小松一郎(こまついちろう)・前内閣法制局長官が死去した。63歳だった。政府関係者が23日、明らかにした。安倍晋三首相が目指す集団的自衛権の行使容認の理論的支柱だった。今年5月に体調不良を理由に長官を退任していた。

 小松氏は外務省出身で、国際法局長や駐仏大使を歴任。国際法局長時代には、安倍首相が第1次内閣で立ち上げた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)に関わった。

 首相が集団的自衛権の行使容認に向け、昨夏、外務省出身者から異例の起用をした。しかし、その後に体調を崩し、今年1月に検査入院。腹腔(ふくくう)部に腫瘍(しゅよう)が見つかり抗がん剤治療を受け、2月の退院後も通院治療しながら国会答弁をしていた。