R指宿枕崎線で、線路沿いの斜面の土砂が崩れ、観光列車が土砂に乗り上げて脱線したということです。
(荒木)信長〜!信長に反旗を翻し籠城していた村重が逃亡した。
有岡城に1年にわたって幽閉されていた官兵衛が秀吉の軍師としてついに帰ってきた。
そして播磨一の要害といわれた三木城での兵糧攻めの総仕上げにかかろうとしていた。
(友之)兄上宮の上の砦が落ちたからには敵が攻め寄せるは間近。
かくなる上は全力で打って出て潔く討ち死にしましょう。
(賀相)諦めるは早い。
まだ手はある。
既に兵糧が尽きております!もはや手だてはありませぬ。
申し上げます。
織田方より使者が参っております。
(長治)使者?
(賀相)久しぶりだな官兵衛。
地獄から舞い戻ったか。
(官兵衛)いかにも。
本日は地獄からの使者として参上つかまつりました。
(重棟)長治。
2年の長きにわたってよくぞ戦った。
されどこれ以上の戦いは無意味。
降伏するのじゃ。
長治様とご一族がお命を差し出せば残る家臣は助けると羽柴様は仰せでございます。
(賀相)長治早まるな!援軍は必ず来る。
それまでこらえるのだ。
毛利は動かぬ!摂津の有岡城の末路はご承知のはず。
長治様…。
家臣を守るのも城主の務め!その務めを果たさねば荒木一族の二の舞になりまするぞ。
(賀相)皆殺しにすると言うのか?刃向かう者は容赦はせぬ。
それが織田のやり方。
それゆえ…。
地獄からの使者と申したのでございます。
長治様ご決断下され。
このまま無益な戦いを続け将兵ことごとく討ち死にをするか。
それとも残った幾千の家臣を救うか。
二つに…一つでございます。
分かり申した。
もはやこれまで。
羽柴殿に承知したとお伝え下さい。
(テーマ音楽)
(秀吉)そうか!承知したか!ハハハハハハハハハハハ。
つきましては城内に酒肴をお贈り下さるのがよろしゅうございます。
(蜂須賀)酒と肴?播磨において織田の評判は決してよくありませぬ。
(蜂須賀)おい言葉が過ぎるぞ!小六構わん。
城兵を救った上酒肴を贈る事で我らの恩情を世間に知らしめるのでございます。
さすればお味方の評判も上がり今後播磨を治めるにあたって何事もやりやすくなるに相違ございませぬ。
(秀吉)さすがは官兵衛じゃ。
早速手配せよ。
はっ。
(ため息)官兵衛は何やら変わったのではあるまいか?
(小一郎)ああ。
以前にも増してよう切れる。
怖いくらいじゃ。
(蜂須賀)あれだけの目に遭うたのじゃ。
変わるなと言う方が無理かとは思うが…。
案ずる事はない。
わしもすぐ参る。
天正8年1月。
別所長治をはじめとする一族は自害し三木城は開城した。
秀吉は約束どおり城兵の命を助けおよそ2年にわたる三木城攻めが終わった。
(秀吉)長かったな。
はい。
長治の一族には気の毒な事であった。
有岡に比べればよほどまし…。
残るは小寺でございます。
(休夢)逃げてきた?
(小河)御着はもうおしまいじゃ。
逃げる者が後を絶たぬ。
織田の影におびえるばかりで兵を出すのか籠城するのか何も決められぬ殿に皆見切りをつけておるのだ。
わしも長きにわたって仕えてきたがもはや…。
職隆殿頼れるのは長いつきあいのお主だけでござる。
わしはどうなってもよい。
がせめてこの信章だけでもなんとか召し抱えて下さらぬか?黒田家の御ため身を捨てて働く所存。
何とぞ!
(政職)三木城が?
(江田)ご城主長治殿をはじめ別所一族は全てご自害。
引き換えに家臣たちの命は救われたそうにございます。
(江田)殿も…ご覚悟を!何を…。
わしに腹を切れと言うのか!?代々目をかけてやった恩を忘れたか!ああ?わしは腹など切らんぞ!
(ため息)腹を切ると仰せであれば斎様だけはご助命をと黒田に掛け合うつもりでございましたがもはや愛想が尽きました。
これにておいとまを頂戴つかまつる。
江田!待て!江田…。
裏切るか。
何だ!江田!裏切るか!今までよくぞこのような主君に仕えてきたものよ。
あ〜っ!生涯の不覚であった。
待て江田!裏切り者!待て!江田!
(斎)父上!おけがは?斎…。
わしが…わしが間違ったか?お紺が…。
お紺があれほど言うたのにか…官兵衛を裏切ったばかりに。
(斎)これからいかがなさいましょう?逃げる。
はい。
金めの物をかき集めるのじゃ!小寺政職はその日のうちに御着城から姿を消した。
混迷を極めた播磨の争乱はついに幕を下ろした。
そのころ信長は村重から奪った有岡城で戦勝祝の宴を催していた。
(お濃)何故このような気味の悪い所でわざわざ宴をなされます?この城には荒木一族の怨念が満ち満ちております。
(信長)一族を肴に酒を飲むならばこの城に限る。
わしに恨みを持つ化け物が出るなら会うてみたい。
村重の生き霊が現れればなおよい。
(お濃)たそがれ時にはこの世ならぬ魔物が姿を現すと申します…。
あっ。
フフフフ。
(お濃)いかがなされました?一介の牢人であった村重を摂津の主に取り立ててやったのはこのわしだ。
何故裏切った?
(信長)どこへ逃げても必ず捜し出しお主の首をはねてやる。
えいっ!えいっ!えいっ!えいっ!えいっ!
(光)殿…。
いかがなされたのです?こんな夜中に…。
ハァハァ…。
眠れぬのですか?ああ…。
また土牢の夢を?戦場へ戻られるのが早すぎたのでは?私がせかしたばかりに…。
申し訳ありませぬ。
秀吉様にお願いをしていま少し休まれた方が…。
そのような暇はない。
軍師はわし一人。
半兵衛殿に後を託されたのだ!・
(善助)殿!殿!御着の小寺政職殿を捕らえました。
(政職)縄を解け!早う解けと言うに!わしは小寺政職ではない!そのような男は知らん!早う解け!無礼ではないか!
(太兵衛)黙れ!この期に及んで何を言うか!
(九郎右衛門)毛利領へ逃れようとしているところを捕らえました。
(政職)お〜職隆!縄がきつくてかなわん!早う解いてくれ。
仮にもわしはおことの主君じゃぞ。
(職隆)その主君に我が黒田家は見捨てられたのでございます。
官兵衛はあなたにたばかられ危うく命を落とすところでござった。
あれは何かの行き違いじゃ。
わしはたばかったつもりはない。
(太兵衛)殿が1年も牢に入れられていたのは誰のせいか!違う!村重が悪いのじゃ。
村重が勝手にやった事。
わしは何も知らんのじゃ。
職隆おこととは古いつきあいではないか。
そのような事関わりない!ん?官兵衛はそれがしの大事な息子。
それをあなたは…。
(政職)職隆…後生じゃ。
見逃してくれ!わしは何にも…何にも悪い事しとらんのじゃ。
(職隆)何故…何故官兵衛を!父上!
(政職)官兵衛…。
堪忍してくれ。
わしが悪かった。
おことをそのような姿にするつもりはなかったのじゃ。
全ては小河や江田に唆されての事。
わしの本意じゃなかったのじゃ。
官兵衛。
殿…。
私は16の時より殿に仕え実の息子同然に思われていると信じておりました。
官兵衛…そうじゃ官兵衛。
おことはわしの息子じゃ。
今もそう思っておる。
わしはなおことを息子じゃと思うておる!縄を解いてさしあげよ。
はっ。
殿と2人で話がしたい。
皆下がれ。
(一同)はっ。
(斎)官兵衛官兵衛!父上を…父上を助けてくれ!官兵衛!官兵衛!父上…。
武士らしく腹を召されよ。
(泣き声)できぬ!嫌じゃ!嫌じゃ!嫌じゃ!官兵衛…。
許してくれ…許してくれ。
できぬ…わしにはできぬ。
官兵衛!堪忍してくれ官兵衛…官兵衛!かくなる上は…。
致し方ございませぬ。
(政職)官兵衛許してくれ…。
官兵衛!官兵衛頼む…堪忍してくれ官兵衛。
城主としての務めを果たされよ。
官兵衛…許してくれ官兵衛!殿!
(斎)職隆殿!父上を…父上を助けて下さい。
頼む!
(政職)官兵衛!あ〜!小寺…。
覚悟!あ〜っ!ハァハァハァ。
ハァ…ハァ…。
ハァハァハ〜。
ハァハァ…。
ハ〜。
官兵衛…。
助けてくれるのか…。
官兵衛…。
すまぬ…。
すまぬ…官兵衛…。
(泣き声)助けてくれるのか?あ…あ…。
官兵衛…。
すまぬ…。
斎…斎!斎!
(斎)父上!
(斎の泣き声)小寺政職を捕らえておきながら逃がしてしまいました。
(秀吉)よいよい。
政職は家臣はもとより領民からも愛想を尽かされておったそうではないか。
そのような者をどこに逃がそうと構わん。
もっともそれでお主の気が済めばの話じゃがな。
斬ろうとはしました…。
しかし…斬れませなんだ。
何故斬れなかった?それがしの…甘さでございます。
秀吉様…申し訳ございませぬ。
秀吉様の軍師として至らぬ点ばかり。
このままでは…半兵衛殿の代わりは務まりませぬ。
ハハハハハハハ…。
それでよいのじゃ。
憎い仇を斬らずして逃がす。
それでこそ官兵衛じゃ。
少し気負っていたのではないか?死んだ半兵衛の分まで働かねばならんと。
官兵衛は官兵衛じゃ!ハハハハハハハ…。
そういう男だからこそわしは官兵衛が好きなんじゃ。
そういう男だからこそわしは官兵衛を信用できるんじゃ。
ハハハハハハハ…。
やっと笑ったな。
もっともっと笑え!もっと悩んでもっと怒って思いっきり笑え!ハハハハハハハ…。
播磨の主となった秀吉のために官兵衛は姫路城を造り替える事にした。
小寺の殿をお逃がしになったそうですね。
ああ。
安心致しました。
我が殿は我が殿。
何だそれは?父上に頂きました。
これを肴に今宵は飲もうと仰せでございます。
そうか。
分かったと伝えてくれ。
はい。
光。
その鯛…。
光…鯛はどうした?それが…。
あのような立派な鯛酒の肴にしてはもったいのうございます。
それゆえ身はみそ漬けにして取って置くように申しつけました。
骨は吸い物に使います。
誠に殿はけちでございます。
けちではない。
倹約じゃ。
酒のつまみなどこれで十分。
フフフフフフフ…。
相変わらずじゃのう。
ん?光。
はい。
殿はやはり殿でございます。
せめてだしをとった骨の周りをつまみに…。
駄目です。
筋金入りのけちじゃ!
(笑い声)さようでございます。
(職隆)脂の乗った生きのいい豆じゃ。
(笑い声)このころ信長は正親町天皇の仲介により本願寺との和睦を図っていた。
佐久間信盛の交渉により10年にわたる戦いは終わりを告げた。
こたびは皆よく働いた。
(一同)はっ。
(信長)光秀。
(光秀)はっ。
丹波での働き目覚ましいものである。
天下に面目を施したな。
褒めてつかわす。
(光秀)ありがたきお言葉。
(信長)秀吉。
はっ!播磨および但馬伯耆での働き比類ないものである。
今後とも励め。
ありがたき幸せ!
(信長)勝家。
(勝家)はっ!
(信長)越前一国にあぐらをかかず加賀を平らげた事あっぱれであった。
(勝家)ははっ!
(信長)信盛。
(信盛)ははっ!そちにはわし自ら覚書をしたためた。
(信盛)ははっ。
前へ。
(信長)蘭丸読め。
(蘭丸)はっ。
(蘭丸)「一つ佐久間信盛はこの5年本願寺を囲んでおきながら格別の武功を全くあげておらぬ」。
(蘭丸)「一つ武士らしく戦う事をせず調略もせずひたすら寺を囲むだけというのは分別もなく未練がましい事である。
一つ30年も奉公している間に比類なき働きをしたと称される事はただの一度もない」。
お待ち下さい!
(蘭丸)控えなされ!
(蘭丸)「一つこの上はどこかの敵を平らげ恥をそそいでその後に帰参するかまたは敵と戦って討ち死にするしかない。
一つ信盛は髪を剃り高野山に隠居しこの先幾年も許しを乞うべきである」。
そちは天正元年朝倉攻めの折わしに口答えをした。
よもや忘れてはおるまい!7年も前の事を…。
使い物にならぬ道具を置いておく場所はない。
今すぐ立ち去れ!
(信長)光秀。
(光秀)はっ。
信盛の兵はそちの配下とせよ。
はっ。
今日は…蒸すのう。
(セミの声)
(秀吉)これで明智殿が一番出世じゃ。
悔しいのう。
(おね)今になって考えると秀勝を養子に頂いておいてようございましたな。
ん?回想秀勝!息災であったか?父上お帰りなさいませ。
(おね)この羽柴家の嫡男は上様のお子。
上様がお前様に与えた領地はいずれ織田家に返っていくようなもの。
さすれば上様もお前様の領地だけは取り上げようとはなさいますまい。
さすがおねじゃ!おね。
はい。
お前は天下一の女房じゃ!
(笑い声)さあ来い!ちょっと…やめて下さい!ここに来い!かような場所でおやめ下さい。
一度やってみたかったんじゃ。
わっ!おっ!ハッハハハハハハ…。
身が引き締まるのう!
(笑い声)お前様お前様!何じゃ?これからは秀勝をより大事に育てこの我が羽柴家を盤石なものにしてゆかねばなりませぬ。
おねの言うとおりじゃ。
明智殿には負けてはおられん!その意気でございます。
(笑い声)
(秀吉)「揖西郡1,800石坂上村800石東村400石都合5,300石を遣わすものなり」。
(家臣)はっ。
(秀吉)黒田官兵衛孝高。
はっ。
(秀吉)「福井庄6,200石石見庄2,700石伊勢村上下1,100石都合1万石を遣わすものなり」。
はっ。
官兵衛これでお主も大名じゃ。
ありがたき幸せ。
なお一層励みまする。
(秀吉)ん。
おめでとうございます。
(一同)おめでとうございます!
(職隆)ついに大名か…。
目薬を売って糊口をしのいでいた黒田家が1万石の大名になるとは。
(休夢)父上がご存命であったならばさぞや喜ばれたであろうな…。
(兵庫助)叔父上は泣き虫でございますな。
父上の代わりに泣いておるのじゃ。
文句があるか!
(笑い声)光。
はい。
藤の花か?はい。
この藤を黒田家の新たな紋所として定めようと存じまする。
何故藤の花じゃ?それがし1年にわたり有岡城の土牢に幽閉をされておりました。
日も当たらぬじめじめとした牢の中で松寿も死んだと聞かされ生きる望みを失いかけておりました。
その時牢の中から見えたのがこの藤の花。
藤の花を見るとあの時のつらい思いが今でもよみがえる。
それと同時に生きようという思いもわいてくる。
善助。
はっ。
九郎右衛門。
はっ。
太兵衛。
はっ。
わしは牢の中で…。
お主たちが来てくれる事を信じて待っておった。
だからこの命をつなぎ止めおく事ができたのだ。
感謝しておる。
生きようと思った…。
必ず生きて帰ろうと…。
我らは多くの死を見てきた。
身内…家臣…そして恩人…。
死があればこそ命は重くそして尊い。
黒田の者は皆命の重みをかみしめ共に力強く生き抜いていくのだ。
その思いをこの家紋に込める。
(家臣一同)はっ!
(兼和)帝はそなたをあてにしておられる。
帝…?
(宗治)黒田官兵衛がついております。
恐ろしかったのだ上様が。
黒田長政。
(お倫)胸が張り裂けそうに…。
ややこができたようで…。
美しい…。
美しすぎまする。
(宇喜多)信長は危うい。
国府山城は官兵衛の父職隆が築いたとされる城です
官兵衛は播磨を平定した秀吉に姫路城を譲りこの城に移り住んだといわれています
天正8年には秀吉から領地1万石を与えられ晴れて大名となりました。
官兵衛は新たに黒田家の旗を制定すると歴代の姫路城主が信仰した播磨国総社に参詣。
職隆と共に7日にわたって祈とうを受けたと伝わっています
秀吉に忠義と功績を認められた官兵衛は軍師として更にまい進するのです
2014/06/21(土) 13:05〜13:50
NHK総合1・神戸
軍師官兵衛(24)「帰ってきた軍師」[解][字][デ][再]
軍師として復帰した官兵衛(岡田准一)の人が変わったような冷徹さに秀吉(竹中直人)は驚く。そんな中、裏切って逃げた小寺政職(片岡鶴太郎)が捕まり対面した官兵衛は…
詳細情報
番組内容
播磨の反織田勢力は勢いを失い、残るは御着城の小寺政職(片岡鶴太郎)と三木城の別所氏のみとなった。官兵衛(岡田准一)は見事に三木城を開城させるが、その人が変わったような冷徹さに秀吉(竹中直人)ら周囲は驚く。一方、政職は城を放棄し逃げ出すが、善助(濱田岳)ら黒田家家臣に捕えられる。かつて己を裏切り幽閉へと追い込んだ張本人・政職に怒りをあらわにする黒田家の家臣達。そこに現れた官兵衛が下した意外な裁きとは
出演者
【出演】岡田准一,中谷美紀,内田有紀,春風亭小朝,桐谷美玲,濱田岳,速水もこみち,高橋一生,田中圭,勝野洋,近藤芳正,眞島秀和,阿知波悟美,ピエール瀧,嘉島典俊,磯部勉,上杉祥三,隆大介,ベンガルほか
原作・脚本
【作】前川洋一
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:31431(0x7AC7)