沖縄慰霊の日:「へいわってすてきだね」 式の詩を絵本に
毎日新聞 2014年06月23日 14時46分
◇与那国島の小1が昨年、朗読した自作
昨年の沖縄全戦没者追悼式で、沖縄県・与那国島の小学1年だった安里有生(あさと・ゆうき)君(7)=現在は沖縄市在住=が朗読した自作の詩「へいわってすてきだね」が23日、絵本として出版された。大阪市北区の絵本作家、長谷川義史さん(53)が国内最西端の島での生活や家族らを大切に思う安里君の気持ちを描いた。長谷川さんは「他者を思いやるところから平和が生まれる。当たり前のことを当時6歳の男の子が教えてくれた」と話している。
「へいわって なにかな」「やぎが のんびり あるいてる」「やさしいこころが にじになる」
安里君の詩には猫やヤギ、「与那国馬」などの動物や家族らがのんびりと楽しそうに暮らす様子が表現されている。県平和祈念資料館が昨年に募集した「児童・生徒の平和メッセージ」詩部門(小学校低学年の部)で最優秀賞にも選ばれた。
追悼式での朗読後、平和をテーマにした絵本などを手がける長谷川さんに、出版社の編集者が製作を持ちかけた。長谷川さんは詩について「ストレートに平和への願いを感じた」と快諾し、昨年9月に与那国島を訪れ、安里君と会った。
「美しい海と沖縄戦の悲惨さが対照的だった。安里君と話して芯の強さを感じた。ごまかさずに正々堂々と絵本製作に取り組もうと思った」
同資料館の橋渡しで安里君と長谷川さんはこの日午前、追悼式出席のために沖縄を訪れたキャロライン・ケネディ駐日米大使に面会し、絵本を手渡した。
絵本は32ページ(税込み1512円、ブロンズ新社)。26日午後7時、大阪市中央区の上本町集会室で長谷川さんらのトークライブがある。事前にチケット(1500円)の購入が必要。ライブの問い合わせは隆祥館書店(06・6768・1023)。【椋田佳代】