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1-1で迎えた後半8分、後方から送られたパスをロッベンが芸術的なトラップ。そしてスペインのセルヒオ・ラモスを巧みなフェイントでかわし、得意の左足でゴールに突き刺した。
photograph by Tsutomu Takasu
フットボール“新語録”

ミュラー、ロッベン、そして本田。
W杯のゴールを“背中”で検証する。

木崎伸也 = 文

text by Shinya Kizaki

photograph by Tsutomu Takasu

「ロッベンはステップ毎に背中を反らす動作が入り、
その度、相手が『打つのかな?』と反応していました。
つまり背中の反りがフェイントになっている。面白い動きです」

西本直 (トレーニングコーチ)

 W杯はスーパープレーの宝庫だ。特にゴールシーンは世界最高レベルの技術が凝縮されており、美術品を見ているかのような優美な気分にさせてくれる。

 ただし、一瞬のプレーの中で「何が起こっているか?」を見極めるのは、たとえスロー映像を駆使したとしても難しい。それこそ美術品と同じく専門家による“鑑定”が必要だ。

 今回はW杯のグループリーグ初戦で生まれたスーパープレーを、「体の使い方」という視点でとらえてみたい。このコラムではお馴染みの西本直トレーナーに分析をお願いした。

広背筋と骨盤が、柔らかい動きを可能にする。

 西本理論のエッセンスを一言で説明するのは難しいが、あえてそれに挑戦すると「背中を見る」ということだ。人体における最も大きな筋肉は、背中にある広背筋である。さらに広背筋は上半身と下半身に筋肉の終点があり、両者をつなぐ役目も担っている。この筋肉をいかにうまく使うかで、動きの質が決まってくる。

 たとえば広背筋がうまく働いて背筋が伸びると、骨盤が立ち、股関節の自由度がアップする。すると最初の一歩をスムーズに踏み出すことができ、ネイマールのような柔らかい動きが可能になる。より詳しく知りたい方は、西本のブログを参照してほしい。

 では、実際のプレーを見てみよう。まずはポルトガル戦でハットトリックを達成した、ドイツ代表のミュラーの3点目のゴールだ。

【次ページ】 “ごっつぁんゴール”の陰にある特別な動き。

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