外道釣り師Tの「海の上ではイイ男」 第1回:アジの外道

『外道釣り師Tの「海の上ではイイ男」』とは、日頃は都内のIT企業に勤める文字通りの外道である外道釣り師Tが、ズブの素人である我々を引き連れて、目的とする種類以外の魚を釣りに行くという不定期連載。第1回のテーマはアジの外道。(三浦のグルメ海鮮料理

外道釣り師Tの「海の上ではイイ男」 第1回:アジの外道

げどう【外道】とは

①〘仏〙 仏教以外の思想・宗教。また,その信者。特に,釈迦の同時代に存在した教説をさす。六師外道や九十五種外道など。

②真理に反した説。また,それを説く人。邪道。

③人に災厄をもたらすもの。悪魔。また,邪悪の相を表した仮面など。 「金毘羅童子と作て,-諸魔を調伏し/読本・弓張月 拾遺」

④人をののしる言葉。 「悪魔-め,人の陰徳のさまたげをして/滑稽本・七偏人」

⑤釣りで,目的とする種類の魚以外に釣れた魚。

(三省堂 大辞林 第三版より)

 

外道釣り師T

 

『外道釣り師Tの「海の上ではイイ男」』とは、日頃は都内のIT企業に勤める文字通りの外道である外道釣り師Tが、ズブの素人である我々を引き連れて、目的とする種類以外の魚を釣りに行くという不定期連載である。

 

今回の目的の魚はスルメイカとアジ。アジを釣りに行って、アジ以外の魚を釣り上げるという企画である。

 

 

釣竿

 

今回、外道釣り師Tが持参した竿は5本。我々にも竿を貸してくれるらしい。思い入れのある釣竿なのかと思い、「いい竿なんですか?」と訊いてみると、「全然。アジの竿はあんまり高くないから。マグロとかの場合はもっと高いけど」とT。すぐにお金に換算するところなど、外道が外道たる由縁である。そんな外道に連れられながら、一行は海へ。

 

いざ海へ

いざ海へ

この日の天気は気持ちいいほどの晴れ。海も穏やか。絶好の釣り日和だ。神奈川県三崎沖には、たくさんのヨットや釣り船が海に出ている。

 

 

他の船
※見えにくいですが、地平線の白い点が他の船です

 

 そして、この外道釣り師Tの後ろ姿である。陸では外道の限りを尽くしている外道釣り師Tも海に出れば人の子だ。どこか可愛い。迷彩の帽子については突っ込もうかと思ったが、やめておいた。

後ろ姿

 

下は海の上でリラックスするT。遠い目の先には何が見えているのか。もう日経平均株価は意識の隅に追い払われているはずだ。写真が急にキレイになったのは、自分じゃなくて、カメラマンKの写真だからである。

リラックス

 

スルメイカを釣る

沖に出ること40分。まず始まったのはスルメイカ釣りである。イカ角と呼ばれる蛍光色のプラスチックの疑似餌についた針で釣っていく。外道釣り師Tは、余裕の表情で次々とスルメイカを釣り上げていく。

スルメイカ
 ※釣り上げたスルメイカ

 

下は、他の人が絡まってしまった釣り糸をほどいている外道釣り師T。釣り用語では、他人と釣り糸が絡むことを「オマツリ」と言うそうで、誰かが絡むと、釣り船の船長と外道釣り師Tが「おい、マツっちゃったよ! どうするんだよ!!」、「マツリだよ、マツリ! 糸、引かないで」と怒号を飛ばす。海の上では穏やかになる外道釣り師Tだが、陸での外道っぷり垣間見える光景である。ここに写っている緑と青の棒がイカ角だ。

オマツリ

 

そうこうしているうちにスルメイカ釣りは終了。外道釣り師Tはスルメイカを8杯釣り上げたが、外道はゼロ。外道釣り師の名が泣く釣果である。今度こそは外道を釣ろうということで一行はアジ釣りへ。

 

アジを釣る

ここで船での移動が40分くらいあったのだが、おもむろに寝始める外道釣り師T。釣り以外は何の興味もないとばかりに、腹を出して寝る外道釣り師T。陸では敵に背中を見せない外道だが、海の上ではこんなにも無防備になる。

 

無防備に寝る

 

アジ釣りには撒き餌としてイワシのミンチを使用する。写真はイワシのミンチのアップ。洗面器に取り分けて、ビシカゴという仕掛けに入れて使用する。針にはアカタンと呼ばれるイカの切り身を赤く着色したものを使用する。アジは赤いものに反応する習性があるのだという。

 

撒き餌

 

こっちがアカタン。目を隠しているのにドヤ感が半端ない。外道釣り師Tというのは基本的にそういう男である。

 

アカタン

 

そうして、アジ釣りが始まったのだが、早くも外道釣り師Tがアジをヒット。今度は釣るところもちゃんと撮れました。

 

アジ釣り

 

アジを釣り上げて満面の笑みを見せる外道釣り師T。陸の上でこのような笑顔を見せたことは生まれてから一度もない。「竿で釣ったアジなんて2000円はするよ」と再びお金の話をするT、外道である。

 

アジを釣った!

 

と言っていたら、外道釣り師Tが外道を釣り上げた。どうやら赤ハゼらしい。この企画をネーミングだけで考えた担当編集者はやっと胸を撫で下ろす。

 

外道を釣った!

 

しばらくすると波が出てきて、アジ釣りが不調に。アジは海底から2~3メートルの深さでしかなかなか釣れないらしく、波が出てくると、その深さが定まらず、難しくなるらしい。まあ、外道も連れたし、ま、いっかということで、陸に上がることに。外道釣り師Tは、陸に上がると普段通りの外道に戻ってしまうのだろうか。

 

と思ったら、包丁とまな板を持ってきた外道釣り師T。なんとスルメイカとアジをその場でさばいてくれるという。こんな外道釣り師Tを開闢以来、筆者は見たことがない。

 

スルメイカさばき方

スルメイカのさばき方

 

腹に切り込みを入れて、イカワタと足を取り出す。

 

イカワタ

 

取り出したら、イカの身をお刺身に。もちろん、イカワタと足もおいしく食べられます。

 

イカのさばき方

 

イカのお刺身は薄皮をしっかりと剥くことが重要。キッチンペーパーでこすると、比較的楽にとれます。

 

イカの薄皮にはキッチンペーパー

 

そうして完成したのが、このイカのお刺身。白い紙の器に入れてしまったので、分かりにくいですが、下が透き通るほどの透明さ。これぞ獲れたての味です。噛めば噛むほど甘さが広がって美味でした。

 

イカのお刺身

 

アジのさばき方

お次はアジ。頭を落として3枚におろします。

 

アジを3枚におろす

 

包丁を横に入れて、3枚におろします。

 

アジに包丁を横に

 

お見事。

 

アジを見事に3枚に

 

そして、アジもお刺身に。網で獲れたアジと違って、釣り上げたアジは身がプッリプリ。噛んでもしっかりと味が広がる弾力があって最高でした。釣り竿で釣ったアジを食べたの、初めてかも。

 

アジのお刺身

 

こうして『外道釣り師Tの「海の上ではイイ男」』の第1回は終了。いつあるかは分かりませんが、第2回があったら、その時もぜひお付き合いいただけると。

 

最後に、この記事で「外道」という言葉が登場した回数は86回でした。

 

(ぐるなび編集部 氏家馨)

 
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