こんばんは、吉本ユータヌキです。
あれは確か中学校2年の時、女子に対して恋愛感情というものが芽生えた始めた頃だった。
当時、モーニング娘。が大人気で学校の男子はどのメンバーが好きかと派閥が生まれていました(今でいう◯◯推し)。
好きなメンバーのカードやポラロイド写真を生徒手帳の中に入れてたり、好きなメンバーの下敷きや消しゴムを使ったり、机に彫刻刀で名前を彫ったり。いかに自分がそのメンバーのことが好きかを表す意思表示でもあり、好きなメンバーが被ると自分の方が好きだと言い争うこともあったそうだ。
休み時間になると机の上にカードを並べて好きなメンバーじゃないカードを交換し合ったり『ハロー!モーニング。(モーニング娘。の冠バラエティ番組)』について楽しく話し合ったり、毎休み時間ちょっとしたファンミーティングが行われていました。
僕はそんなファンミーティングをいつも
遠くから見ていました。
このブログでは胸を痛くしながら何度も説明をしていますが、僕の学生時代には
友達がいませんでした。
なので、生徒手帳に辻ちゃんの写真を入れていたものの誰にも見せることなくブームは終わりましたし、友達がいない僕の元に集まってくるのは交換できずに溜まっていく保田圭のカードばかりでした。矢口は家のタンスに隠していました。
そんな感じでアイドルへの愛情を誰とも共有することができず1人でひっそりと好きになっているだけだったのが、現実の学校生活でも女子と話す事が苦手な僕はテレビの向こう側の辻ちゃんがすごく好きで、いつか付き合えるんじゃないかと考えたこともありました。
“ミニモニ。”“青色7”“10人祭り”と辻ちゃんが在籍していたユニットの曲は全部歌えました(聴かす人はいませんでしたが)。
それから時は経ち、僕は大人へと成長し辻ちゃんはテレビの向こう側、いわゆる幻想が作りだすものだと気づきました。
そろそろ現実世界と向き合わないと!自分自身を軌道修正しよう!と思い、当時流行っていた“GLAY”にハマろうと決心し、レンタルCDショップに向かいました。
そこで
松浦亜弥に出会いました。
気づいたら僕の手にはGLAYの“誘惑”“口唇”、そして“LOVE涙色”が。
アイドルは卒業しようと思ったのに。あれだけ好きだった辻ちゃんのことは諦めて忘れたとこだったのに。
再び燃え上がるアイドル熱。いや、アイドルには興味がない。ハロプロ。にも興味はない。これは松浦亜弥に対するただの純情な感情。壊れるほど愛しても1/3も伝わらないのに。大人の階段を登りはじめ現実を見ると決めたところなのに(中学3年の頃)。
そこから辻ちゃん以上にハマってしまい、出る曲出る曲CDをレンタルして聴いていました。本当はCDを買いたかった。けど、中学生の僕は1ヶ月1500円のおこづかいじゃ買えるわけもなく我慢をしていました。
そして、この松浦亜弥に関しても気持ちを共有し合う友達はいない。むしろ一緒にお弁当を食べる友達もいない。
家に帰っても思春期の僕は親の前でアイドルが好きだという素振りする見せるのが恥ずかしかった。家でカードや写真は絶対に出さなかった。テレビもリビングで流れる時だけ。
『ハロー!モーニング。』は妹が見てるのを仕方なく付き添って見ていたんだ。
念のために一応ビデオに撮ってあげていたんだ。なんて優しいお兄ちゃんなんだろうか。
ある日チャンスは訪れた。
お年玉でもらった1万円だけ自由に使っていいという千載一遇のチャンスが舞い降りてきた。僕は迷う事なく近所のCDショップではなく隣町のCDショップまで行った。
近所だと目撃情報が漏れるとマズい。そこだけは慎重だった。
そして、念願の松浦亜弥のアルバム『T・W・O』を初回限定版でポスターがついてあるのを購入した。こんな幸せなことはない。
しかし、嬉しさと興奮、緊張の余りアルバムの封を切ることができなかった。
更に持ち前の変な収集癖を発揮してしまい、初回限定を未開封で持っていることに優越感を覚えてしまい、翌週にはレンタルで同じアルバムを借りていた。
流れてくる曲に違いはないし、ポスターは恥ずかしくてどうせ部屋に貼れない。封の中にいるジャケットの松浦亜弥を眺めているだけで良かった。
CDラジカセからは隣の部屋に聴こえない音量で名曲『Yeah!めっちゃホリディ』が流れている。
それから時は経ち、僕は大人へと成長し松浦亜弥はテレビの向こう側、いわゆる幻想が作りだすものだと気づきました。
そろそろ現実世界と向き合わないと!自分自身を軌道修正しよう!と思い、当時流行っていた“nobodyknows+”にハマろうと決心し、レンタルCDショップに向かいました。
あれ以降、僕はアイドルを見てココロオドルことはなくなった。
ある日の日曜日、机の整理をしていると鍵のついた引き出しの一番奥から松浦亜弥の未開封のアルバムが出てきた。完全に忘れていたのだ。
家族にみつかるとマズいと思い奥底に隠しておいたのだ(恥ずかしいだけ)。
表裏とジャケットを見て、ハマっていたことを思い出し当時の自分が恥ずかしくなった所ですぐにゴミ箱に突っ込んだ。
けれど一度愛した女をそんな簡単に捨ててしまうような男だと思われるのが嫌で、すぐに呼び戻した。思わせぶりで最低な男と思われるかもしれない。しかし、それ以上に僕は当時の感謝を伝えたかった。あの頃は本当にありがとうと。
封の中の亜弥の目が涙色に見えた。
そして亜弥は言った。
「優しくしないでよ!!もう好きじゃないならハッキリ言って!
いつまでも繋ぎ止めるようなことしないでよ!!思わせぶりなのよ!
もういっその事、私を突き放してよ!!!」
僕は言葉を失った。
亜弥はたくさんの思い出、夢、希望をくれた。
友達がいなかった僕の青春を彩ってくれた亜弥には本当に感謝をしている。
けれど、もう最後のお別れをしないといけない。僕が突き放してあげないと。
最後にいろんなことを思い出しながら心の中でもう一度『ありがとう』と伝え、勢いよく窓を開け亜弥を遠くへ放り投げた。
当時住んでいた11階の部屋に吹き込んでくる強い風を切り裂いて僕のもとから離れて行った。
これが今でも忘れることのできない、僕の
Yeah!めっちゃ放リディ
おわり