。
まるで我々が来る前に捜査のプロが家宅捜索を済ませたかのようです。
えまさか…逮捕に行くって情報が漏れていた。
…なんて事はないですよね。
あの9人の取り調べをやめろって事ですか?そうじゃない!今日一日麻取に取り調べをさせてやれという話だ。
(三浦信輔)麻取にですか?薬物容疑の半分を麻取が送検する事になった。
安心しろ。
殺人容疑については全員うちで送検する。
それで麻取から土産ももらってある。
土産…?
(中園)組対五課に預けてある。
お前らも行って確認しろ。
(角田)おう。
麻取が提供してくれた資料だ。
(小松)麻取が?あっこいつ撃たれた…。
(大木)なんでまた麻取がこんな資料を持ってんですか?1年前から内偵してたんだと。
その鎌田って男が二見会に入ったのも1年前だ。
さすが麻取ですね。
これよく調べてありますよ。
それはうちに対するイヤミかな?よしこいつの家捜索するぞ。
はい。
(三浦)よし!先に行かせてんじゃねえよ!
(一同)はい!薬物を買ってるのが呉純一ですね。
確か売人のほうは逮捕しましたね?あっはい。
えーっと…。
ありました。
この人です。
後藤幸一…。
彼に聞けば呉純一の素性がわかるんじゃありませんかねぇ。
後藤幸一…。
ああ昨日逮捕された二見会の…?至急聴取したいんですけど。
あ…今日一日二見会の取り調べは麻取が担当ですよ。
麻取?つまり厚労省の麻薬取締部ですか?はい…。
安心しろ。
お前を殺人罪で送検させたりはしない。
薬物容疑の送検を麻取と手分けするんですか?うんまあ…警察と麻取お互い持ちつ持たれつだ。
しかしそこまでしてなぜ麻取は送検したがるのでしょう?それは1年もかけた内偵を無駄にしたくないからだよ。
まあそんなに空振りばっかしてたら麻取だって事業仕分けの対象になっちまう。
仕事はうちとかぶってんだからさ。
鎌田を撃ったのは俺だ。
殺しを認めるんだな?殺しじゃない。
暴発…!?そうあれは暴発。
まさか…事故だっての?はい。
昨日まで完全黙秘だったのが今朝急に吐いたんです。
あの死体が殺人じゃなくて銃の暴発事故?9人が9人ともそう供述しました。
(三浦)後藤が試し撃ちをしようとしてうまくいかず暴発して鎌田を誤って撃ってしまったと…。
(鎌田健作)おい何してんだよ。
(銃声)…って捜査一課の取り調べでは吐いたみたいよ。
そうですか事故ですか。
鎌田は両親が他界していて肉親がいないようですが。
うんヤクザにありがちな天涯孤独の身の上だ。
鎌田の自宅は調べましたか?家宅捜索はしたよ。
独身の一人住まいだった。
職業などを示すようなものは見つかりませんでしたか?うーん二見会の構成員だったって証拠ならいくつか。
構成員になったのは1年前ですね。
その前の経歴は?麻取が内偵始めたの1年前だから。
9人の取り調べでは聞いてないんですか?9人とも二見会に来る前の事は知らないってさ。
つまり麻取がくれた資料以上の供述はしなかった。
しかし麻取の取り調べを受けた翌日示し合わせたように暴発事故の供述を始めた。
あっ課長薬剤師の登録名簿ですが組対五課ならば手に入りますよね?薬剤師の名簿?そりゃあ手に入るけど…。
僕が戻るまでに写真付きのものをお願いします。
ああとりあえず東京23区在住の薬剤師からお願いします。
殺人事件じゃなくて事故ならなぜ黙秘してたんだ。
はあ。
事故の証拠がないので構成員みんなで後藤幸一をかばっていたようです。
ああ…でどうしましょう。
事故の証拠がない以上このまま殺人で送検しますか?それとも供述の一部を採用して銃刀法違反業務上過失致死にしますか?
(角田)おお!いや驚いたよこれ。
まさか鎌田が薬剤師だったなんてな。
僕も驚きました。
(角田)どうしてわかったんだよ?麻取ってその半数が薬剤師の資格を持ってるんですって。
麻取…?さらに麻取の潜入捜査官はこの鎌田さんのように肉親のいない天涯孤独の者が選ばれやすい。
え…ちょっと麻取の潜入捜査官って何?杉下さんは捜査に介入する麻取の事が気になってたみたいで。
しかもその麻取が取り調べたあと9人の供述は暴発事故で統一されました。
それで思い出したんです。
我々が逮捕に行く直前に逃げた男を。
逮捕の情報が漏れていたみたいでしたね。
しかも彼には協力者がいました。
もしその協力者が麻取だとしたら彼もまた麻取である可能性が高いそう思いました。
これ麻取が入ってるビルです。
(角田)じゃあ呉純一は麻取…?しかし彼は…このように売人から薬物を買っています。
それじゃこれは薬物を買ってるんじゃなくておとり捜査?その前に後藤が薬物を売った客全員撮影していますか?あ…確か1週間の内偵中にもう1人いたはずなんだが…。
ああこれこれ。
志村利恵。
こいつは不在で逮捕できなかった。
彼女も薬剤師です。
という事はこの客も麻取ですか。
どうして後藤は麻取にばかりヤクを売ってるんだ。
おとり捜査ではなく麻取に薬物を証拠提出していた。
そう。
つまり後藤は麻取の協力者だった。
えっ?確か麻取と送検を手分けする予定でしたね?えっああ…。
ええこれ…。
麻取が送検する事になった5人だ。
あっ…後藤の名前があります。
鎌田も。
鎌田って麻取の潜入捜査官の可能性が高いんですよね?ええ極めて高いと思いますよ。
だとすると今回の事件は麻取の協力者が潜入捜査官を撃ち殺したって事件になりますよ。
だからこそ麻取はその事を隠そうと躍起になっています。
なんで協力者が潜入捜査官を殺すんだよ?その答えはきっと撃った後藤が知っているはずです。
取り調べるんですか?もちろん。
組対五課の皆さんは?あ…薬物容疑の送検準備で飛び回ってる。
そうですか。
では我々だけで。
昨日お伺いした組対五課の者ですが。
ああ確か逮捕した二見会の取り調べでしたよね。
はい。
後藤幸一の聴取をしたいのですが。
ああ…。
あの五月女といいます。
警視庁組対五課の方ですか?その応援捜査をしております。
後藤幸一は我々が送検する事になっています。
存じておりますが至急聴取したい事があります。
すいません。
送検まで時間がないので我々の取り調べを優先させてください。
そうですか。
それでは我々は我々担当の5人を取り調べましょう。
はい…。
彼の死は本当に後藤さんによる銃の暴発でしょうか?例えば…後藤さんが意図的に彼を撃った。
またはあなた方の誰かが後藤さんに彼を撃たせた。
まさか…。
違うね。
だいたいなんで仲間が仲間を撃つんだよ。
仲間でなかった事がわかったから。
もっと言えば鎌田さんが潜入捜査官だとわかった。
知らねえよ!知らない…。
本当でしょうか?鎌田が麻取だった証拠でもあるのかよ!おやおや…麻取だとは一言も言ってませんよ。
やはり知ってましたか。
「なんなんだよこれはよ!知らねえよ!」「俺たちがヤクを売ったその容疑の取り調べじゃねえのかよ!」「ああ黙秘だ黙秘」二見会の連中気づいてたんですね。
鎌田さんが麻取の潜入捜査官だって事。
じゃあ後藤がその協力者だったって事にも気づいてたんですかね?気づいていたのなら彼をかばったりはしなかったはずです。
しかし鎌田さんを撃ったのは後藤なんですよ。
(銃声)潜入捜査官をその協力者が撃った。
まさか…鎌田さんが麻取だってバレたらいずれ自分も協力者だってバレてしまう。
それを避けるために撃った。
そう考えるのが自然でしょうね。
うーん…。
杉下さんこれどうするつもりですか?どうするとは?後藤を殺人で送検すれば鎌田さんが潜入捜査官だった事も後藤が協力者だった事も公になります。
公になれば後藤が出所後裏切り者として命を狙われる可能性だってある。
警察はそれをどこまで守れるんですか?警察に警護義務はないはずですが。
そんな事言ったら誰も協力者になんかなりませんよ。
では言い方を変えましょう。
警察が現行法の中で協力者をどこまで守れるかはまた別の話です。
別の話って…命懸かってるんですよ。
必要なら法を変えるべきだという話です。
法を変えるなんてすぐにできる事じゃないでしょ。
だから後藤の罪状を変えて送検するんですか?僕はそれも選択肢の1つだと思いますけど。
後藤が彼を撃ったのなら後藤は殺人罪で裁かれるべきです。
ちょっと…どこに行くんですか?正しい罪状で送検するために後藤を取り調べます。
彼の身柄は麻取が押さえています。
取り調べは無理ですよ。
麻取を説得します。
(内村)だとしたら殺しじゃないか。
(中園)それならうちとしてはぜひ殺人罪で送検したい。
(五月女)その殺人は組対五課さんの内偵中に起きています。
(川上)あいや…。
しかしあなた方も内偵中だったはずだ。
ですからこれが公になればうちの捜査手法だけでなく警察の捜査手法も非難されます。
だからなんだ。
刑事部には関係のない話だ。
内村部長…。
我々は二見会を1年内偵した情報を提供しました。
おかげで鎌田の素性がわかりあなた方は送検できる。
いやしかし殺人で送検できない…。
お約束の二見会の薬物入手ルートです。
ああ…。
良いお返事をお待ちしています。
我々刑事部にとっては見返りの薄い話だ。
しかし麻取の不祥事を公にしても得はないでしょう。
いいでしょう。
今回は麻取の言いなりになります。
ありがとうございます。
ただしこれは組対部への貸しとします。
そのつもりで。
もちろんですよ。
先方に返事をしてきます。
そうですか。
警視庁さんのご厚意に感謝いたします。
五月女さん。
少しお時間よろしいでしょうか。
(五月女)麻取の協力者による潜入捜査官の射殺…。
その推理を裏付ける証拠はあるんですか?神戸君。
これを公にして警察になんの得があるんです?罪を裁くのは損得ではなく法律です。
二見会の連中はちゃんと法で裁かれるはずです。
その場合正しい法で裁かれなければなりません。
我々捜査側の不都合を隠すために代わりの法律で裁くなんて事は絶対にあってはなりません。
五月女さん麻取の潜入捜査は合法です。
隠す事ではありません。
もちろんそれが失敗し死者が出た事が公になれば一時的には興味本位で騒がれるかもしれません。
興味本位で騒がれるだけじゃ済みません。
ですからあなた方はその責任を取った上で捜査上の不備を徹底的に直しそこからやり直すべきです。
公にすれば麻取という組織の存在も危うくなるんです。
今は組織の保身論など持ち出す時ではありません。
公になれば後藤の身にも危険が及ぶんだ!それは別に対策を考えるべき事です。
五月女課長1つ疑問があります。
二見会は鎌田さんが潜入捜査官である可能性が高い事を気づいていました。
あなた方は1年も内偵をしていてそれに気づけなかったんですか?その恐れがあると後藤から聞いていました。
(呉純一)鎌田さんがバレてるかもしれない?
(後藤)ああ…。
口走っちまったんだよ鎌田さんヤクの入手ルートを。
ルベルタ共和国…。
やっぱりあんたらか?それ伝えたの。
あの人は入手ルートにかかわってない。
なのになんで知ってるんだって事になって…。
鎌田さんヤクの取引から外されたよ。
みんなまだ半信半疑だけどバレるのは時間の問題だ。
なあなんとかしてくれよ!このままじゃこの俺も…。
それなのにどうして内偵を続けたんです?鎌田から定期連絡があるたび厳しく確認した。
(五月女の声)だがそのたびに鎌田は…。
(鎌田)それは一斉摘発が近くなって後藤が臆病になってるだけです。
俺の潜入がバレてる様子はありません。
計画どおり一斉摘発に着手していいのか?もちろんです課長。
1年ですよ。
俺たちの命懸けの捜査を無駄にしないでください。
その言葉を信じてしまった…。
いや信じたかった。
鎌田さんは麻取が1年を費やした内偵が自分のせいで無駄になってしまう事を避けたかったんですね。
命懸けの捜査ですか…。
ルベルタ大使館…!?それが二見会の薬物入手ルートだ。
すごい情報だろ。
(角田)はあ…。
(川上)うちとしてもいい取引をした。
あっ麻取といえばあの撃たれた二見会の構成員なんですが実は麻取の潜入捜査官…。
角田課長。
そんな話はいい。
いやしかし部長これは証拠のある話でして…。
(川上)それなら…その証拠ごと忘れていい。
それが部長がおっしゃった取引ですか?
(米沢)撃ち殺された鎌田さんの着衣です。
杉下警部の予想どおりこちらから火薬残渣が出ました。
そうですか。
火薬の種類は押収した凶器の拳銃と一致しました。
じゃあ銃を撃ったのは…。
はあしかし傷口に付着していた火薬から見て体は銃口から少なくとも30センチ以上離れていたはずです。
という事はつまり…このようなかなり不自然な格好になります。
まるで自分を撃とうとしているかのようですね。
しかしこうすると後藤が向けた銃を鎌田さんが奪おうとしてるようにも見えます。
しかしそれで的確に心臓が撃ち抜かれますか?つまりこれは単なる暴発事故などではなく…。
杉下さん。
これでも後藤は正しい罪状で送検されるべきですか?当然です。
どこへ行くんです?後藤に会って真実を確かめなければなりません。
後藤には会えませんよ。
会う方法はあります。
もう…もうこの辺でいいんじゃないですか?真実の追究にもうこの辺でいいなどという事は絶対にありません。
しかし後藤の身柄は麻取が押さえてるんですよ。
だとしても殺人容疑ならあなた方捜査一課が取り調べできます。
いやでも僕ら暴発事故だって聞いてますけど。
やはり殺人なんですか?少なくとも暴発事故などではありません。
(中園)容疑は確定した。
業務上過失致死で送検する。
(中園)送検の準備。
そして杉下お前は今すぐここから出て行け!それなら皆さんは過失致死で取り調べできます。
お前には関係ない。
出て行け!警視庁の中園です。
わかった…。
お前の言うとおりにしよう。
参事官が麻取に連絡をしました。
麻取が来る前に後藤を取り調べますよ。
(伊丹)気づいてたな?麻取の潜入捜査官だって事に。
知らねえよ。
変ですね。
他の構成員は気づいていたようですよ。
それに同じ麻取である彼にあなたがそれを話しおびえていたとか。
つまりあなたは麻取の協力者です。
二見会の連中が鎌田の素性に気づいていたとしたらお前がその協力者だって事がいずれわかっちまう。
後藤さんあなたはそれを恐れた。
だからこそ…。
何してるんだ!後藤の身柄は我々にある。
それは薬物の容疑だけだ。
今は殺人容疑で聴取してる!殺人…!?冗談じゃない。
ああ冗談じゃないよ!五月女さん真実を曲げてはいけません。
鎌田さんがなぜ死亡する事になったのかその真実を…。
真実は銃の暴発だ。
銃の暴発であなたは鎌田さんを自分の部下を二見会の構成員として一介のヤクザとして終わらせるおつもりですか。
彼はあなたの指示で1年もの間二見会に潜入し危険な捜査を続けていました。
そして一斉摘発。
その間際彼は身分が明らかになってしまう事を悟った。
だからこそ…。
後藤さん…。
鎌田さんはあなたに殺される事を選んだ。
鎌田さんが死亡時に着ていたスーツです。
左右の袖口から火薬残渣が出たんです。
銃は30センチ以上離れて撃たれていました。
つまり…。
あなたが構えた銃を銃口の側から両手でこうつかまない限りこんな火薬残渣は付着しないんです!もし彼が抵抗するために両手であなたの手を…。
やめろ!やめてくれ!俺は逃げようって言ったんだ!…逃げる?あんたもう麻取だってバレてる。
俺を逃がしたらお前が協力者だってバレるぞ。
だから俺も逃げるんだよ!見張りが俺の番になったんだ。
なあチャンスだ!今なら2人とも逃げられる。
ダメだ!一斉摘発までもうすぐなんだ。
その前にあんた殺されるぞ!俺だっていつバレるんじゃないかって…。
もう耐えられないんだ。
そうだな…ああチャンスかもしれない。
そうだ。
逃げるぞここから。
後藤…俺を撃て。
…はあ?俺が下手な動きをしたら撃っていい…そう言われてるだろ。
お前が俺を撃てば誰もお前が協力者だとは…。
何言ってんだよ!1年…!1年だ。
何十人もの仲間が1年かけて内偵したんだ。
それが俺のミスで全部無駄になる。
そんなバカな事はさせない。
後藤…俺を撃て。
そして伝えろ。
おいバカ!離せ!おい!絶対に伝えろ!計画どおり着手しろと。
(後藤)やめろ!バカ離せ!お前は逃がしてもらえる。
悪いようにはされない。
いや頼む!やめてくれ。
なあ!
(鎌田)そうしたらまた誰かの協力者になれ。
おい離せよ…!
(銃声)
(鎌田)あっ…ああ…。
ああ…!
(後藤の声)もうたくさんだ!もう勘弁してくれよ!出所したらまたあんたらの協力者になるから!なあ頼むよ!俺をただの売人として送検してくれ…!なあ頼むよ。
頼むよ…。
(嗚咽)撃たれた鎌田さんの血痕は掃除されたようですね。
しかし鑑識が入ればすぐに見つかるはずです。
見つけてどうする気ですか?もちろん後藤の容疑を裏付けます。
後藤の容疑は薬物と銃刀法違反と過失致死です。
いいえ違います。
後藤もその罪状で納得している。
罪は納得したかどうかで決まるものではありません。
杉下警部奴の供述どおりなら鎌田さんは自殺です。
鎌田さんに要求され銃を構えた可能性は残ります。
そうだとしても…。
だとしたら自殺ほう助です。
よって警察は最低でも自殺ほう助で送検しその後の判断を検察に任せあとは裁判によって…。
それでは鎌田の死が無駄になる!僕はそうは思いません。
そもそも捜査官に命を絶たせるような捜査は間違っています。
それでも…私は鎌田を誇りに思う。
本心でそうおっしゃっていますか?胸を張ってそう言えますか?胸を張って言えるはずがないじゃないですか。
それでも私は私の部下鎌田が命を懸けて守ろうとしたものは絶対に守る。
薬物の売買をしていた後藤が銃の暴発で仲間の鎌田を撃った。
それが私の真実だ!警察には約束どおりの容疑で送検してもらう。
伊丹さん鑑識に連絡してここを調べさせてください。

(角田)あなたを連行します。
(外国語)日本語わかりますよ。
あっ…手伝ってくださいよ送検作業。
三浦さんは?追加の取り調べです。
後藤の。
追加の逮捕状です。
…後藤の。
(伊丹)業務上過失致死…。
(芹沢)ええ丸く収めるための令状です。
納得いきませんか?わからん。
だがあんな事をした鎌田の気持ちこうせざるを得ない五月女の気持ちは…わかる気がする。

(三浦)失礼します。
米沢に連絡したそうですね現場を調べろと。
後藤の発砲容疑に関する現場鑑識は我々が依頼しますので心配は無用です。
一応ご忠告まで。
映像が消されていました。
は?麻取が協力者に薬物を提出させていた証拠映像です。
消したのは神戸君でしょうが何か聞いていませんか?後藤の追加の供述です。
「私が弾を入れた弾倉を拳銃に込めている最中鎌田健作がふざけて銃を奪い取ろうとして暴発…」。
よって鎌田さんの着衣の両袖の火薬残渣は自殺の証拠にも自殺ほう助の証拠にもなりません。
ふざけて銃を奪い取ろうとして的確に心臓が撃ち抜かれますか?そういう不幸な偶然もあります。
そんな調書を作るようにどなたかに入れ知恵されましたか。
いいえ警部殿。
私もね自殺じゃなく暴発事故にしてやりたい…そう思ったんですよ。
失礼します。

(宮部たまき)いらっしゃい。
お疲れさまでした。
右京さんはいつものでよろしいですか?お願いします。
すみませんでした。
なんの事でしょう?ですが僕は自分のした事を間違ってるとは思ってません。
君のした事をとやかく言うつもりはありません。
ですが罪を取り換えて償う事など決してできない。
僕は今でもそう思っています。
2014/06/20(金) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season9[再][解][字]

「暴発」

詳細情報
◇出演者
水谷豊、及川光博 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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