軍になじめない「関心兵士」が銃乱射、13人死傷
21日夜、北朝鮮との軍事境界線に近い韓国江原道の山間部で、警戒勤務中の兵士が銃を乱射するなどして5人が死亡、8人が負傷する事件が起きた。韓国軍では過去10年間で最悪の銃乱射事件となった。問題の兵士は軍内で事件・事故を起こす可能性が高いとして、「関心兵士」と呼ばれる監督対象となっていた。
同日午前8時15分ごろ、江原道高城郡の陸軍第22師団で、最前線の鉄条網の警戒哨所(しょうしょ)に勤務していた兵長(22)が兵士らに手投げ弾を投げた上、小銃10発余りを乱射し、逃走した。
今回の事件は、2005年6月に京畿道漣川郡の陸軍第28師団の前線哨所で起きた銃乱射事件で8人が死亡して以降で死者が最多となった。
問題の兵士は22日午後、現場から約10キロ離れた高城郡明波里で追跡してきた軍部隊に銃撃を加え、小隊長を負傷させた後、山中に逃げ込み、夜半にかけ散発的に銃撃戦となった。
問題の兵士は軍での生活に適応できないか、事故を起こす可能性があるとして、関心兵士に分類されていた。昨年初めの人格検査では事故高リスク群の「A級(特別管理対象)」に分類されたが、昨年「B級(重点管理対象)」に引き下げられた。それに伴い、問題の兵士は鉄条網勤務に投入され、銃や手投げ弾を取り扱える立場にあった。
このため、軍当局による関心兵士の評価、管理がずさんだったのではないかとの指摘が出ている。今回の事件の原因はまだ明らかになっていないが、軍当局は転属を3カ月後に控えた問題の兵士が部隊員とトラブルを起こし、事件を起こした可能性があるとみて調べている。軍消息筋は「これまでの調べで、家庭の問題は見つかっていない」と語った。
事件が起きた第22師団は、北朝鮮領の名勝地・金剛山を望む険しい山間部の非武装地帯の東側に当たり、これまで銃器関連の事件や兵士による越境事件が絶えなかった。このため、軍首脳部が事故多発部隊への根本的な対策、管理を十分に行っていなかったのではないかとの指摘も聞かれる。陸軍は陸軍本部中央捜査団長を本部長とする48人規模の捜査本部を設置したほか、再発防止策の検討を進めることを決めた。
■関心兵士とは
軍内での生活に適応できないか、性格上の問題があり、自殺、暴行、いじめ、銃器事件などを起こす心配がある兵士を指す。入隊前後の人格検査と指揮官による面接によって分類され、程度によって、A級(特別管理対象)、B級(重点管理対象)、C級(基本管理対象)に分けられる。