選挙:六ケ所村長選 得票率95%、戸田氏初当選 「反核燃」3氏、計270票 /青森

毎日新聞 2014年06月23日 地方版

 任期満了に伴う六ケ所村長選が22日投開票され、前副村長の戸田衛氏(67)が有効票の95%を集める圧勝で初当選した。選挙戦は、同村で進む使用済み核燃料再処理工場などの核燃料サイクル事業との「共存共栄」を訴える戸田氏と、反核燃を訴える3氏の争い。かつては核燃を争点に激しい争いとなった村長選だが、核燃に関連して生計を立てる人が増え続ける中、論戦は低調だった。東京電力福島第1原発事故後、初めてとなる村長選での選択は、現状維持だった。当日有権者数は8687人。投票率は62・94%で前回(60・31%)より2・63ポイント上がった。【伊藤奈々恵】

 戸田氏は22日夜、選挙事務所でバンザイして当選を喜んだ後、「再処理工場の早期完成を期待している。完成後は、安全で安定した操業が重要だ」と語った。

 反核燃の3候補は、届け出順に同村の合同会社代表、菊川慶子氏(65)▽盛岡市の元店員、関千尋氏(50)=届け出名「名もなき詩人」▽青森市の市民団体世話人、梅北陽子氏(61)。

 戸田氏が村議18人全員の支持を受ける盤石の態勢だったのに対し、3氏は6月に入ってから相次いで出馬表明。青森市在住の梅北氏は村内で反対運動を続ける男性の支援を受ける一方、村出身の菊川氏の支援者は村外在住者がほとんど。盛岡市在住の関氏も村内に浸透できず、得票は合計270票にとどまった。2006年と10年の村長選に出馬した梅北氏の得票は374票と274票だった。

 3氏は過去の反対運動や村長選などで知人同士だが、その際のわだかまりもあって「一本化」とはならなかったという。「その分、(複数台の反核燃を掲げる)選挙カーが(村内を)回る。それだけ村民の知見が高まる」(梅北氏)との見方もあったが、投票結果には表れなかった。

 戸田氏は3期務めた古川健治村長の後継指名を受け、4月に出馬表明。「古川村政の継続」を掲げ、各村議の案内で村内を細かく回る組織戦を展開し、幅広い支持を集めた。

 菊川氏は「核燃に頼らない村を」と訴え、告示日には山本太郎参院議員が応援に駆けつけた。梅北氏は「さよなら再処理工場」を掲げて選挙戦を展開した。

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 ◇村長選開票結果=選管最終発表

当 5144 戸田衛  67 無新

   152 菊川慶子 65 無新

    96 梅北陽子 61 無新

    22 関千尋  50 無新

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