あのクラシックの名曲をあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?今回は…。
(「ツァラトゥストラはこう語った」)いえいえ実はこれクラシック音楽だったんです。
曲名は…作曲をしたのはクラシック界の…。
(手をたたく音)そう「技のデパート」。
かつて数々の技を駆使した舞の海関がそう呼ばれていましたよね。
クラシック界の「技のデパート」こそこの曲を作ったリヒャルト・シュトラウスなんです。
彼が繰り広げた驚くべき技とは?この曲はある本をもとに作られた音楽。
それはなんと難しい哲学。
ツァラトゥストラって一体誰?何を語った?それを知った春香クリスティーンさんは…。
(「ツァラトゥストラはこう語った」)今日はあっと驚く音の世界にあなたをお連れします。
「ららら♪クラシック」今日はリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはこう語った」です。
ほんとにねかっこいい冒頭ですよね。
何かが始まるっていうワクワク感がありますね。
この曲大好きなので今日は本当に楽しみです。
本日のお客様ご紹介します。
おなじみですね。
春香クリスティーンさんです。
(一同)よろしくお願いします。
この曲はもうご存じでしたか?そうですね。
タイトルだけ聞いた時は分かんなかったですけどもちろん聴いたら聴きなじみありますよね。
どの世代もやっぱり。
そうですね。
もう至る所に技尽くしというか興奮しすぎてねその晩眠れなかったんですよ。
何がそんなにすごいんですか?え〜!?すごい作品なんです。
すごい。
そういうふうに考えた事なかったですね。
ますます気になってきました。
ドイツ南部の町ミュンヘンに生まれたリヒャルト・シュトラウス。
父は有名なホルン奏者。
シュトラウスは幼い頃から音楽の英才教育を受けます。
作曲を始めたのは僅か6歳。
神童とたたえられたほどの早熟ぶりでした。
20代になるとその才能はドイツじゅうの話題となります。
彼は次々と実験的な作品を発表。
さまざまな物語を言葉なしで音だけで紡いでみせたのです。
それはまさに…ではシュトラウスの技がさえわたる作品のいくつかをお聴き頂きましょう。
まずは物語に出てくるいたずらっ子の姿を音楽に。
こちらの曲では…こんなふうにどんな物語でも音楽にしてしまったシュトラウス。
彼の手法は当時と〜っても珍しいものだったんです。
そのため初めて耳にした聴衆にシュトラウスの音楽は…ほとんど理解されませんでした。
しかし本人はめげませんでした。
それどころか…。
…と語っていたとか。
そんなシュトラウスが挑んだ究極のテーマが…。
ニーチェが書いた「ツァラトゥストラはこう語った」を音楽にしたのです。
でもなぜそんな難解な哲学を音楽にしようとしたのでしょうか?…という事はもちろんあると思います。
そうした哲学のさまざまな考え方そのものも音楽の力で表現できるとそういう自負の念は持っていたんではないかと思うわけです。
自らの音楽に抱いていた自信。
彼はこんな言葉を残したと言われています。
「たとえティースプーンの上げ下げさえも」。
シュトラウスが強い自負を持って作り上げた音楽。
それが「ツァラトゥストラはこう語った」なのです。
「音楽で表現できないものはない」っていうこのリヒャルト・シュトラウスの言葉どう思います?普通に哲学書を読もうとしても理解難しいのにそれを…。
言葉にするのも理解するのも難しいのを更に音楽で表現しようとするって何者なんだろうって。
とんでもなく難しい事をやろうとするんですけどでも夫婦げんかとさスプーンの上げ下げはやらなくてもよくない?音楽に。
全ての現象を音楽にしたいという欲もあったのかもしれないですね。
でもそれぐらい自分の音楽の技術というか技に自信があったんでしょうね。
そういう事ですよね。
でもそんな何でも日常の全てを音楽で考えられるってほんとに天才ですよね。
ほんとにもう技のまさにデパートというべきすごい技を持っていたので何でもトライをしたのではないかという。
物語を言葉を使わずにオーケストラの音だけで表現したというシュトラウスなんですけれどもここで「ららら♪スゴ技クイズ」というのを出してみたいと思います。
「スゴ技」がつきましたね。
今からねシュトラウスの作曲した「アルプス交響曲」という作品を聴いて頂きます。
一体どんなシーンを表現しているのかというのを是非映像を思い浮かべて聴いて頂きたいと思います。
まずはお聴き下さい。
うん!?ええ何だろう?これ難しい。
地元のアルプスは浮かんできたんですけどもそこを登った時に…う〜ん何だろうなんか大きな石が転がり落ちた。
すばらしいですね。
えっ!?大丈夫かな?ほぼ近いです。
1か所だけちょっと大きく違うんですけれども正解は…すごい〜!音楽を聴きながらちょっと解説。
まず険しい岩場を恐る恐る登っていく様子。
(「アルプス交響曲」)足を滑らせヒヤリ!足元の小石がコロコロッ!と落ちていきます。
面白〜い!ではこれを踏まえてもう一度聴いてみましょうか。
おお〜!春香さんの演技つきだったので私たちもすごい分かりやすかったですね。
面白〜い!これ何回でも聴けますね。
この「アルプス交響曲」は実際にドイツの山荘でアルプスの山を見ながら作曲したっていう事なんですよね。
スイスで生まれ育ったんですよね?春香さんは。
はい。
そうするともうこういうアルプスっていうのは身近な存在で今の曲のイメージって膨らむんですか?そうですね。
最初はトーンだけでもアルプスはイメージ浮かびましたしなんかこう夏のアルプスって気温は寒いんですけれども緑いっぱいでちょうどハイキングにいい季節なんですよね。
その中なんだろうなっていうのはもう…。
花のいい香りがするんだろうなって。
アルプス登山を曲にしようとした人がですねさてさて今日の本題の「ツァラトゥストラはこう語った」ですがこちら上下巻分厚い哲学書になりますが日本語訳はいくつか出ているんですけれどこの代表的なニーチェの哲学書なんですがこれを曲にしようというんですからね。
春香さんはちなみにこのツァラトゥストラは?ニーチェは読んでみたいなというのはずっと思ってはいるんですがなかなかやっぱり難しいっていうイメージが先行しちゃうので。
壁が高いよね確かに。
どうやって音楽で表現するのかどうやって思い浮かぶのか。
まずは最初の疑問から。
「ツァラトゥストラ」とは古代ペルシャのゾロアスター教を開いたとされる預言者ザラスシュトラそれをドイツ語読みにしたのがツァラトゥストラだったんですね。
で何を語ったのかというと…。
故郷を捨て長い間山に籠もり瞑想にふけっていたツァラトゥストラ。
ある朝悟りを得て山を下ります。
そして人々に新しい思想を語って回りました。
それは「絶対的な神は死んだ。
これからは神に頼るのではなく自ら生きる意味を見いだし今を生きていきなさい」という言葉でした。
シュトラウスはキリスト教を否定するニーチェの革命的な思想を音楽で描写したのです。
(「ツァラトゥストラはこう語った」)これは「病が癒えつつある者」という部分。
ニーチェの本のある章に付けられたタイトルです。
シュトラウスはニーチェの本の中から9つの章を抜き出してそれを音楽にしたのです。
ではあの有名な冒頭部分は何を表現していたのか?
(「ツァラトゥストラはこう語った」)それは悟りを得たツァラトゥストラが洞穴から出たまさにその瞬間。
全身に太陽の光を浴びた様を描いていたんですね。
うわぁすごい。
だからあの壮大さなんですね。
でも面白いですねこれ。
悟りと日の出が重なってそれがあの冒頭の部分になってるんですね。
しかもただの日の出じゃないですからね。
10年間とか山に1人でず〜っと修行を重ねて初めて出てこう悟りが…っていう太陽ですからやっぱり全然意味が違ってきますね。
登場感が違いますね。
だから多分メロディー聴いても一生忘れないんでしょうね。
でもやっぱりこうしてみると何を表現するかって大事ですね。
やっぱりスプーンの上げ下げよりは悟りを表現した方がいい音楽になるよねそりゃ。
でもよく表現できましたね。
だって悟りと思うとなんかそんなの表現していいものかとか。
自分なりにその哲学だったり表現の世界をこう変換して音楽にする力っていうのがやっぱりきちんとあったんでしょうね。
ほんとに身近なものから日常とはほとんど関係ないというかふだん接さなければ接する事のないような世界まで幅広くいろんな事表現されてますよね。
いろんなものを見てほんとに好奇心も旺盛だったんでしょうね。
それはあると思いますね。
だから奥さんにガミガミ叱られてる時に「おや?これはなんかちょっと音楽的だな」って思ったんじゃないですかね。
そこからけんかの表現に変わるんですね。
今日の名曲は…物語を音だけで描いてしまうスゴ技で聴衆を驚かせたシュトラウス。
そこには「音楽で表現できないものはない」という強い自信がありました。
そんな彼の究極の挑戦がニーチェの革命的な哲学を音楽にしたこの曲だったのです。
哲学までも音楽で語ってしまったシュトラウス。
彼のスゴ技を作曲家の美濃さんが解き明かします!さあまずは冒頭部分ですけれどもシュトラウスは日の出を表現していましたよね。
この曲は非常に印象的な冒頭部分なんですけれどもこれは実は3段階に発展していく形で書かれているんですね。
つまり…この3つの段階「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」全てに出てくるのが「ドソド」という音型です。
これは冒頭以外にも曲の中で何度も非常に重要な部分で出てくるモチーフなので是非覚えておいて頂きたいんですがではまずは「ホップ」の部分を見ていきます。
冒頭部分出だしは…。
ドソド。
そしてこのあと…。
そのあと「ステップ」になります。
「ステップ」も同じようにトランペットが…。
ドソドとやってそのあと今度は…。
上がりましたね。
バッて。
そうです。
さあそのあと今度は最後の「ジャンプ」の部分になるんですがここで一気に日の光がさしてくる部分です。
ミラ…とラまで飛ぶんですね。
タアーッ!そうそう。
すごいですね。
かなり飛びましたね。
そしてこのあとがもっとすごいんですけれども…。
おお〜まぶしい〜!特にちょっと右手に注目して頂きたいんですけれども…。
あれ?どうしました?そうなんです。
実はこれ…。
そんなシンプルなのにこんなすごく聴こえるんですか?そうなんです。
この緻密な冒頭からの…この音階が醸し出す本当の…面白い。
なんかもっと複雑になってるのかと思ったらやっぱりシンプルこそその壮大さというか…表現できるんですね。
続いてシュトラウスは…何の事だか分かりますか?言葉聞いただけでは何も浮かばないですね。
何か弾いてもらわないとね。
あのねシュトラウスが解釈したニーチェの哲学は…それを音楽で一体どういうふうに表現したかというと自然と人間を対立させるためにこの2つをそれぞれ別の調調というのはハ長調とかイ短調とかね。
2つの調を使ってそれぞれを表現しています。
まず自然なんですけれども…出だしの…先ほどご紹介した冒頭部分も同じハ長調。
そうなんですまさに。
こちらがハ長調。
この響きが自然です。
さあ続いて…どんな響きかというと…。
ロ長調。
春香さんなぜハ長調とロ長調で対立が表現できるか分かりますか?え〜!?全然分かんないです。
何でだろう?実はですねこの2つの調の和音を弾くとハ長調は…。
ドミソ。
ロ長調は…。
一度に鳴らすと…。
おお〜なるほどなるほど。
隣同士な音なので一個一個…。
ドとシも…。
全部が汚い音で響き合うんですね。
ほんとですね。
すごい音になりましたね。
こういう技術を使ってそれぞれの対立を音楽でも表現しているわけなんですね。
なるほどねぇ。
曲の最後の最後でこの2つをはっきりと対立させているシーンを聴いて頂きたいと思います。
まず高音域で人間ロ長調。
きれいな響きですねこれだけでは。
でもそのあとすぐに自然です。
おお〜!絶対に混じり合わないんですけれどもそれぞれの両者の対立一体最後どうなったのか。
最初と最後聴いただけでも何となくこう間が想像力かきたてられますよね。
それでは「ツァラトゥストラはこう語った」今日はカット版でお聴き下さい。
おお〜。
改めてグッときますね。
このエンディング何なんでしょうね。
考えさせられますね。
ほんとにこの描写力というかまさに私たちの仕事のような劇画映画の音楽などのはしりみたいなものですよね。
情景を描くという意味では。
改めてニーチェのツァラトゥストラも読みたいですし一緒に読みながら聴いて解きたいですね。
ティースプーンから哲学まで音楽っていろんな可能性があるんですね。
「ららら♪クラシック」今回はこの辺で。
2014/06/21(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック▽リヒャルト・シュトラウスの“ツァラトゥストラはこう語った”[字]
今回の名曲は「ツァラトゥストラはこう語った」。何でも音楽にできたR.シュトラウスが難解な哲学を描写しようと挑んだのがこの曲。有名な冒頭は何を表現しているのか?
詳細情報
番組内容
今回の名曲は「ツァラトゥストラはこう語った」。作曲したのは、何でも音楽で描いてしまう技を持っていたリヒャルト・シュトラウス。夫婦げんかやいたずらなど、さまざまなテーマを取り上げてきた彼が、究極のテーマとして挑んだ「難解な哲学」を音楽で表現したのがこの曲。映画「2001年宇宙の旅」などで誰もが一度は耳にしたことがあるこの曲の冒頭部はいったい何を描写していたのでしょうか?【ゲスト】春香クリスティーン
出演者
【ゲスト】春香クリスティーン,【出演】指揮者…山下一史,東京フィルハーモニー交響楽団,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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