沖縄戦終結69年:戦没者慰霊 追悼式で平和の思い新たに
毎日新聞 2014年06月23日 12時56分(最終更新 06月23日 14時46分)
◇安倍首相や仲井真知事、ケネディ大使らも出席
沖縄は23日、沖縄の全戦没者の霊を慰める「慰霊の日」を迎えた。1945年のこの日、3カ月近く続いた沖縄戦で旧日本軍の組織的戦闘が終結した。沖縄は以後27年間、米国統治下で基地の島と化し、戦後69年がたった今も基地の過重な負担は解消されていない。糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園では沖縄県など主催の「沖縄全戦没者追悼式」が営まれ、安倍晋三首相や仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事、遺族ら約4600人が参列。正午には1分間の黙とうをささげ、平和への思いを新たにした。
沖縄基地問題の象徴ともいえる米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設は、仲井真知事が昨年12月、政府による名護市辺野古の埋め立て申請を承認。政府が移設に向けた手続きを進めているが、県民の反発は根強い。
知事は追悼式の平和宣言で「基地負担を大幅に削減し、県民の生活や財産を脅かすような事態を改善しなければならない」と訴えた。そのうえで普天間飛行場について「機能を削減し、県外移設をはじめとするあらゆる方策で課題を解決するために全力を注がなければならない。そのために私は普天間飛行場の5年以内の運用停止を求めている」と話した。
2010年秋の知事選で県外移設を公約に掲げて再選して以降、知事は追悼式で3年連続で「一日も早い県外移設」と「日米地位協定の抜本的な見直し」を「強く」求めてきた。しかし今年は「県外移設」を課題解決の一つの手段と位置付けた。また、日米地位協定には触れなかった。
安倍首相は追悼式で「沖縄が忍んだ犠牲が自分たちを今日あらしめていることを胸に深く刻み、静かに頭(こうべ)を垂れたい」とあいさつ。基地負担の軽減については「沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、できることはすべて行う姿勢で全力を尽くす」と述べたが、具体的な課題には触れなかった。
一方、参列者からは普天間移設やオスプレイ配備への批判が相次いだ。沖縄県議会の喜納昌春(きな・まさはる)議長は「幾度となく県民の民意は踏みにじられ、政府への不信と怒りは限界にきている。普天間飛行場の閉鎖・撤去の早急な実行を強く望む」と主張。沖縄県遺族連合会の照屋(てるや)苗子会長も「沖縄にはいまだ広大な米軍基地がある。普天間飛行場の早急な県外移設を要望する」と訴えた。