仮設から仮設へ 気仙沼市の仮設商店街 土地区画整理で
宮城県気仙沼市鹿折地区の仮設商店街「復幸マルシェ」が8月下旬、新たに建設するプレハブに商店街丸ごと移転する。市の土地区画整理事業で現在地の地盤がかさ上げされるためだ。本格再建が困難な状況下、被災事業者は営業の空白期間をつくらないため「仮設から仮設への移転」というぎりぎりの決断を迫られた。
「震災から3年たてば土地造成が進み再建環境は整うと思っていた。だが、換地先さえ決まっていない」。一般社団法人「気仙沼鹿折復幸マルシェ」の塩田賢一代表理事(47)が打ち明ける。
鹿折地区では、土地区画整理事業が2013年7月に着工。東日本大震災で地盤沈下した約42ヘクタールを平均で海抜3.5メートルまでかさ上げし、住宅地や商業地、工業地を17年度までに造成する計画だ。
12年3月に開設されたマルシェの近くには、震災の津波で打ち上げられた大型漁船があり、見学者でにぎわった。大型漁船が昨秋解体されると、商店街の売り上げは激減。「団体客も修学旅行生も寄らなくなり、観光客は10分の1以下に落ち込んだ。これでは再建費用のめども立たない」と、塩田さんはため息をつく。
移転先は、現在の仮設商店街から約500メートル離れた同じ土地区画整理事業区域で、1、2階建てのプレハブ計4棟が建設される。マルシェに入居する飲食店、食料品店など20事業者が引っ越す。
仮設から仮設への移転では、移転補償のジレンマも横たわる。仮設商店街の事業者には引っ越し費用や移転先での設備費が移転補償として支払われるが、補償は1回限りのため、本格再建時には使えない。移転地も今後造成が予定され、営業は約2年間の期限付きと不安定な経営を迫られる。
仮設商店街は市の所有で、移転事業費1億円余りは「公共施設の移転補償」として土地区画整理事業費から捻出する。市は「仮設商店街の事業者にとって営業空白が生じないことを優先した」と説明する。
観光客を取り戻そうと、新商店街は復興事業が進む様子を見てもらう展望台や献花台をつくることを計画している。
◎復興事業の長期化が影
沿岸被災地の他の仮設商店街でも、別の仮設施設に移転を余儀なくされるケースが相次ぐと見られる。
宮城県南三陸町では、2カ所の仮設商店街で土地のかさ上げ工事が予定されている。このうち「伊里前福幸商店街」は、現在使っているプレハブをそのまま隣接地に移設し、再入居することを計画している。
岩手県野田村の2カ所も土地区画整理事業の区域内にあり「仮設から別の仮設に移ってもらう可能性もある」と村の担当者は言う。
津波被災地にあった商店街の再建は、高台造成や土地のかさ上げ後になるところがほとんどだ。各自治体の担当者は「再建するまで店舗の営業が途切れないよう、工事の時期などの調整に苦慮している」と打ち明ける。
仮設商店街の入居期間は国が当初1〜2年としたが、復興事業が長期化しており、実際の撤去期限は施設を無償譲渡された自治体が実情を踏まえて判断する。
宮城県石巻市中心部の「石巻まちなか復興マルシェ」は、河川復旧工事などの影響でことし11月末に閉鎖の予定。宮城県塩釜市(2カ所)は来年3月、宮城県多賀城市(1カ所)は来年6月に閉鎖する見通し。
2014年06月23日月曜日