土曜ドラマ 55歳からのハローライフ(2)「ペットロス」 2014.06.21

(淑子)どうぞ。
(義田)ああありがとう。
こうして見ると座ってるボビー忠犬ハチ公みたいですね。
ボビーが?駄目ですよ。
あの子はだってすごくわがままなんです。
私が小さい時から甘やかしたせいで自分は人にかわいがってもらって当然と思ってるんじゃないでしょうか。
ハハハハ…。
私が亡くなったらすぐ誰かになついてしまいそうですよ。
それは嫌ですか?え?ハチ公って渋谷周辺で生活をしていたらしいんですけどよくいじめられていたそうです。
それを不憫に思ったある人が亡くした主人を待つ哀れで忠実な犬だといって新聞に投書したらしいんです。
それでものすごく有名になってしまった訳ですけどハチ公にしたらそれで幸福になったとは言えないですよね。
大切な人を亡くしたままですものね。
ほかの新しい飼い主の事を大好きになった方が幸せだったかもしれない。
亡くした人を思い続けるという事はそれは美しい事です。
でも美しい事が幸福につながるとは言えないという事ですね。
私のヨッシーは…義田さんは今日もそんな話をしてくれる
ごちそうさま。
とてもおいしかったです今日のプーアル茶も。
それはよかった。
サリー!
(指笛)
(犬の鳴き声)ボビー!ボビー!
夫婦でもないのに私はこのひとときを不思議に思う。
いや夫婦でないからこそ成立するひとときか。
その時間を美しいと思っていても幸福には結び付かないという事なのだろう。
何しろ家では夫が生きて待っているのだ
足足ほら。
(犬の鳴き声)大丈夫よボビー。
ほら駄目。
はいボビーおいで。
よし。
(幸平)どこ行ってたんだよ?散歩ですけど。
どこまで行ってたんだ?いつもの公園ですけど。
いつまでかかってんだよ?雨の日だから雨宿りもしてたんですよ。
雨なら散歩やめればいいじゃないか。
そうはいかないんですよ。
(鳴き声)ボビー駄目。
だから猫にしろって言ったんだよ。
どうしたんですか?出かけるんだよ。
シャツにアイロンかけてくれよ。
これ。
どこに出かけるんですか?カワダ電気。
ボビー。
いやサリー襲え!
(鳴き声)早く。
分かりました。
あ〜汚れるから犬は部屋に入れとくなよ。
夫の定年退職は私とボビーの幸せに介入してきた。
夫はほとんど一日中部屋に籠もって誰が読むのか分からないブログを書いたりしている。
私はブログなんて書かない。
そのかわりに雨の日には義田さんと散歩を楽しんでいる
どうした?何か嫌な事でもあったのか?別に何でもありません。
だったら何だよ?随分笑ってたじゃないかお前も。
楽しくなかったのか?楽しいに決まってるじゃないですか。
あんなすてきな奥さんと会えたんですから。
そうだよな。
本当にすてきな奥さんだよな。
嫌みが通じない。
それとも嫌みで返されているのか?夫の知り合いのホームパーティーに行った帰りはいつも気がふさいでため息を我慢していると涙が出てくる
周りの空気を変えてしまうって事はさただきれいなだけじゃないと思うんだね。
あれこそ知性っていうんじゃないかな。
何度も言わなくても分かりますよ。
いや〜大盛況で。
石黒さんは夫が広告代理店に勤めていた時のクライアントでアパレルメーカーの経営者。
奥さんはアジア映画で活躍していた元女優だった
いや〜しかし奥様は今日もおきれいですね。
(石黒夫人)ありがとうございます。
でもきれいなのはドレスだけですわ。
そんな事ありませんよ。
奥様がいるだけで周りの空気が変わってしまいますから。
それはねただきれいなだけだからじゃないと思うんですよね。
美に知性が感じられるんですよね。
感じさせるのだけが仕事でしたから。
いや〜ないものは感じません。
(石黒)気を付けろよ。
広告マンの舌は裸の王様を作るためにあるんだから。
ひどいなそれは。
うそなんかつきませんって。
退職してからはね。
まあ。
淑子さんちょっと。
これキャロットドラゴン。
恒例の…。
夫はよくしゃべりよく笑った。
ここでは話題も豊富でもともとはこういう人だったのだと結婚前の遠い記憶が呼び覚まされた
こっちこっち。
(石黒夫人)中国の映画プロデューサーから送られてきたの。
皇帝プーアル茶。
私はさりげなく人に気遣いのできるこの夫人が大好きだ。
プーアル茶を好きになったのも夫人の影響でこのパーティーに行く事は嫌いではなかった。
夫の態度以外は
わあ…甘い。
深くていいお味です。
わあ〜よかった。
これはね一番に淑子さんに召し上がって頂きたかったのよ。
あ〜おいしい。
もう一杯頂いてもいいですか?どうぞどうぞ。
(中国語で「時の流れに身をまかせ」)・「平凡だけど誰かを愛し」
(鼻歌)・「普通の暮らししてたでしょうか」・「時の流れに身をまかせ」・「あなたの色に染められ」・「一度の人生それさえ」・「捨てることもかまわない」
(中国語で)
(拍手)
(鼻歌)いいよな〜。
演歌嫌いじゃなかったんですか?え?私があなたの好きなシャンソンを聴いて「演歌みたいだ」って言ったらすごく怒って「あんな下劣なものと一緒にするな」って言ったじゃないですか。
そんな事言ったか?言いましたよ。
テレサ・テンは演歌じゃないだろ。
そうなんですか。
う〜んあれだろ「夜来香」みたいなもんだ。
向こうの歌なんですか?知らないよそんな事は。
あの奥さんが好きなものは褒めるしかないでしょ。
嫌み言うなよな〜。
通じた
これだから晴れてる日は好きじゃない。
義田さんはかなり有名なデザイナーらしくこの辺の愛犬家に人気があった
ねえちょっと聞いてよヨッシー。
あのバカ亭主また人のパーティーに行って人の奥さんばっかり褒めまくってたのよ。
私は酒を飲んだ時の運転手で家政婦で何か言えば嫌みになるだけの存在なのよ。
元気を出して下さい。
私このままヨッシーについていきたい。
(鳴き声)やあ!
(池田)高巻さん。
何だかボビー元気がないみたいですね。
そうですか?
(池田)本当だ。
何だか苦しそうよ。
きっと寒いんだと思います。
私ちょっと運動させてきます。
ボビー行こう。
ボビー!ボビーほら。
ほらボビー。
あら?ボビーどうしたの?ほらボビー。
ほらどうしたの?遊ぼう遊ぼう。
ボビーボビー。
あら?ボビー。
ボビー少しお部屋で休みなさい。
(鳴き声)お元気出たね。
もっとほえろ。
もっとほえろ。
よしよし。
もっともっと。
(鳴き声)・
(富裕)ああ〜うるさい!ああ〜!え?・
(富裕)ああ!ああ!ああ!・
(凪子)どうしたの?やめてよ!どうしたの?おかしいじゃない!・
(富裕)ああ〜ああ〜!何だ?ボビー。
ボビー駄目。
何なんだ?あの声は。
知りません。
誰だ?あそこの旦那か?そうなんじゃないんですか。
何だって言うんだ?犬がうるさいって言うのか?知りませんよ。
とにかくブラインドを開けないで下さいよ。
ボビーはあなたの事見るとほえるんですから。
俺のせいだっていうのか?誰のせいとかじゃなくて何かあったら怖いでしょう。
全くどんな人間が住んでるか分からんもんだな。
奥さんはいい人でしたよ。
旦那さんとは挨拶ぐらいしかした事ありませんけど感じのいい人でしたよ。
人間は外面だけじゃ分からないもんなんだよ。
落ち着いたら犬は外に出せよ。
汚れるから。
ねえ聞いてよヨッシー。
うちのバカ亭主名言を吐いたのよ。
人は外面だけじゃ分からないもんだって。
分かってたんだ。
自分がどれだけ無神経でいられるかって。
でも確かに人は外側だけじゃ分からないもんね。
隣の奥さん幸せそうに見えてたけどあれで案外旦那で苦労しているのかも。
その点ヨッシーの亡くなられた奥さんだけは幸せだったんでしょうね。
本当に幸せだと早く死んじゃうのかな?羨ましいけどかわいそう。
それでもそばにいる人間に嫌悪感を抱くという生き地獄よりはマシでしょ?ねえヨッシー。
どうかしたんですか?何か心配事でも?いやすみません。
ついぼんやりして。
いえ。
頂きます。
今日は死んだ妻の誕生日なんです。
僕はその事をすっかり忘れてました。
子どもからメールが来てびっくりしたんです。
そうだったんですか。
もともと僕は朝が弱くて特に雨の日なんかは何となく気持ちが沈んだりするんです。
それでこうやって高巻さんと話をさせてもらったりしているうちに少しずつ元気が出て気分が和むんですよ。
それは奥様に悪い気がします。
そういう意味では全然ないんですけどね。
(犬の鳴き声)すみませんこんな事を。
いつかリタイアしたら2人で海外を回ろうってよく言ってました。
だけどその前に妻は病気になってしまって…。
僕が無理をすると思ったんでしょうね。
病気になってから妻は「海外旅行に行きたい」って言えなかったと思うんです。
そのかわりねこんな事を言いました。
「あなたは寂しがり屋だから私が死んだら優しい誰かと出会って下さい」って。
誕生日は忘れてもその言葉は忘れられなくて…。
逆にね誰とも出会いたくないなんて思ったりするんですよ。
ごちそうさま。
(指笛)
(犬の鳴き声)ボビー!
(荒い気遣い)ボビー。
ボビー?ボビー。
ボビー行こう。
ボビーおいで。
ボビー。
ボビーおいでおいで。
ボビーちゃんどうしたの?元気ないわね。
持ちますよ。
あすいません。
どうしたの?どうした?ボビー。
(荒い息遣い)僕は専門家じゃないんで詳しい事は分からないですけど普通じゃない気はしますね。
獣医さんに診てもらった方がいいかもしれません。
どうかしたのか?ボビーの様子がおかしいので病院に連れていきます。
車か?ボビー歩けないので。
早く帰ってこいよ。
カワダ電気行きたいんだよ。
買いたい物があるからさ。
すみません。
行ってきます。
ボビー大丈夫だからね。

(坂本)やはり心臓弁膜症です。
正式には僧帽弁閉鎖不全症または僧帽弁逆流症ともいいます。
肺で新鮮な空気を取り入れた血液は左心房を回り…。
あの助かりますよね?僧帽弁不全になると心臓の機能が低下しますから血液がうまく流れなくなり肺の中に血液の成分があふれ出る事になって水分がたまってしまうんです。
そうなると呼吸が非常に苦しくなります。
どうしたらいいんでしょう?利尿剤とあとは血管を少し拡張するお薬を出しますから楽になるはずです。
ただですねボビーちゃんかなり症状が進んでますから…。
もともと僧帽弁不全は完治する事がないんですよ。
お掛けになってお待ち下さい。

(池田)こんにちは。
ボビーちゃんやっぱりどこか悪いの?心臓が…。
かわいそうに。
前に飼ってたシーズーがねやっぱり心不全から肺に水がたまるようになってそのあと1週間もたなかったのよ。
心配ね。
ボビー…ボビー…。
病気か?ボビー…。
とにかく外に出してくれよ。
毛が落ちるから。
何してるんだ?今夜から私ボビーとここで寝ますから。
え?よいしょ。
・おい!何考えてるんだ?何だって言うんだ!?あらあら。
どうしようどうしよう…。
待ってねボビー。
いいのよはい。
あらららららら…。
あっ…。
あ〜ボビー。
はいはい。
あんよ上げて。
よいしょよいしょ。
おい本気か?本当にここで寝るのか?ボビーは病気なんです。
心臓の弁が腫れてて呼吸ができないんですよ。
トイレの始末とかちゃんとしますから。
ご苦労な事だな。
たかが犬じゃないか。
飯くらい向こうで食べろよ。
勝手にしろ。
(鳴き声)ボビー?ボビー?ボビーちゃんどうしたの?ん?あごめんね。
おしっこか。
あらうんち?ちょっと待って。
待ってね待ってね。
(時計の秒針の音)おいいい加減にしろ!いつまでそうしてるつもりなんだ?俺はいつまで冷たい食事を食べさせられなきゃならないんだ?それならもう作りませんから自分でお願いします。
本気で言ってるのか?ボビーは病気なんです。
手が離せないんです。
(舌打ち)
(ドアを閉める音)
(鳴き声)大丈夫よ大丈夫大丈夫よ。
わあかわいい。
いいですか?だっこして。
どうぞ。
お顔見せて。
ほら。
ウフフフフ…わあかわいい。
大丈夫だからね。
ずっと一緒にいるからね。
あのお願いがあるんですけど。
え?シゲユキも結婚してベトナムなんて遠い所に行っちゃった事だしそろそろ犬を飼いたいんですけど。
犬?だってあなたもうすぐ定年も近い事だし生き物がいたらきっと楽しいですよ。
う〜んだったら俺は猫がいいな。
面倒じゃないし。
猫にしろよ。
両方飼いますか?どっちかでいいよ。
だったら犬。
絶対犬!それも柴犬がいいんです。
(鳴き声)ボビーボビー!ボビー駄目!すいません。
ボビーボビー。
大丈夫ですよ。
こいつはね優しすぎるぐらい優しい性格ですから大丈夫。
(鳴き声)ドーベルマンお好きなんですか?いやそういう訳じゃないんですけどね2年前に妻を亡くした時に子どもたちが私の事を心配してこいつをプレゼントしてくれたんですよ。
お名前は?サリーです。
えっサリー?サリーちゃんのサリーです。
魔法使いの?そちらは?ボビーです。
JFKの弟の?え?ボビーおいで!ボビーおいで。
来なさいボビー。
ほら。
犬ってどうして呼ばれたらそばに来るんだと思いますか?しつけじゃないんですか?何かいい事があると思うからですよ。
名前を呼ばれて「おいで」って言われて飼い主のところに行けば必ずいい事があるから行く。
僕はそういうのが本当の信頼じゃないかなって思うんですよ。
石黒さんのところに行ってくる。
お前はいいのか?
(ドアを閉める音)
(鳴き声)ボビー…ボビー…。
回想ボビー!ほらボビー見てごらん。
おいお前本当に大丈夫か?おい。
どうしたんですか?石黒さんちじゃなかったんですか?まあ心配でさ。
心配って何が?ちょっと入るぞ。
何ですか?私のせいですか?石黒さんちに行けなかったのは。
どうでもいいんだそんな事は。
ちょっと来てくれ。
頼むから来てくれ。
あんな部屋にいたらお前まで病気になるよ。
ボビーをこの部屋に移そう。
あの箱の上にボビー寝かせてお前はソファーで寝るんだ。
それじゃ俺はやる事があるから。
あ〜おかゆ作ったからよかったら食べてみろ。
あなた「たかが犬」って言ったんですよ。
俺としては「無理をするな」と言ったつもりだ。
けどそのままにとったんだな。
こういう言い方すると酷かもしれんが病気の動物と一緒にいるのはあまりよくないらしいんだ。
ネットで調べたんだけど誰かのブログにそう書いてあった。
あなたはボビーが死ねばいいと思ってるんですか?誰がそんな事言った!?お前の体が心配なだけだよ。
あなたはボビーが来てから私にも冷たくなったでしょう。
お前がボビーだけになったからだ。
ボビーの誕生日は祝ったのに俺の誕生日は忘れてたじゃないか。
私の誕生日は何年も忘れてるじゃないですか。
忘れてはいない。
祝ってくれてない!祝ってない。
石黒さんの誕生日には必ず「何か贈っとけ」って言うくせに!石黒さんの奥さんばっかり褒めて自分の妻の事はずっと無視してきたじゃないですか!そういうふうにとってたんだな。
悪かった。
全部本気にしてたんだな。
てれてしまってそういうふうにしか言えないんだよ。
あとは甘えていたのかもしれない。

それから約1か月の間ボビーは生きた
(犬の鳴き声)落ち着きがないな。
散歩に行きたいんですよ。
散歩?こんなに弱ってももう歩けないのに散歩に行きたくてしょうがないんですよ。
本能的なものか?記憶的なものかもしれませんね。
何かいい事があると思ってるんですよ。
そうか。
(犬の鳴き声)
(ノック)はい。
すみません。
ちょっと買い物行きたいんですけど。
分かった。
どうした?いいんですか?いいよ。
行ってこいよ。
すみません。
じゃあお願いします。

(富裕)コーヒー。
(凪子)うんありがとう。
うんいいね。
フフッ。
ただいま。
もういいか?すみません。
あはいこれ。
買ったのか?なかったでしょ。
たまには飲んで下さい。
酒は要らない。
飲まないんですか?今はちょっと…。
え〜?もしかして願でもかけてんの?ボビーのために。
そういう事てれずに言えるようになれよな。
そしてとうとうその時はやって来た
ボビー。
ボビー。
(鳴き声)
(鳴き声)ボビー。
(鳴き声)ボビー…。
それが私の呼ぶ声に応えた最後でした
それではご移動させて頂きます。
ボビーありがとうね。
出会ってくれてありがとう。
首輪はどうなさいますか?絆ごと天国に持たせてあげましょう。

夫はここまでは来なかった
ボビーと出会う前よりもむなしい時間を味わうようになった
夫はまた部屋に籠もってボビーと一緒に夫婦の話題も消えたようだった
ふと好奇心に駆られて夫のブログをのぞいてみようと思った
「小生」っていつの時代だよ…。
「更新が遅れたのはプライベートな理由である。
実は飼っている柴犬が病気になり妻が看病していて小生もつらい気分が続きキーボードに向かう気になれなかった。
犬の名はボビー。
しばらく前から心臓の病気になった。
そしてつい先日ボビーはかわいがっていた妻の膝の上に抱かれ息を引き取った」。
「小生はその時非常に大事な事に気付かされたのである。
病気になってからボビーは日々弱っていき見るも無残なほど痩せ細っていった。
だがボビーは必死に生きようとして病気と闘った」。
回想落ち着きがないな。
散歩に行きたいんですよ。
散歩?「苦しそうなボビーを見るのも看病する妻を見るのもつらかった。
つらい日々が続いた。
しかしボビーは死と闘う事で妻の心の傷を軽減したのだ」。
「小生はボビーに教えられたのである。
生きようという姿勢を示すだけでほかの誰かに何かを与える事ができるのではないか」。
「ボビーは生きようとしていたのである。
そして妻はきっとこの苦しみから解放してあげたいという思いをどこかで持つようになったと思う。
必死に生きている者にそれ以上に生きろと誰が言えるだろう」。
「その日ボビーは妻の膝の上で静かに本当に静かに息を引き取った」。
「小生の好きな歌がその時流れていた。
『聞かせてよ愛の言葉を』。
生涯で二度とそのシャンソンを聴く事はないだろう。
ボビーが死んだ夜を思い出してしまうのだから」。
寝かせてやろう。
「小生は思わず心の中でつぶやいた。
『ボビーもうこれで苦しまなくて済むんだよ』と」。
(泣き声)「妻の方は更に強くその事を思っただろう。
生きようとするだけでボビーは私たちに力を与えてくれたのである」。
「さっきその歌を二度と聴く事はないと言ったが撤回する。
もう一度同じ歌を聴きたい時がある。
小生が死ぬ時だ。
妻と一緒に聴きたい。
しかしそれを妻に口で伝える事は難しい。
いつか小生が病気になった時妻が気まぐれにこのブログをのぞいてくれる事を願ってここに書き残しておく。
合掌」。
つらかったでしょう。
ええ。
まだそんな気持ちにはなれないでしょうけどできればボビーちゃん2世を考えられたらどうでしょう?高巻さんが元気になる事をボビーちゃんも望んでるんじゃないでしょうか?そんな事考えてもみませんでした。
ああそうですよね。
義田さんは?はい?今なら考えられますか?妻の事ですか?奥さん2世ね。
そうですね…今でも駄目でしょうね。
すてきな奥さんだったんですね。
いいえ。
お酒も飲めないし冗談もつまらないしただ単に一緒にいて楽しいとかそういう人じゃなかったですね。
どんな人だったんでしょう?そう言われると…。
どんなに長く一緒にいても疲れないし散歩をするだけでとてもいい時間を過ごせるんです。
要するにサリーの中に妻の魂が宿ったのかもしれないですね。
(指笛)サリー来い!今日はお茶を持ってこなくてごめんなさい。
あ〜いいえ。
そういえば僕ばかり妻の話をして淑子さんからご主人の話を聞いた事が一度もありませんね。
話してもしょうがない事ばかりで。
今でもその関係がちゃんと続いてるから人に話す必要がないんですよ。
ねえまた犬を飼うっていうのはどう?犬?一体何を考えてるんだ?あんなにつらい思いしたばかりじゃないか。
またどうしても飼いたいって言うんだったら今度は猫にしろよ。
ねえまた犬を飼うっていうのはどう?犬?一体何を考えてるんだ?あんなつらい思いしたばかりじゃないか。
どうしてもまた飼いたいって言うんなら今度は猫にしろよ。
アハハハハハハ…ハハハハハハハ…。
何がおかしい?アハハハハハハ…。
何だ?だって思ったとおりの答えだ。
一字一句。
アハハハハハハ…アハハハハハハ…アハハハハハハ…。
いいよ犬飼えよ。
え?いや飼った方がいい。
どうしたんですか?お前は自分では分からないかもしれないがそうやって声を出して笑うって本当に久しぶりなんだよ。
お前がそうやって笑うのをまた見られるんだったらいいよ賛成だよ。
犬でも馬でも飼ってくれ。
おいビール新しいの。
お〜い。
駄目ですよ。
お酒はもうこの辺にして今プーアル茶を入れますから。
2014/06/21(土) 21:00〜22:00
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ 55歳からのハローライフ(2)「ペットロス」[解][字]

夫(松尾スズキ)の定年を機に、けん怠期のピークを迎える主婦・淑子(風吹ジュン)。唯一の支えは愛犬家仲間の男(世良公則)と語らう事だったが、その愛犬を悲劇が襲う。

詳細情報
番組内容
愛犬家の主婦・淑子(風吹ジュン)は、犬嫌いの夫(松尾スズキ)が定年を迎え、一日中家にいることがストレスでたまらない。唯一の逃げ場は、公園で愛犬家仲間の男(世良公則)と語らうこと。ある日、淑子は愛犬の様子がおかしいことに気づく。診断の結果、重い心臓病で余命わずかであることがわかる。だが、夫は相変わらず冷たい態度をとり続ける。淑子は愛犬とともに納戸にこもり、懸命の看病を続けるのだが。夫婦再生の物語。
出演者
【出演】風吹ジュン,松尾スズキ,一路真輝,マキノノゾミ,リリー・フランキー,戸田恵子,世良公則
原作・脚本
【原作】村上龍,【脚本】大森寿美男
音楽
【音楽】清水靖晃

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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