維新分党:広がる不協和音 「離反」や幹部解任画策
毎日新聞 2014年06月23日 08時00分
分党が正式に決まった日本維新の会。橋下徹共同代表(大阪市長)の人気に乗って国政に進出したが、石原慎太郎共同代表との溝は埋まらず、国会議員からは「東京と大阪の党内二重行政」などと非難を浴びるなど、離反を招いた。支持率低迷に伴い、地元大阪でも、離党や幹部解任などの動きがくすぶり続けている。
「軍資金も人力もない中、頑張ってくれたのは大阪府議会、大阪・堺市議会のメンバーだ。日本維新が今あるのは、大阪のメンバーが全国で比例票をかき集めたからだ」
大阪市であった22日の臨時党大会。橋下氏は前回衆院選を振り返り、地域政党・大阪維新の会を持ち上げた。石原新党へ移る議員への当てつけとも見えるが、維新市議は「足元の動きを頭に入れての発言だ」。
大阪府議団は、11年の前回統一選で過半数を獲得。しかし昨年12月に造反者4人を除名して過半数を失って以来、議会では自民など野党会派が主導権を握る。野党提案で成立した来春の府議選の区割りでは、5選挙区で維新現職同士が競合し、調整に苦慮している。
松井一郎幹事長(大阪府知事)は今月上旬から、競合区の府議と面談を始めたが、離党を示唆したり、国替えを拒んで引退を検討したりする府議も出ている。松井氏は苦肉の策で「くじ引き」を打診したが、「有権者をバカにしている」(若手府議)と、対象府議以外にも反発が広がっている。
大阪市議団にも不協和音が響く。今月17日の議員団総会では、反主流派が市議団幹部の解任を画策した。ある市議は「解任を求める動きはあったが、見送った」と明かす。市議団の過半数に届かなかったためとみられる。
市議団は第1会派だが単独で過半数はなく、公明党との友好関係も切れた。反主流派は先月、橋下、松井両氏に不満を訴えた。市議団の1人は「幹部は他会派と交渉もできず、政策が実現しないまま統一選に臨むのは避けたい」とこぼし、離反の動きを見せている。
「特定の幹部が嫌い」「維新を出たい」「選挙が不安」。市議団幹部は、この3グループがいると分析。「統一選直前なら対応は厳しいが、今なら間に合う。嫌なら早く出ていってほしい」と突き放した。【熊谷豪、重石岳史】