JR江差線:貨物列車が脱線 現場近くで2年前にも2回

毎日新聞 2014年06月22日 20時47分(最終更新 06月23日 01時59分)

脱線した貨物列車を調べる、国交省運輸安全委員会の鉄道事故調査官ら=北海道木古内町の札苅駅で2014年6月22日午後2時15分、手塚耕一郎撮影
脱線した貨物列車を調べる、国交省運輸安全委員会の鉄道事故調査官ら=北海道木古内町の札苅駅で2014年6月22日午後2時15分、手塚耕一郎撮影
貨物列車が脱線した現場の見取り図
貨物列車が脱線した現場の見取り図

 22日午前4時15分ごろ、北海道木古内(きこない)町のJR江差線泉沢−札苅(さつかり)間で、走行中の貨物列車(機関車1両と貨車20両編成)の後ろから2両目が脱線し、札苅駅で緊急停止した。けが人はなかった。国土交通省運輸安全委員会は鉄道事故調査官を派遣し、原因を調査している。

 JR北海道では昨年9月、函館線大沼駅=七飯(ななえ)町=で起きた脱線事故をきっかけにレール異常放置や検査記録の改ざんが発覚。江差線の現場近くでは2012年4月と9月にも貨物列車が脱線している。西野史尚副社長は記者会見で「ご心配、ご迷惑をおかけし大変申し訳ない」と陳謝した。

 JR北海道などによると、今回脱線したのは貨車の19両目後部の4輪で、レールから右に約50センチ外れていた。さらに19両目と最後部の20両目を結ぶ連結器が外れ、20両目は17メートル離れたところで停止。ブレーキを制御するため空気圧を伝えるホースも外れていた。

 運転士(31)は「非常ブレーキが作動して、点検すると脱線していた」と説明しているという。札苅駅から約1キロ手前の左カーブのコンクリート製枕木に、傷痕が見つかり、ここから脱線が始まったとみられる。

 脱線区間では、6月4日にレール幅や左右の高低差などを検測車で検査したが、いずれも基準値内だったという。また、貨物列車の17分前には、急行はまなす(7両編成)が現場を通過していたが異常はなかった。

 JR貨物によると、脱線車両は4月に定期検査し、21日夜の出発前も車両やコンテナの固定状況を確認したが、異常はなかったという。貨物列車は札幌貨物ターミナル(札幌市)発宇都宮貨物ターミナル=栃木県上三川(かみのかわ)町=行きで、引っ越し荷物や、新聞用紙などを積んでいた。

 この事故で青函トンネルを含む江差線五稜郭(北海道函館市)−津軽海峡線津軽今別(青森県今別町)間の上下線で運転を見合わせ、特急・寝台特急を含む計59本が運休し約6000人に影響が出た。JR北海道は22日夜、復旧作業を始めたが、復旧日時は不明。脱線現場の東にある上磯−函館を除き、23日午後5時台までの全列車を運休すると決定した。その後は未定という。同線は北海道と本州を結ぶ唯一の鉄道路線で、年間計900万トンの貨物が通過。運休が長引けば、物流への影響が懸念される。現場は函館市から南西約25キロ。【酒井祥宏、鈴木勝一、山下智恵】

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