日曜美術館 アートシーン▽ミッション[宇宙×芸術]コスモロジーを超えて展 ほか 2014.06.22

およそ1,000万個もの星を映し出すスーパープラネタリウム。
小学生の頃にプラネタリウムを作り始めた大平貴之は映し出す星の数を次々に更新。
世界を驚かせてきました。
美術館で味わう満天の星空。
壮大な宇宙の広がりを肌で感じる事ができます。
研究開発が進む現実の宇宙とアーティストが表現する宇宙を併せて体験する展覧会です。
国際的に活躍する名和晃平は近年地球の重力を利用した作品を制作しています。
まっすぐ平行に引かれた線。
筆を使わず斜めにしたキャンバスに特殊なインクを垂らしました。
重力が地球の中心へと導いた線の連なりです。
点滅するLEDライト。
宇宙から降り注ぐ放射線宇宙線と地中から放射されるガンマ線を探知すると青い光が消える仕組みです。
逢坂卓郎は20年ほど前から目に見えない宇宙のエネルギーを視覚化する試みを続けています。
逢坂は国際宇宙ステーションの日本実験棟で行われている「芸術実験」に参加してきました。
LEDライトを付けたこまを無重力状態で回転させた光の軌跡です。
無重力になると私たちの概念が全て取り払われて空間感ですとか生き方だとか人間の在り方だとかもちろん世界そういうものをもう一回捉え直すような大きなチャンスだというふうに思ってます。
芸術のテーマもいかに生きるかというのがベースにありますので新しい視点や新しい概念の中からそれを問いかけるという事が私たちがやるべき事ではないかなというふうに感じてます。
今年2月H2Aロケットで世界初の「芸術衛星」が宇宙に送られました。
多摩美術大学と東京大学が共同で開発した10cmほどの超小型衛星です。
芸術衛星は地球を周回しながらさまざまなデータを地上に送ります。
機体の姿勢や温度速度などを視覚化しアートに展開する試みです。
高さ19m。
コンピューターグラフィックスによる滝のプロジェクションマッピングです。
実物大の人工衛星の模型。
本来重力を持たない衛星に架空の重力を持たせました。
ゆっくりと円を描いて消えていく水の粒子。
地球では感じる事のできない生命力です。
現代舞踏家の福原哲郎が考案した「スペースダンス・イン・ザ・チューブ」。
反発力のあるチューブが無重力のような状態を生み出します。
まさに宇宙を体感する作品です。
新たな芸術領域として注目される「宇宙芸術」の世界。
富士山の世界遺産登録一周年を記念する横山大観の展覧会です。
大観は日本を象徴するものとして高くそびえる富士山とこれから昇ろうとする真っ赤な太陽を生涯に何度も描きました。
雲の間から顔をのぞかせる群青色の富士。
夏富士のすがすがしさを感じさせます。
中国の伝説で仙人が住む不老不死の地とされる蓬莱山。
大観は富士にその姿を重ねました。
足立美術館が所蔵する大観の富士図が一挙に公開されます。
風の彫刻家新宮晋の展覧会が神戸市立小磯記念美術館で開かれています。
小学5年生の時の作品です。
新宮は遠い親戚にあたる画家の小磯良平に子供の頃からよく絵を見てもらっていました。
留学したイタリアで絵画から立体に移行した時期の作品。
絵をオブジェにしてつるしてみたところ風に揺らめく姿に引き付けられました。
以来新宮は風や水など自然のエネルギーで動く作品に取り組んでいます。
知られざる小磯良平とのエピソードを交え新宮晋のこれまでとこれからに迫ります。
過去への記憶ノスタルジーを創造の源とする現代作家たち。
木から彫り出した少年。
異様に細長い手足でポーズも不安定。
棚田康司は誰もが経験する思春期の内面を表現しています。
ゴミの壁から顔を出してはいチーズ!ゴミは人間の生活の記憶。
淀川で拾ったゴミを集めて作られました。
ピカソが出会った女性たち。
横尾忠則が表現したピカソにとってのノスタルジーです。
記憶から広がるイマジネーション。
フランスと長崎を拠点に活動する松井守男の展覧会です。
代表作「遺言」。
極細の筆で描き込まれた色の連なり。
2年半をかけ幅5mの大作に仕上げました。
コルシカ島に移り住んだ松井はキリストとマリアを主題に3つの連作を描きます。
地中海の強烈な太陽の下キリストはまるで光と同化するかのようです。
長崎県の久賀島で描いた大作。
色を塗ったあとキャンバスを折り畳み万華鏡のような効果を生み出しました。
ヨーロッパを拠点に活動するイケムラレイコの展覧会「PIOON」。
イケムラは90年頃からうさぎの彫刻を数多く手がけています。
生と死理性と本能など対立するものの間にある「うつろい」をテーマとするイケムラ。
うさぎはさまざまな境界を飛び越える特別な存在です。
東日本大震災のあとに制作された高さ3mを超える「うさぎ観音」。
涙を流す観音とほほ笑みを浮かべる観音。
全てを包み込む慈愛に満ちた作品です。
鎌倉時代末期の随筆「徒然草」を美術を通して楽しみます。
作者とされる兼好法師。
出家し歌人として知られていたと伝えられますが多くは謎に包まれています。
江戸時代にはさまざまな肖像画が描かれました。
こちらは右手にうちわを持ち個性的な風貌。
尾形乾山は世俗を離れた自由人として描きました。
「徒然草」が世に知られるようになるのは印刷技術が発達した江戸時代初期の事です。
江戸幕府の学問奨励を背景に版本が出版され一気に広まりました。
初めて挿絵がつけられた注釈書「なぐさみ草」。
これを手本に「徒然草」の絵画化が進みます。
住吉派の絵師が描いたとされる屏風。
右隻に春左隻は秋の場面として描かれています。
紅葉の下で繰り広げられるのは稚児と僧の物語。
この時期あらゆる流派の絵師たちが競うように「徒然草」を手がけました。
今回初公開となる全20巻の絵巻。
全ての章段を絵画化したものはこれ以外見つかっていません。
長年幻の絵巻と言われてきました。
第11段兼好が山里で風情のある庵を見つけた場面。
みかんの実をとられないよう柵を巡らしてあるのを見てこれではせっかくの趣が台なしだと嘆きます。
第175段はうたげの席。
無理やり酒を飲ませる人や酔い潰れる人が表情豊かに描かれています。
「徒然草」が執筆されたのは今から約700年も昔の話ですが兼好は大変鋭い観察眼によって人間の神髄っていうものを描いています。
まるで今の私たちの事を兼好が語っているような「どうしてその事兼好知っているの?」と身につまされるような話が多くありますので美術を通して今までとっつきにくかった古典文学という世界を是非楽しんで頂ければと思います。
絵で味わう古典文学の新たな魅力。
2014/06/22(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン▽ミッション[宇宙×芸術]コスモロジーを超えて展 ほか[字]

「ミッション[宇宙×芸術]コスモロジーを超えて」(東京都現代美術館 6月7日〜8月31日)ほか、展覧会情報

詳細情報
番組内容
「ミッション[宇宙×芸術]コスモロジーを超えて」(東京都現代美術館 6月7日〜8月31日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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