沖縄慰霊の日:「政治の動き きな臭い」平和の礎に遺族ら

毎日新聞 2014年06月23日 14時53分

 沖縄戦で命を奪われた家族や友人らに鎮魂の祈りをささげる「慰霊の日」。戦没者の名前が刻まれた沖縄県糸満市摩文仁(まぶに)の「平和の礎(いしじ)」では、23日刻まれた戦没者の名を遺族らが指でなぞったり、花やお茶を手向けたりする姿が見られた。

 沖縄県豊見城(とみぐすく)市の糸満千代子さん(75)は、父親が疎開先の宮崎県で病死し、叔父といとこ2人は地上戦で命を落とした。「大切な家族を無残に奪う戦争はもう起こしてはいけないですよ」。「今年は特にきな臭い」と安倍晋三政権の集団的自衛権行使容認の動きに触れ「戦争につながるかもしれないことは絶対に避けてほしい」と涙声で訴えた。

 子供や孫を連れて訪れる遺族もいた。沖縄県浦添市の東江(あがりえ)チエさん(70)は兄の名に孫3人と手を合わせた。20年ほど前から毎年、孫と一緒に来ているといい、「『戦争が2度と起きないよう努力しますから、生き残った私たちを見守ってください』とお願いした」。

 孫たちも祖母の思いを受け継いでいる。中城村(なかぐすくそん)の幼稚園教諭、新里(しんざと)りいなさん(24)は24万1281人の名が刻まれた118基の刻銘碑を見渡して「これだけ多くの人が亡くなるなんて本当に恐ろしい」とため息をつき、「園児たちには『平和な気持ちを持ち続けないと戦争は起きてしまうんだよ』としつこいくらいに言い聞かせています」と話した。【福永方人】

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