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魂をこめた3D般若心経。
データ通りに立体を作ってくれるのが、いわゆる3Dプリンター。思った通りのものがリアルに作れる、夢のような機械である。
とはいえ、3Dで何かを作るための元のデータ作りは意外と難しく、素人ではおいそれと手が出ない では、簡単に3Dを、絵を描くような感覚で作れる超夢の機械というのはないのか。 それがあるのだ。まさに手描きで3Dが作れるペンが、いま僕の手元にある。 これですごい3Dを作りたい。 > 個人サイト イロブン Twitter:tech_k その名は『3Dペン』ひとまず、その3Dを手で描けるペンの実物をご覧いただきたい。
3Dペンとインク代わりのプラスチック棒。
上の黒くて太いのが3Dペンである。
このペンを使えば、なんと空中にでも自由に線を引いて立体造形ができるのだ。 こんな感じで、四角い箱が立体で描ける。
プラスチックの棒をペンの中に入れてスイッチを入れると、熱されて溶けたプラが先端からにゅーっと出てきて、外気温ですぐ固まるという仕組み。
種を明かせばなんてこともないが、これがやってみると非常に面白い。本当に空中にいくらでも線が描けるのだ。もうほぼ魔法である。 落書きみたいなのが簡単に作れる。
この3Dペンは、昨年の秋にアメリカのクラウドファンディング(アイデアを出してネット上で出資者を募ってモノを作る方法)でなんと200万ドルを集めて商品化したもの。
実は僕も変なペン好きとして見過ごしておけず、一口出資して入手した。 すごく楽しいので、最近は時間があればこれで遊んでる。
これ日本で持ってるヤツはあんまりいないだろう、と自慢していたのだが、今年の4月から日本でも普通に販売されるようになった。
僕的にはあまり自慢できなくなってがっかりだが、興味がある人はぜひ手に入れて遊んで欲しい。 ところで、ここはどこだいきなり場所は変わって、なぜか僕は青山のスタジオにいる。
一人だけ色が付いてる。アイドルに負けないように気合い入れてきました。
プラスチック製品メーカーのタキロンさんの、とにかくプラスチックですごいことをする『タキロンのプラスチックチャレンジ』なる企画の現場である。
噂では、今からアイドルグループのPASSPO☆が3Dペンでドンと大きなものを作ることになっているらしい。 PASSPO☆さん入りますー。
さらに、そのビッグチャレンジの脇でデイリーポータルも何か作っていいよ、という話になっているとのこと。
そこで「3Dペン入手したぞー」とあちこちで触れ回っていた僕にお声がかかったのだ。 なんでも自慢しておくものである。 というわけで、このスタジオの隅で『タキロン×デイリーポータルZのプラスチックチャレンジ』の始まりである。 3Dで写経をしようPASSPO☆の皆さんはメンバー9人で大きなものを作るという。
できればデイリーチーム(編集安藤さん&きだて)も負けないようにすごいのを作りたかったのだが、2人では大物はキツい。 なにより、PASSPO☆の撮影の邪魔にならないようにスタジオの隅っこでやって、と言われているので場所もない。 じゃあ、ちまちまと写経しよう。
僕も安藤さんも絵が描けないので、造形的にかっこいいのも作れないだろう。
でも字なら書ける。プラスチックで写経しよう。3D写経だ。 こうやって文章に書き起こすと全く意味が分からないが、打ち合わせの時は「ここはもう写経で勝負しましょう」「うん、やっぱり3Dで写経しかないですね」と二人で頷きあっていたのだ。 何を考えていたんだろう、あの時の僕ら。 プラスチックでにゅにゅにゅーっと
あらかじめプリントしてきた般若心経を、3Dペンで心を込めて一文字ずつなぞる。
こんな感じで立体「摩」の字、完成。
文字が冷えた頃合いで紙からペリッと剥がすと、このように手でつまめるプラスチック製の立体の文字ができあがるという寸法だ。
文字を指でつまむというのもなかなか無い体験で、面白い。 字はこれぐらい盛り上がっているので、かんたんにつまめる。
あとはこんな感じで3D般若心経を一文字ずつ心を込めて書き進めていこう。
背後でPASSPO☆が頑張ってる。僕らも頑張ろう。
…という気合いをいれたところで、もうお昼になってしまった。
スタジオ入りしたのが10時。2人、2時間で合わせて30文字足らず。般若心経は276文字あるので、全文書き切るにはあと15時間ほど必要な計算になる。 頑張るのはランチの後に先送りだ。 場所がないので、小さいソファーにおっさん二人が並んで仲良くお弁当。
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