5グレーテルのかまど「南極観測隊のソフトクリーム」 2014.06.20

ジメジメした蒸し暑さを吹き飛ばすような真っ白い大地南極。
息も凍りつく冷たい世界です。
立つ事さえ困難な風雪が吹き荒れる中仕事をする人々がいます。
過酷な環境で働く隊員たちに愛されるスイーツがひんやりと甘いソフトクリームなんです。
その人気はご覧のとおり。
なぜ寒い南極でソフトクリームが愛されているのか?今夜は冷たいソフトクリームと隊員たちの心温まる南極物語です。
光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末裔が暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
ああ〜!蒸し暑い!暑いよ〜かまど!どうにかしてこの蒸し暑さ!ええ?暑い?夏はこれからなんですよ!かまどにしたらもう寒いわ。
いやだってかまどはいつも燃えたぎってるからいいけどさこのジメジメは耐えられないよ〜!姉ちゃんもこんな事言ってるよ。
え?それならね世界で一番の寒さを感じて頂きましょう。
そんな事できる訳…。
オ〜イエ〜!…ああっ!急に寒くなったけど何か気持ちがよかったな。
気持ちよかった?今のはねすごい寒い所へ行ったの一瞬ね。
そこで一生懸命働いている人たちがいるんですよ。
その人たちがすごく愛しているひんやりとしたおいしいスイーツがあるんです!だって寒い所でひんやりって…。
そういう事ですよ。
見て下さい。
寒い所でひんやり?どういう事?…という事で今宵ひもとくのは南極観測隊のソフトクリーム。
1957年の昭和基地開設から始まった日本の南極観測。
今も50名前後の隊員が派遣されています。
昭和基地を中心に最長1年2か月もの間共同生活。
地質や気象などの環境変化や動物たちの生態調査を行っています。
そして食事や医療など各分野のエキスパートも活動しています。
しかしそこは地球上屈指の過酷な環境。
昭和基地周辺は気温マイナス45度風速は55mと猛烈な台風並みになる事も。
この厳しい環境で働く隊員たちになくてはならないスイーツがあるんです。
それがなんとひんやり甘いソフトクリーム。
これは2014年2月に昭和基地で撮影された映像です。
隊員たちが集まるその先にあるのがソフトクリームです。
行列が出来るほどの人気。
夢中になり過ぎてヒゲにソフトクリームをつけながら食べる人まで。
撮影したのは植田勲さんです。
自分で盛るのでソフトクリーム機から。
大量に取れたとか高さを競っている人は結構いましたね。
ソフトクリームは楽しみの一つだと思います。
月に数回開かれるソフトクリームの日は隊員の誰にとっても楽しいイベントでお祭り騒ぎになるとか。
ソフトクリームは牛乳に卵と砂糖を混ぜやわらかく凍らせたおなじみのスイーツ。
渦巻き状に盛り上がった独特なフォルム。
ひんやりと優しい甘さのクリームが口の中で滑らかに溶けていく。
それがソフトクリームのおいしさです。
そんなソフトクリームが実は隊員たちの健康を支える役割も担っていました。
カルシウム補給と水分補給です。
これは観測隊員のカルシウム不足を指摘する資料で昭和基地の1年間の食事と栄養素を分析した論文です。
隊員が食事で摂取している栄養素のうち最も不足しているのがカルシウム。
栄養所要量の7割にとどまっています。
ソフトクリームは1本で一日に必要なカルシウムの3/3を摂取できるという隠れた栄養源でした。
更に南極の湿度は砂漠と同じ25%程度。
とても乾燥しています。
一方基地の内部はおよそ20度に温度管理されているためTシャツで過ごせるほど暖かくとにかく喉が渇くんだとか。
そんな隊員たちの喉の渇きをひんやりと潤すのにソフトクリームがぴったり!南極で食べるソフトクリーム。
それは単なるスイーツではなく隊員たちの過酷な任務を支えるものでもあったのです。
寒い南極だけど基地の中はすごい暖かいのね。
だからねソフトクリームのこうペロッと食べれて口の中でひんやり溶ける感じがたまらないんじゃない?ソフトクリームの…何?もう一回やって。
ソフトクリームのペロッと食べれる…。
フフフフフフ!今日はね手作りしようと思ってる訳。
機械を使わずに。
えっ!?すごいでしょ?かまど特製です。
家庭でできるソフトクリーム教えちゃいます!よしやろう!かまど!やりましょう。
よし!じゃあ作っていきましょうか。
味わいのキメテまずどうぞ!はい!このジメジメした蒸し暑さを吹っ飛ばすような味を目指します。
よっしゃ!あのね栄養満点なのいきますよ。
しかもシャキッとします。
ほうほう。
すごい贅沢なソフトクリームを作るわよ!OK!じゃあまずそこに牛乳と生クリームあるでしょ?それを鍋に入れてほしいんだね。
OK!すごく風味がよくなるからねこの牛乳と生クリームで。
沸騰しない程度に温めたいので…。
分かりました。
中火ぐらいですね。
中火ぐらい。
はい。
その様子を見ながら横でやってほしいんです。
分かりました。
そしたらオキテどうぞ。
アガー?まあ寒天なんかと同じ固める食材なんだけど緩く固まるのが特徴なのでアガーを使います。
製菓材料店にも売ってるしなかったらうちによくあるゼラチンでも大丈夫という。
素早く!氷水当てながらどんどん…。
これ混ぜながらって事だよね?素早く。
はいはい。
一秒でも早く冷やして下さい。
温かい状態が少しでも長くなると新鮮さが保てません!新鮮さかあ。
そうそう。
だいぶ冷えてきたでしょ?だいぶ冷えてきたと思うんだけどな〜。
手にちょっとたらしてみてひやっとしたら大体5度くらいなんだけど…。
あっ!どう?ひんやりしますよ。
しました?それで冷凍庫に入れてしまいましょう。
よし。
固まってきてるんじゃないの?固まってきてる?うん。
固まってきたらもう一回泡立て器でちょっと混ぜる。
あっほらほらほらほら!ちょっと凍ってるね。
それね滑らかなソフトクリームにするためにはこの作業をちょっと凍ったやつを混ぜるっていうのを何回か繰り返さないといけないのよ。
あっそうなの?じゃあこれまだまだって事だね。
そうよ。
何回かやるのよ。
お〜?どうですか〜?どうでしょう?フフフ!何そのぎこちないの。
出来てるんじゃない?これ!どうよ?おっ!もう回らないもんね。
相当力を加えなきゃ。
いいでしょう。
これかき混ぜてると泡立て器の筋が…残ってますね?残ってますね。
そういう固さが…。
OKですか?いいです完璧です。
はい。
完成です!町なかや行楽地などで気軽に楽しめるソフトクリーム。
一体どんなところが魅力なのかしら?みんなを笑顔にさせるソフトクリームが日本で食べられるようになったのは1951年。
アメリカから持ち込まれたソフトクリーム製造機によって日本でも普及し始めます。
ソフトクリームが一躍ポピュラーなものになったきっかけは…半年の会期中6,000万人が詰めかけたという会場には国産のソフトクリーム製造機が200台設置されソフトクリームを食べながらパビリオンを回る事に人々は夢中になりました。
これをきっかけに元祖食べ歩きのスイーツとして不動の地位に。
流行のスイーツとなったソフトクリームが南極に持ち込まれたのは1972年。
その記録が当時の積み荷リストに残っています。
ソフトクリームを南極に持ち込もうと考えたのは調理担当として観測隊員となった根本信隆さんです。
昭和基地の独特の…何て言うんですかね非常に閉じ込められた生活の空間が狭いですからねその中でやっぱりみんなに何か喜んでもらえるものという事でソフトクリームを持っていきました。
当時の昭和基地内は今よりも狭く当然インターネットもありません。
家族との連絡手段は電報のみでした。
特に太陽が顔を出さない冬の間は一日中暗く隊員たちには閉塞感が生まれ娯楽は重要な要素でした。
そんな基地内の重たい空気を打ち破る力がソフトクリームにはありました。
食事が終わって「今からソフトクリームを始めますよ」と言ったら「おお〜!」というような歓声のもとにですね「じゃあ一応並んでお願いします」って言ったら本当に小学生が陣を取るような感じで並んでみんな喜んでやってましたね。
それは忘れられないですね。
食べて「おいしいおいしい!」っていうあの笑顔がねほんと子どもが食べて本当に喜んでいるような顔でしたね。
それは今も変わりません。
みんなカメラをパシパシ撮ってそんなに撮るほどのものじゃないと思うんですよ普通は。
みんなで同じ事をやって楽しむっていう事とか伝統になっているというのがあると思いますし間違いなく特別な存在かなと思いますね。
今なおソフトクリームは隊員たちのチームワークを円滑にし大切な任務を果たすために欠かせないスイーツでした。
ソフトクリームほんと何であんなに幸せになるのかな?あのグルグル巻きを最初食べ始めるじゃない?だけど早く食べなきゃ溶けるからペロペロしてるうちにあの…練った味噌みたいになるの分かる?練った味噌ね。
練った味噌みたいになって「ああもうこのソフトクリームともお別れだな。
さみしいな」と思い始めるじゃない?そしたらコーンに行き着く訳よ。
そうだよ。
これがすてきな流れなんです。
ソフトクリームの食べ方の。
僕はコーンと一緒に食べるのがやっぱり好きだな。
そうですか。
コーン好き?あのカリカリの食感と一緒にね。
じゃあもうコーンも手作りでやっちゃうよ!OK!はい行って!やりましょう!キッチンに行って!ではねスペシャルにいきます。
スペシャル?ビスケットのコーンでございます。
贅沢だね!贅沢でしょ?やろうかまど!まずは?ボウルにバターがありますね。
あっ!焼けたみたいかまど!焼けたね。
じゃあここでオキテお願いします。
はい!また熱いやつか〜…。
あのね冷めちゃうとコーン巻けなくなるから。
分かりました。
はい頑張って下さい。
もうササッとやってもらわないといけないので。
そこに円錐の型があります。
円錐の型ありますよ。
それ使ってクルクルっと巻いちゃって。
よし。
はい!これで…。
ちょっと押しつけて巻くって感じ。
(割れる音)全然駄目だね。
早く!ハハハハハハ!遅かったんだよ。
早っ!固まるの。
・「遅かったんだよ〜」遅かった。
駄目!やり直し!早いぜ…。
ハハハハハハ!いくよかまど!早く早く早く!10秒ぐらいで固まっちゃうから。
いったいったいった!来た来た来た!固まってたら…。
ほれ見てみ?来たぜ〜!できたでしょ?きれいきれい。
だけどさ…。
うん?いやいやのぞくためにないから。
これ穴が開いてるんですけどどうしますか?どうしちゃう?そこにいいのがあるでしょ。
カステラじゃないですか!そうですよもう。
詰めてる段階で割らないでね!本当に気を付けて。
いいんじゃない?できた?コーン完成です!出てきた出てきた出てきた。
(一同)おお〜!結構速いよね。
速い速い速い。
こちらの皆さんは1997年に派遣された元南極観測隊の同僚です。
調理担当だった西村淳さんと鈴木博之さん。
ジャーナリストとして派遣された芹澤伸生さんです。
ソフトクリームの思い出を語ってもらうために集まってもらいました。
乾杯。
乾杯。
乾杯。
南極ではソフトクリームは特別な娯楽でもありました。
アイデアを出し合いいろんな味にアレンジして楽しんでいたそうです。
西村さんの食材を無駄にしたくないという思いが贅沢ないちごソフトクリームを生み出しました。
ほかにもたっぷりのはちみつをかけたものや納豆ソフトクリームまで実にさまざまです。
中でも忘れられない味があります。
西村さんがみんなを驚かそうと抹茶ソフトクリームにあるものを加えたんだとか。
うまい訳ないじゃん。
ソフトクリームが生み出すみんなの笑顔。
意表をつく組み合わせがまた仲間との絆を深める大事なひとときでした。
あのカレー風味の抹茶ソフトクリームにはちょっと驚いたね。
後でね作りますよ。
おっ作る?そう来なくっちゃ。
かまど。
フフフフ。
そのためにはまず基本のソフトクリームそれ作らないとね。
そうだね。
はい。
じゃあ仕上げにいきますよ。
あのソフトクリームってさ渦巻きを高くやらないとらしくないでしょ?そうよ。
どうしたらいいの?あの機械はないようちには。
ないよ。
どうするの?冷凍庫から出してきて。
家で作る機械どう?あれ〜?ちょっとうれしそうな顔した。
何?このしぼり袋は!それで作れちゃうのよこれが。
これで作っちゃう?ぐっとしぼる時に左手も一緒に緊張して割らないようにね。
ちょっとちょっとやめて。
そういうミスありますからよく。
お〜!これ巻くのすごい楽しいぞ!コーンに近づけて押し込むようにして盛る。
全然短いでしょそれ。
でも…。
あっでもきれいね。
完璧じゃないの?これ!ひっくいけどね。
フフフ…声裏返っちゃったね。
「ひっくいけど」。
もう我慢できないからね頂きますしちゃいますよ。
そのちっちゃい所食べたな〜。
ああコクがありますねやっぱり。
甘くておいしい!それだけですぐコーンでしょ?もうすぐコーン。
コーン好きだからやっぱり!ああ言えばこう言う。
ああ言えばコーン言う…。
あっいいシャレ!ああ言えばコーン言う…。
あれ?おいしい!すごいおいしそう!サクサクしててこれ食感も一緒に楽しめますよ。
あっ!ところでかまど!うん?あの隊員の人たちの話にあった抹茶カレー味は一体どうするの?あのね別々に作りたいの。
うんうんうん。
そうだね。
「うんうんうん」って。
はいじゃあ作りましょうか。
オキテどうぞ!はい!その牛乳と生クリームが入った鍋になんとカレー粉だけじゃなくて…。
だけじゃない?塩とこしょうも一緒に入れます。
ええ!?これかまどの名案です!ああスパイシー!スパイシー?いい香りする?カレーを入れてね塩こしょう。
これすごくないですか?やっぱりカレーの香りが強いね。
さっきのビスケットの生地でカレーの器を作ってみたのよ。
それに盛った方がカレー気分も盛り上がるでしょ。
さすがだねかまどは!期待してます。
いきますよ。
クルクル期待してますよ。
さあさあさあさあさてさてさてさて!ほら!低っ!かわいい!これ!またもや低っ!あっ!スパイシーな香りもしますよ。
カレーな匂いはしてくる。
雰囲気が。
(チャイム)あっ姉ちゃん帰ってきた!カレーには見えてこない。
姉ちゃんお帰り!今日はねひんやりスイーツ用意しておいたよ!こしょうと塩をピリッと利かせたスパイシーなカレーソフトクリーム。
コーンもビスケット生地で焼き上げサックサクのミルクソフトクリーム。
一口頬張ればひんやりシャキッとできちゃうソフトクリーム。
さあ召し上がれ。
2009年に環境観測のため隊員となった…津和さんにとってもソフトクリームは日本で食べるのとは一味も二味も違う特別なスイーツだったといいます。
平たいお皿に食事が終わったあととかに端っこにソフトクリームを載せてそれにちょっとフルーツとかをトッピングしてカフェーに来た気分を味わってたっていう。
味はもちろん見た目もキュートなパフェ風のソフトクリームは津和さんにとって元気の源。
津和さんはそんな元気を分けてあげたいと夜勤で観測を続けていたほかの隊員にパフェ風ソフトクリームを差し入れたそうです。
それを受け取った隊員は大喜び!今日せっかくみんなで食べる機会だったのに仕事で来れないっていうのはやっぱり残念だなっていうのでまあちょっとサプライズにもなるかなって思って「夜勤頑張ってね」っていう意味で差し入れをしたという。
時代や環境が変わってもソフトクリームが深める隊員たちの絆。
南極ではそんなホットで冷た〜いスイーツがみんなの元気を支えていたのです。
今日の「グレーテルのかまど」いかがでしたか?世界一寒い南極でソフトクリームが愛されている事に驚きました。
仲間と南極で食べるソフトクリームの味は観測隊の皆さんにとって格別だったんではないでしょうか。
ああ僕も南極でソフトクリーム食べてみたいな〜。
ではまたこのキッチンでお目にかかりましょう。
ではちょっと失礼して。
頂きます!じゃあまずカレーからいっちゃおうかなかまど!どうぞ!いっちゃって。
おお!お〜!フフフ!衝撃でしょうよ。
口の中でスッと溶ける感じはいつもと違うけどまさにこれカレーです!いい感じのスパイシーさが。
すごいでしょ?それ。
え〜!新感覚!甘じょっぱソフト!すご〜!フフフフ!おいしい!おいしい!アハハハハ!2014/06/20(金) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまど「南極観測隊のソフトクリーム」[字][デ]

極寒の過酷な気象条件の南極で食べたくなるスイーツがある。甘くて白くて渦をまいたもの、そうソフトクリームだ!観測隊員たちの極地での暮らしに欠かせない味に迫る。

詳細情報
番組内容
氷点下45℃、湿度25%。地球上で最も過酷な環境の一つである南極で、地球上の地質などの調査研究を行っているのが南極地域観測隊の隊員たちだ。極寒の土地での暮らしに欠かせないのがソフトクリーム。基地内の閉ざされた空間の閉塞感を払拭し、隊員たちの心を明るくする存在であり、水分やカルシウム補給にも有効だという優れもの。南極での暮らしに欠かせないソフトクリームの魅力を隊員たちの証言を通して伝える。
出演者
【出演】瀬戸康史,【語り】キムラ緑子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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