北海道・日高町。
広大な緑に遊ぶ美しい馬たち。
馬のふるさととしても知られるこの地に今国内のみならず海外からも注目を集める一つの牧場があります。
その名は…。
パカパカファーム?牧場の主はアイルランド出身。
その胸には常にある熱い思いが。
競馬界最高峰のレース日本ダービー。
パカパカファーム設立からわずか11年でハリーさんの手がけた馬が制します。
その快挙は日本競馬界に衝撃を与えました。
母国を遠く離れ北海道で追い続ける夢。
ハリーさんの挑戦を追いました。
人の行く道は一本道とはかぎらない。
突然に岐路が現れ進路を選ぶことで旅路は続く。
この人はどんな道を歩むのだろう?北海道…。
現在ここでは91頭の馬が放牧されています。
その多くがハリーさんが海外を回って買い付けた雌馬。
そして去年と今年に生まれた1歳までの仔馬たちです。
パカパカファームは優秀な競走馬を誕生させることが専門の生産牧場と呼ばれる牧場。
この仔馬は今年競りに出す予定。
ハリーさん厳しいまなざしでチェックします。
仔馬は1億円以上の値がつくこともあります。
しかし売れなければ当然牧場経営は成り立ちません。
ハリーさん仔馬たちはどうですか?スタッフのほとんどが外国人というのもパカパカファームの特徴。
世界各地の牧場で経験を積んだつわものたちがハリーさんを慕いここに集まってきているそうです。
ハリーさんを慕うのは人だけじゃありません。
おもしろい馬?これって…。
ご近所の犬だそうです。
1961年アイルランドの田舎町で生まれたハリーさん。
実家は乳牛などの牧場。
動物に触れ合い育った少年は獣医を志します。
そしてサラブレッドの獣医として世界を渡り歩いていた29歳のとき日本の牧場主から声をかけられ家族とともに来日しました。
日本で働くうちにハリーさんは日本人そして日本の競馬に強くひかれていったのです。
やがて日本で自分の牧場を持ちたいという夢を持つようになったハリーさん。
しかし行く手には大きな壁が立ちはだかっていました。
この地では外国人が牧場を買ったという前例がなく申請書は何度も却下されることに。
でもハリーさんは諦めませんでした。
粘り強く2年がかりで交渉しついに小さな牧場を手にしたのです。
こうしてパカパカファームが誕生。
ってどうしてそんな名前に?1日に二度ハリーさんが欠かさないことそれは…。
ハリーさんは16年前から単身赴任生活。
子どもの教育のため妻子はアイルランドへ帰しました。
仲がよさそうですね。
愛する家族と離れてまでなぜハリーさんは日本に留まるのでしょうか?息子たちは父を尊敬し長い休みには北海道を訪れます。
ハリーさん離れていても家族に支えられています。
3月牧場が一年でいちばん忙しくなる出産シーズン。
牧場を開く以前は腕利きの獣医として世界で活躍していたハリーさん。
赤ちゃんが順調に育っているかどうか母馬のお腹やおっぱいの張り具合でチェック。
いわば獣医が常駐している牧場。
パカパカファームでは今年22頭の仔馬が生まれる予定です。
夜9時1頭の母馬が産気づきました。
ハリーさんすぐに厩舎へと向かいます。
走るために改良が進められたサラブレッドは難産となるケースが多く時には母子ともに命を落とすこともあるそうです。
分娩が始まりました。
仔馬は前脚から少しずつ出てきます。
母馬が暴れないようになだめながら2人がかりで仔馬の脚を引っ張ります。
新しい命の誕生です。
母子ともにすこやかです。
小さいものじゃないです。
大きいです。
あとは仔馬の力を信じて見守るだけです。
今年も次々と生まれる仔馬たち。
思い出されるのは5年前にここで誕生し日本競馬界最高の栄誉に輝いたあの一頭のこと。
2012年日本ダービー。
スタートしました!誰もが憧れる夢の大舞台に出走したパカパカファーム出身の馬ディープブリランテ。
この年のダービーはまれにみるハイレベル。
そのなかでディープブリランテは…。
ディープブリランテゴール!牧場設立からわずか11年で成し遂げた快挙でした。
パカパカファームの快進撃。
その秘密はどこにあるのでしょうか?ハリーさんの牧場で生まれ日本ダービーを制した馬ディープブリランテ。
調教師矢作芳人さんはハリーさんの馬をこう評します。
何よりもバランスがいいってことと品のよさ。
品のよさ悪さっていうのは生まれたときにこそ出るっていうのがあって。
品のいい馬だなっていうことと。
やっぱり馬丈夫になったんじゃないかな。
あれだけのいい土地に…。
あれだけの広大な放牧地ですからね。
すばらしいです。
広い土地。
そうパカパカファームの面積はおよそ200ヘクタール。
東京ドーム40個を超える広大な敷地に馬は現在わずか91頭。
その面積は日高の他の牧場の平均の16倍にもあたります。
広さに加え特徴的なのはこの傾斜。
通常競走馬の生産者は馬を管理しやすい平らな土地を望みます。
ところがハリーさんは斜面こそが大切だと考えました。
更に昼も夜も馬は厩舎には戻しません。
多くの牧場では夜は馬を厩舎に入れますがここの馬たちはたとえ厳しい冬でも昼夜を問わず放牧されます。
ここで鍛えられるのは骨筋肉そして精神力。
どんなレースにも動じないタフなハートが育つといいます。
あのディープブリランテは今どうしているのか?会いたいという私たちをハリーさんが案内してくれました。
ダービーの興奮がよみがえったのかハリーさんハイテンション。
こんにちは。
そしてこちらが引退後種馬となったディープブリランテ。
この名馬を送り出したパカパカファームは競馬界でも注目の的だといいます。
やっぱりパカパカさんがいろいろ革命を起こしたっていうか日本の生産界にないものをいろいろ持ち込んでるんで僕らも刺激になってます。
ディープブリランテの血を引く馬たちの活躍が楽しみです。
ハウアーユー。
今年のパカパカファームの出産シーズンその最後を締めくくったのはハリーさん待望の仔馬でした。
迫力のある下半身が子どもの頃のディープブリランテにそっくりだそうです。
まだ赤ちゃんですが資質はすでにきらめきます。
日曜日のパカパカファーム。
仕事が休みのスタッフも集まっています。
大きなレースのある日は自然とみんながここに来て一緒に競馬を見ることが多いそうです。
母国を離れさまざまな国から集まっているスタッフたち。
彼らにとってハリーさんは外国で暮らす大変さをいちばんよく理解してくれる頼もしい先輩でもあるのです。
忙しい合間を縫って今ハリーさんが日に二度も通っているのがこの場所。
おはようございます。
おはようございます。
ここは過疎化により廃校になった小学校。
長いことただ放置されていました。
使われなくなった建物を見たときハリーさんの胸に1つのアイデアが浮かびました。
ここをきれいに改造してパカパカファームのスタッフの寮として再生しよう。
この壁の色は何にしたらいいですか?明るい色にします?それともこのままの状態の色にします?明るい色のほうがいい。
明るい色がいい?はい。
日本で理想の牧場を作りたい。
ハリーさんまた一歩夢に向かって進んでいます。
こちらは行きつけの理髪店。
おはようございます!おはようございます。
すみませ〜ん。
グットモーニングハウアーユー?どうも。
はい。
どうぞ。
いいですか?はい。
お願いします。
はい。
ふふふ。
う〜んまあまあですよ。
まあまあいいですよね。
まあまあいいじゃない。
まあまあです。
まあまあですかいいですね。
はい。
適当でいいですか。
24年前日本語もわからず北海道に雪が降ることさえ知らずに来日したというハリーさん。
今ではこの地にしっかりと根を下ろしています。
4月下旬ハリーさんの姿が東京にありました。
目的はG1レース皐月賞。
パカパカファーム出身のクラリティシチ−が出走するのです。
皐月賞はクラシックと呼ばれる栄誉あるレースの1つ。
こんばんは。
こんばんはどうもいらっしゃい。
はいいらっしゃいませ。
やってきたのはなじみの串焼き屋さん。
やはり気になるのは事前予想。
18頭中10番人気。
パカパカは何出すの?パカパカ明日は出ますよ。
え〜クラリティシチー。
我が子の活躍を信じ明日に臨みます。
目指すは優勝。
皐月賞当日。
勝負カラー赤のネクタイを締めてハリーさんがやってきました。
おはようございます。
おはようございます。
いよいよ皐月賞ですね。
馬主席と呼ばれる特別席から観戦。
アイルランドからもメッセージが。
この日中山競馬場にはおよそ6万人の観衆が詰めかけました。
祈る気持は最高潮に。
(拍手と歓声)収まってゲートイン完了。
スタートしました!走れクラリティシチー!G1レース皐月賞に出走したクラリティシチー。
収まってゲートイン完了。
スタートしました!絶好のスタートを切りました。
さあ抜け出せるか!?1着ではありませんでしたが4着以内ならダービーへの道が。
今年のダービーへの夢はついえました。
でも落ち込むハリーさんではありません。
次の世代の戦いはすでに始まっているのです。
今年産まれた22頭の仔馬たちももう牧場を元気に駆け回っています。
これからスピードパワー群れの中での闘争本能といった走る力が磨かれていきます。
夢に向かい新たなスタートです。
乾杯。
これがハリーさんの至福のひととき。
馬たちも幸せそうに草をはんでいます。
私日本好きだから死ぬまでいると思います。
アイルランドからやってきて日本から世界を夢見るハリーさん。
あなたの馬にかける思いを応援します。
2014/06/21(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
Crossroad<ハリー・スウィーニィ>[字]
北海道・日高にある、ちょっと変わった名前の牧場「パカパカファーム」の主、アイルランド人のハリー・スウィーニィが登場。
詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
北海道・日高。地平線いっぱいに広がる緑の牧場。サラブレッドの親子が仲睦まじく草を食む…。そんな場所に、「パカパカファーム」というちょっと変わった名前の牧場がある。オーナーは、アイルランド人のハリー・スウィーニィ。彼は、実はかなりの凄腕。いったい、どんな道を歩いてきたのだろう。
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなCrossroad(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/official/crossroad/
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
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